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53.受けた依頼

 ルギーレは今回から、Cランクの依頼を受けられることになった。

 あのロックスパイダーの巣を壊滅させたのが大きな功績として認められて、ギルドに確認したところ自分がCランクに昇格していたのが判明したのである。


「まさか、俺がCランクになれるとはな」

「その剣のおかげとはいえ、あの巣を壊滅させたのは紛れもない事実なんだから普通に昇格できるだけの実力として認められたってことよね」


 こうして受けられる依頼の範囲が広まったので、ルギーレは自分自身の戦闘スキルをもっと上げるべく、なるべく魔物や不届き者たちの排除をするような依頼を受けることにした。


「とりあえず二つ依頼を受けることにした。ここからなら場所も近いみたいだし、少しずつレベルアップするにはもってこいだろ」


 その内の一つである、この帝都から南に行った所にある大きな沼地に生息しているCランククラスの魔物を討伐する依頼のために、二人は徒歩で一時間かけてやってきた。

 魔物たちには親玉がいるらしく、その親玉を倒して尻尾を持って帰れば依頼達成とのことだった。

 見た目としては尻尾のあるナメクジで、茶色いその身体は一目見てぬめっているのがわかる。

 そんなのが大量に繁殖している状況に、ルディアは顔をしかめた。


「うぇ……これはちょっと気持ち悪いわね」

「じゃあ雷の魔術で一掃しちまったらどうだ?」

「いや、それだと私たちまで感電しちゃうわよ。水だらけのこの地面の状況だからね。それにこの依頼を受けたのはあなたのレベルアップのためなんでしょ。だったら一匹ずつそのレイグラードで斬ってしまいなさいよ」


 そうじゃないといつまでたってもレベルアップできないわよ、とルディアに諭されたルギーレは、それもそうかと思い直して近くの一匹を斬り伏せた。

 以前見たのと同じ、紫色のオーラを纏っているその姿は人間ではない存在のように見えるものの、今の自分とのやりとりを通じてルディアは心の中で呆れていた。


(なんか、勇者パーティーで役立たずって言われてたのもわかる気がする……)


 頭はそれほど良くなさそうなこの男と、この先で自分は一緒に旅ができるのだろうか?

 一心不乱にナメクジもどきたちを倒していくルギーレの背中を見て、今後の展開に不安を覚えるルディアだった。


「ふぅ……これで結構倒したんじゃねえのか?」

「そうね。数えていたけど大体五十匹ぐらいは行ったんじゃないかしら」


 ビュッという音をさせながら、刀身についているナメクジもどきの体液を払いながら確認するルギーレ。

 そうなると、そろそろ親玉が出てきてもおかしくなさそうである。

 戦い続けて明らかに数も減ったのだが、親玉の尻尾を持って帰らなければ依頼は終わらない。

 そう思っていた矢先、ズスズ……と地面が盛り上がっているのを感じ取った二人。


「ん……何だ?」

「あっ、離れて!!」

「うおおおっ!?」


 盛り上がる地面から走って逃げる二人の目の前に現れたのは、ナメクジもどきたちの親玉だった。

 しかし、それは今まで斬り伏せてきたナメクジもどきたちとは似ても似つかないもの。

 そう、例えるなら……。


「おい、これ見たことあるぜ!?」

「ええ、私もあるわ。巨大なあめんぼうよね!」

「こいつがどうやら親玉らしいな。変なギザギザした尻尾も生えてるしよぉ!!」


 緑と青の色合いの身体を持ち、尻尾は黄色と茶色という全体的に見ても目がチカチカしそうなその巨大なあめんぼうもどき。

 地中に潜っていたらしいその身体からは、ボタボタと液状になった土が垂れ落ちている。

 さらに普通のあめんぼうと違うのは、脚が三つあることだった。

 しかしこの魔物とは二人とも遭遇経験があるので、まずはルギーレがその魔物に向かっていく。


「こいつは動きが速いからな。だから短期決着だよ!!」

「そうね!!」


 親玉クラスとなれば今回はルディアも加勢する。

 三本足で地を滑って進むあめんぼうのスピードには人間ではなかなか追いつけないので、まずはその脚を切断して動きを封じてしまうのが勝つパターンだ。

 だが、相手もそれを見越しているのかスーッと離れていってしまう。


「なっ……くそ、待ちやがれ!!」

「あっ、行っちゃダメ!!」

「え……うわ!?」


 そう、ここは沼地。

 相手の動きに気を取られてしまったルギーレは、地面のぬかるみに足を取られてしまい派手に尻から転んでしまった。

 身体中が泥まみれになってしまったその姿を見て、あめんぼうもどきが戻ってきた。


「くっ!!」

『キギャアッ!?』


 足を上げてルギーレを踏み潰そうとしていたあめんぼうもどきに、とっさに放ったルディアのファイヤーボールが当たった。

 今度はあめんぼうもどきがそれによってバランスを崩したので、ルギーレは滑りながらも必死で起き上がり、大きな身体の下に潜り込んだ。


「よくも俺を引っかけてくれたな。だったらお返しにこうしてやんぜ!!」


 ルギーレはレイグラードを真上に突き上げ、深く深くあめんぼうもどきの腹に突き刺す。

 そしてレイグラードに魔力を送り込み、一気にその魔力を開放してあめんぼうもどきを腹から爆散させた!

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