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578.精霊との再会

 そんな危機的状況がヘルヴァナールの方で発覚しているころ、一人エンヴィルーク・アンフェレイアへと飛ばされてしまったルギーレは最大の危機に瀕していた。

 なぜなら彼の目の前には、いつぞやのナスティアとか名乗っていた精霊が空中に浮かんで奇妙なロングソードをその右手に握っているからである。


「くっそー、何だってあんたがここにいんだよ!?」

『ふふふ……我を封印から解放してくれたのはそなたたちではないか。おかげでそなたたちの世界の色々な場所を回ることができたし、面白いことも起こりそうな気がしたからここにいるのだ』

「面白いこと?」


 何だそりゃ、といまいち話の繋がりが見えてこないルギーレに対してナスティアは率直にこう告げる。


『ああ。魂だけは移動できるようになっていたとはいえ、我は二千年もあんな場所に封印されていたのだ。だからこそ、面白いことがあれば飛びつくのは自然なこと。つまり我はこちらの世界の魔術師たちに協力しようと思ってな』

「こちらの世界? 魔術師たち?」


 それはまさか、今まで散々騒動を巻き起こして勇者パーティーのメンバーたち全員も巻き込んで、挙げ句の果てにヘルヴァナールをどうにかしようとしている黒髪の魔術師たちのことだろうとしか思えないルギーレ。

 それを聞いてしまったからには、獣人たちを倒しながら進んできて大きなあいつまで倒して、その上でこのナスティアも倒さなければならないだろう。


「楽しいことだぁ? あんた、自分で何言ってっかわかってんのかよ?」

『ああ、わかっているさ。そなたたちの世界がめちゃくちゃになるとでも言いたいのだろう?』


 だからこそなんだ、とナスティアは続ける。


『さっきも言ったが、二千年もあんな場所に封印されていた我が人間たちに恨みを抱かないわけがないだろう?』

「わかんねーなー」

『わかんないんだったらそれでもいい。とにかく、我は今まで封印されていた恨みがあるからな。いわば復讐みたいなものだ』

「……うーん、やっぱわかんねーなーその考えは」


 最初にセバクターと戦わされたあの時は何だか強引な性格の精霊だと思っていただけだが、ここに来ていきなり復讐だの恨みだのと言われても、とってつけたような理屈の連続ばかりでルギーレはとてもついていけそうにないのが現状だった。

 しかし、わかることはただ一つ。


「要はあれだろ。あんたをここで倒さねえと俺たちの世界がめちゃくちゃになっちまうってことだから、俺がここであんたを倒すってことだろ!?」

『ほう……威勢がいいではないか。ならばこちらも受けて立とう』


 だが、とナスティアはこう続ける。


『今そなたがいるこの世界はヘルヴァナールではなく、エンヴィルーク・アンフェレイアだからな。普段と同じ力が出せるかな?』

「それはお互い様じゃねえか。それに俺は今までここで獣人たちとかそこに倒れてるでっけえのとか倒してきたからよぉ、この勢いに乗ってあんたまで倒しちまうぜ!!」


 そのルギーレの宣言を聞き、ナスティアは空中に浮かんだまま握っているロングソードを構える。


『ふふふ、その威勢だけは認めてやろう。だがこのエターナルソードにそなたが敵うかな?』

「え……エターナルソード?」


 それってもしかして……とルギーレが思っている目の前で、ナスティアは振り上げたそのエターナルソードとやらを思いっきり振り下ろす。

 するとその瞬間、ルギーレに向かって放射状に赤く輝く衝撃波が向かってくる!!


「……!!」


 避けていては間に合わないと直感し、ルギーレは自分も衝撃波で対抗するべくレイグラードを横なぎに振るう。

 しかし、二つの衝撃波がぶつかり合ったその瞬間!!


「……うおあっ!?」


 何と、今まで数々の敵を吹っ飛ばしてきたはずの衝撃波が打ち負けてしまった。

 それだけならまだしも、ルギーレまでその打ち勝ったナスティアの衝撃波に吹っ飛ばされてしまい、地面をゴロゴロと転がってしまう。


『ふふふ、そなたたちの世界のドラゴン全ての魔力を詰め込んだこのエターナルソードには、レイグラードでも敵わないようだな。我に挑んだことを後悔してこのまま死んでいくといい!!』

「くっ……そ!!」


 エターナルソードがなぜこの精霊の手の中にあるのだろうか?

 そして他の仲間たちの所に戻るにはどうすればいいのか?

 そんな当たり前の疑問も一気に吹っ飛んでしまうほど、エターナルソードを使うこのナスティアはどうやら恐ろしく強い相手のようだという衝撃がルギーレに襲いかかっていた。

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