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538.思わぬ発見

 足を進めた先にあったのは地下室。それも、まだまだ記憶に新しい場所だった。


(ここは確か、さっきこの場所に潜り込んだ俺たちが見た……)


 あの実験施設らしき場所じゃないか? と考えながらルギーレがその先にあるドアを開けてみる。

 が、そこには確かに水路が繋がっているものの、どうやら別の場所に出てきてしまったらしい。


(あれ、ここは違う場所みたいだな。そういえばここの部屋には一か所しかドアがないし……ということは、こっちが別のルートになるのか!!)


 記憶違いの場所にたどりついたルギーレだったが、それでもこの魔術研究所と地下水路が繋がっていることは証明できたので、後は魔術防壁を解除するだけだと意気込んでとにかく引き返そうとする。


(ここのどこかに魔術防壁を解除するスイッチみたいなのがあると思うんだけど、まだ上の方を見ていないからな)


 研究所の外でまだ気を逸らし続けているのかどうかはわからないし、怪しい奴らだと思われて騎士団にでも通報されたらそれこそまずい。

 ドアの先の水路の向こう側には、あの変な穴が横にあるドアが見える。

 そこにたどりつくためのルートも見ておきたいものの、頭の中で優先事項を決めたルギーレははやる気持ちを抑え込んで一旦ドアを閉め、クルリと振り返って一階に戻ろうとする。

 しかし、その彼の目にあるものが飛び込んできた。


「……あっ!?」


 思わず声を上げてしまうのも無理はない。

 なぜなら、その視線の先に見たものは……。


(これ……あの時の剣と盾じゃないか!!)


 以前、カインとティレジュと戦いを繰り広げたあの国立図書館での地下。

 その戦いが終わった後にエリアスが本性を表わし、ルギーレの目に指を突っ込んで逃げてしまった。

 そして、それまでの旅路でせっかく集めたロングソードと盾、更に図書館で回収したばかりだったあの謎の破片も一緒に持ち去って逃げられたあの苦い記憶を思い出してしまった。

 それがまさか、こんな所で再びお目にかかれるとは思わなかった。

 なぜこんな場所にこれがあるのかと疑問に思いつつも、すぐに自己解決するルギーレ。


(エリアスは確か、敵の連中に潜入するためにいろいろと俺たちに敵だと思われるように行動しているって言ってたっけ。その過程でこのアイテムがここに運ばれて、敵の研究者たちが研究をするために保管されていたみたいだけど、この乱雑な置き方はもっと何とかならないのかな……)


 ロングソードと盾は無造作にテーブルの上に置かれており、その盾の下に破片が隠れる形になっているという雑な保管方法に、ルギーレは眉間を揉む。


(まぁ……とにかくここにあるとわかっただけでも良かったじゃねえか)


 ディルクから奪い取ったあのペンダントはこうして首から下げているのだが、まさかこうしてここでアイテムが全て揃うとは思ってもみなかった。

 自分が全て持っていくのでもいいのだが、そうなってしまうといざという時レイグラードを使って戦えなくなってしまうので、ここは仲間を呼んで……。


(いや、それよりも先に魔術防壁を解除しないとあいつらが中に入れねえんだよな……)


 となるとやはり、ここはロングソードをレイグラードとともに腰にぶら下げ、盾は防具としても使えるので自分の左手に持ち、破片はズボンのポケットに入れてまとめて持っていくことに決めた。

 とにかくこうして回収するのに成功して自分の手に戻ってきたんだから、結果的には良かったじゃないか……と半ば強引に自分を納得させたルギーレは、階段の上に向かって再び用心しながら歩き出した。


(しかしまあ、どうして俺は魔術防壁をすり抜けて中に入れたんだ?)


 自分とあのガルクレスたちと何がそんなに違うってんだ? とルギーレは首を傾げるが、最終的に行き着く答えはやはり聖剣レイグラードの加護か何かだとしか考えられない。


(斬った相手の血だけじゃなくて魔力も吸い取り、それが怨念みたいなものになって俺の体調不良に繋がった……みたいな説明をドラゴンたちから受けたが、その説明とは裏腹に俺の体調は今は全然大丈夫なんだけどな)


 しかし、この先そのレイグラードの怨念とやらがいつ自分に牙を再び向く時がくるのか?

 それはルギーレ自身にももちろんわからないので、少なくとも今の体調がいい時に行動できるだけのことはしておかないといけない。

 まずはこの施設のどこかにあるであろう、魔術防壁を解除するためのスイッチか何かを探すのが自分の目的だと思いなおし、先に進むしかないのだから。

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