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572.地下に向けて

 そのころ、セバクターたちとは別行動で地上から大木城へと向かっていた、セルフォンとアサドールとグラルバルトのドラゴンたちが案内するエリアス。

 こちらはグラルバルトが中心となって行動していたのだが、そのグラルバルトが霧の中を抜けるまでにかなり苦戦したことで疲弊していた。

 ドラゴンたちの土地勘によって何とか道には迷わなかったものの、この濃い霧の中で敵に突然襲いかかられるという恐怖はいかんともし難いものだった。


【まだ敵たちは私たちが感知できるからいいが、それでも敵が霧の中からいきなり現れるのはどう考えても驚き以外の何者でもない!!】


 空中では鳥型の魔物や、空中浮遊の魔術が使える人間たちが襲いかかってくる。

 地上では大型、小型を問わずに魔物を中心とした地上部隊が展開している城下町が広がっている。

 中心に大木城が存在しているこのゼッザオの王都では、その城をグルリと円状に囲むようにして城下町の街並みが構成されている構図なのだが、敵たちはその城下町の全域に部隊を配備して待ち構えていた。


『大木城には四方向に出入り口がある。そこまで辿り着いてしまえばこっちのものだ!』

「といってもこの人数ではな……とりあえず僕たちは二手に別れよう。東と西から一気に攻め込んで突破するぞ!!」


 エリアスがそう提案し、それ以外に特に良さそうな方法も思い浮かばないのでその作戦で大木城へと乗り込むことにした一行だったが、行く手を多数の敵が阻む。

 それでも、こちらはここが地元のドラゴンたちを始めとしてエリアスも今まで多数の戦場を駆け巡ってきたために、そう簡単には負けてはいられないのだ。


『……む……これでは倒しても倒してもキリがないな』

「だったらここでまた部隊を二つに分けよう。敵の攻撃目標を少しでも分散させるんだ!!」


 西から回り込んでいたそのデレクの言葉は結果的に東のメンバーにも伝えられて、まずは北から回り込むのがエリアスただ一人。

 東からはセルフォン、西からはアサドール、南からはグラルバルトが進軍する。

 もっと人数がいればなるべく前衛と後衛のバランスを考えて再び分散させることができたのだが、あいにくこちらは四名しかいないのでこうなった結果、最初に大木城の出入り口に辿り着いたのはグラルバルトだった。


【私が最初みたいだな……それじゃあ中に入らなければならないが、確かゼッザオの王城の地下にはいざという時に使える巨大な魔力の砲口があったな。しかしあれはあくまでも最終手段の兵器だから、強力な封印がかけられている】


 それを解除するためには、それこそ自分たちのリーダーである闇属性の黒いドラゴンの魔力を封印に注ぎ込まなければならない。

 しかし彼はまだこの城の中のどこかにいるようであり、闇属性の魔力を感じるもののその姿を見ていないのが現状だった。

 となればやることはもちろん、まずはこの中に乗り込むべく自分で残りの三方向の出入り口を開けるのを手伝うことだった。

 大木を改造したこの城だけあって、地面はところどころ木の根が弧を描いて飛び出していたり、どこからか葉っぱが舞い落ちてきているのがいかにもそれらしい。

 そこでグラルバルトは魔術通信を使い、エリアスにこう指示を出す。


『エリアス、君はは地下一階にあるいろいろな機械がある場所に向かってくれ!』

『えっ、何でだよ!?』

『そこに一際目立つ、壁に設置した大きな赤いボタンがある。それを押してこの大木城の攻撃機能を停止させるんだ!!』


 まさかそんな役目を与えられるなんて……とエリアスは一瞬戸惑うものの、グラルバルトがそういうのだから自分がいかなければきっと他のメンバーたちが危険な目に遭うのだろうとすぐに考え直し、通信を終了してから出入り口のドアを開ける。

 そして近くにある、地下へつながる螺旋状になっているその階段を駆け降りて、目的の地下一階まで辿り着いたエリアスは、そこからつながる通路の一番奥にある大きな両開きのドアを全速力の疾走からの飛び蹴りで蹴り開けた。


「うおりゃああああっ!!」

「なっ、何だお前は!?」


 しかし、その天井が低い広い部屋に待ち受けていたのは多数の武装した人間たち。

 どうやらこの場所で勤務しているニルスやディルクの部下たちらしいが、ここまで突っ走ってきたエリアスは愛用の弓と呼び出したあディラードを武器に叫びながら向かっていった。


「僕の……いや、僕たちの邪魔をするなあああああっ!!」

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