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516.裏の裏の更に裏

 それが本当かどうかは、誰もその異世界とやらを見たことがないのでわからない。

 しかし、最初にこの話題を始めたレディクは自分がどこでその異世界の情報を仕入れたのかを話し始める。


「ふふふ……やっと話してくれたね。貴族の僕は以前、一握りの貴族だけが見ることを許されている書物でその話を知ったんだ」

「えっ、そんなものがあるのか?」


 ヴァラスがそう問えば、レディクは迷いなく頷いて続ける。


「そうだよ。異世界なんてものがあるなんて話がこの世界に広まったら、きっと大ごとになるのは目に見えているからね。だからこそ、こういうことは一握りの限られた人間にしか知らされていないのさ」


 しかし、今はその異世界の話も非常に気になるとはいえ、ここでそのことで時間を取られ続けているわけにもいかないのが惜しいところである。


「まあ、まずは今回の事件を解決してからにしようよ。そのうえでじっくりと、異世界からやってきたっていう副騎士団長さんからじっくり話を聞かせてもらわないとね?」


 今までの色々と長い話で本来の目的を忘れかけているので、ここでパーティのリーダーであるガルクレスが一旦その目的を整理する。


「まず、やるべきことをもう一度纏めようぜ。最優先に考えるのはあんたがセルフォンっていうドラゴンとマルニスに再会すること。これはいいな?」

「ああ」

「ならばその方法を探すことだが、あの回収したアイテムが関わっているかも知れないのであれを取り戻すことがその中で必要になる。それからあの塔の中でそうしたアイテムが見つからなかったから、このセバクターの因縁の相手である、あの闇の魔術師とやらも捜さなければならないな」

「それと、エリアスの行方も捜すべきなんじゃねえのか?」


 ルギーレがそういうものの、それについてはガルクレスが腕を組んで難色を示す。


「それはそうなんだが……あいつに出会える可能性は低いと思うぞ」

「何で?」

「だってよぉ、まだあいつが本当に闇の魔術師と関わりがあるって決まったわけじゃねえし、そもそもあいつが何者なのかわからねえってのもあるしさ。俺たちだってあいつと出会ってから何度も話をしたけど、今にして思えばうまくごまかされているような気がしていたからさ」

「……つまり、関係がないかもしれないってことか?」


 ガルクレスは首を縦に振った。


「じゃあ俺、これからどうすればいいんだ?」

「マルニスとセルフォンの話も含めて、それをこれから先で調べなければならないんだ。だから……どうにかして、情報が多く集まる場所に向かわないとな」


 ガルクレスがそういう横で、アゴに手を当てて考え込んでいたセバクターが口を開く。


「……危険も伴う提案だが、これはどうだ?」

「ん?」

「メルディアスに乗り込むんだ。このアーエリヴァ帝国の帝都にな」


 最終的な目的地をそこに設定していたとは言えども、それは彼以外の全員が驚くのも無理はない、この人数では明らかに無謀ともいえる作戦であった。


「帝都に乗り込むだって!?」

「ああ」

「おいおい、冗談は時と場合を考えていってくれ。あんたのいっているのは敵の本拠地かもしれないに乗り込むってことだぜ!!」


 勇者の一人であるベティーナだって、帝都からあの塔にやってきたのであろうからそこが本拠地なのは容易に想像がつく。

 口々にパーティメンバーから反対意見が上がるが、そこも見越しての意見だとセバクターはいう。


「だからだ。一旦逃げた敵がわざわざこっちに戻ってくる訳がない……その真理を逆に利用するんだ」


 セバクターがいうには、自分たちが帝国騎士団の団員たちとギルドの冒険者たちに追われているその状況を前提とした上で、今まで幾度となく命の危機に晒されていた。

 塔でのベティーナたちとの遭遇だったり、あの図書館に向かう前の修練場だったり。

 それらの危機的状況は全て、自分たちが指名手配されて追いかけ回されていたからこそ起きたものでもある。


「向こうの気持ちになって考えれば、その追いかけ回されている連中が敵が沢山いる場所に戻ってくるはずがないと考えるのも無理はないだろう。それに、こういっては何だがメインで狙われているのはあんただけだろう?」

「……まぁ、そりゃあ……」


 セバクターに問いかけられたルギーレが首を縦に振った。


「ということは、その他の俺を含めた四人に関しては余り重要視されていない話になる。そして、俺はあの塔で合流した人間だから、こうして一緒にいる姿を見せたのはほんの僅かな人数に過ぎない。だから、あんた以外のメンバーで帝都で情報収集をすることで、効率良く、そしてあんたと一緒に帝都に入るよりも安全に沢山の情報が得られるかも知れない、と俺は考えたんだ」

「ほぉ……」


 この若さで副騎士団長を務めているだけあってか、なかなか頭が回る男だ……とルギーレは素直に感心した。

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