表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

526/629

517.二転三転の計画と振り分け

 そのセバクターの提案について、疑問を投げかけるのはガルクレス。


「もし、帝国が俺たちの裏をかいて待ち伏せをしていたらどうする?」

「その時はまた裏をかくだけのことだ。そもそも、そのギルドと騎士団の合同計画が最後まで進んでしまったらこのアーエリヴァ帝国によって世界が支配されることになるから、そうなると計画を止めるためには裏の裏の更に裏をかくぐらいのことをしなければいけないだろう」


 冷静な口調で、しかしどこか自信たっぷりな態度のセバクターに対して期待が六割、不安が四割といった空気の他のパーティメンバー。

 ポッと出てきてこうして……よくいえば大胆な、悪くいえば無謀な作戦を計画する彼を、本当に信用していいのだろうか?

 しかし、情報が多く集まるのは確かに帝都メルディアスなので反対意見は出ずに話が纏まったのもまた事実だった。

 そんな不安を残しつつも食事を摂って宿屋で体力を回復した一行は、翌日の朝に準備を整えてからメルディアスに向かうことに。


「さあ、ここからは空の旅か……」


 ただし、ワイバーンはメルディアスの南側にある町まで使うことにして、そこからは馬を使ってメルディアスに乗り込む作戦で進める。

 ワイバーンで大っぴらに近づけばそれだけで見つかるリスクが大きくなってしまうし、敵側にもこっちのパーティがワイバーンで移動しているという情報が伝わっているかもしれないからだ。


「その町からメルディアスまでどれぐらいかかるんだ?」

「えーと……そこからだと馬を使えばかなり飛ばして大体二日ってところかな。ちなみにワイバーンだと四~五時間ぐらいだろうな。徒歩だと大体一週間だ」


 意外と距離があるみたいだが、リスク回避のためなら時間がかかってしまうのは仕方がないだろう。

 しかし、ワイバーンをこの村に置き去りにして行くのもそれはそれで不自然なので、メンバーを馬で移動するチームとワイバーンで移動するチームに分ける作戦に変更する。


「まずは北の町にいる時に時間を置いて出発する」


 ワイバーンなら夜でも目が利くから、夜になってメルディアスに後からきてくれればそれでいいだろうというのがガルクレスの意見だ。


「じゃあそうするとして、問題はそのメンバー分けなんだが……」


 セバクターはこのパーティに参加したばかりなので、誰がメインで指名手配されているのか余りわかっていない。

 ルギーレが指名手配されているのは知っているんだが……とその先のセリフに詰まっていると、それを察知したガルクレスがセバクターに代わってメンバーを振り分ける。


「わかった。それならワイバーンでメルディアスに向かうメンバーは俺とレディクにしよう。騎士団員の俺たちだったらワイバーンに乗ってメルディアスに向かったとしても怪しまれる確率は低いから、計画を変更して……そうだな、あんたたちよりも先にメルディアスに入って情報収集しても問題はないだろうな」


 そこから先のことはメルディアスで情報が集まり次第また考えるということなので、また変わったその計画とそのメンバー分けで、時間を調整しつつメルディアスに向かうことにした一行。

 とはいえまずは食材や魔力のポーションなど、乗り込むにあたって万全の態勢を維持するべく、いろいろと必要なものを調達しにいかなければならないのでこれがネックである。

 この村でも調達できれば全員が直接メルディアスに向かうことも可能なのだが、その調達できる場所が小さいので扱っているものも限られている以上は仕方がない。


「ここでいろいろ用意できるんだったら、そのままここから行けるんだけど……」

「あー……メルディアスに行きやすい場所だと、そのメルディアスの北にある港町じゃねえと無理だぜ」


 場所の不満をバッサリと切り捨てるような形でガルクレスに返答されてしまったルギーレは、そのままヴァラスのワイバーンにセバクターとともに乗せてもらう。

 ワイバーンのもう一匹にはガルクレスとレディクが乗り込み、いざ作戦開始である。


「それじゃそっちは任せるぞ」

「ああ、任せておけ。このままそのギルドの計画を進められたら、最終的にこの世界がどうなるかわからないからな。

 」


 ガルクレスにセバクターが返答してからいよいよ動き出す……とはいっても、急に決まった計画なので全てが上手く行くはずはないだろう、と心のどこかでネガティブな気持ちが顔を覗かせるルギーレ。

 そのネガティブな感情を払拭するかのように、ヴァラスにこの国の地図を見せてもらう。


「俺たちの向かうその北の町ってどんな町か、あんたらは知っているのか?」

「いいや、俺は当然初めてだ」

「私は店や騎士団の関係で何回かあるから知っている」

「それもそうだな」


 先に飛び立って行ったワイバーンを空に見てから、自分たちが作戦を練っていた村の出入り口に視線を移すルギーレ。

 北の町についてはこの村では情報が手に入らなかったので、そこは鍛冶屋であり帝国騎士団員でもあるヴァラスの出番である。


「ルシードの町っていって、古くから栄えている港町だ。メルディアスの広さには及ばないけど、北から船でやってくる旅行者とか冒険者たちの玄関口になっているんだ」

「へぇ、それじゃそこで情報収集もできそうな気はするけどな」

「でも余計な行動はしない方がいいと思うがな」


 セバクターが一応ルギーレに釘を刺しておき、こっちもいざ出発だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気に召しましたら、ブックマークや評価などをぜひよろしくお願い致します。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ