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487.回りくどいやり方

 エリアスの動きも気になるものの、まずは三つ目の遺跡に向かうべく一行は動き出す。

 しかし、ルギーレはその前にルディアたちに連絡を取るべく魔晶石を手に取った。


『……ルギーレ?』

「俺だ。ちょっとまずいことになった」

『え……どうしたのよ?』


 ルディアを通じて今までの流れを待機しているメンバーたちに流したルギーレ。

 それに対して、ルディアからも新しい情報が入ってきた。


『……そういえば、突然いなくなってしまったセバクターさんのことなんだけど……あの人もどうやら冒険者ギルドに登録していない人らしいのよ』

「何だって?」


 ルディアたちが話した情報によると、どうやらセバクターもギルドに登録していない「謎の冒険者」らしいのである。

 そしてそれについて、ルディアが神妙な声色で石越しに尋ねてくる。


『そっちで出会ったっていうエリアスって人と、セバクターさんがともにギルドに登録していない冒険者……これって偶然だと思う?』

「いいや、偶然じゃないような気がするぜ」


 直感でしかないのだが、この二人はきっと何かを隠して自分たちの前に現れたといっても過言ではないかもしれない。

 ルギーレはルディアとの通話を終えて、そのことをガルクレスたちにも話しておく。


「……なるほど、そいつは確かに怪しいな」

「君の事情もわかったけど、まさかクルセイダー団長と知り合いだったとはねえ」

「こっちこそ驚いたぜ。まさかガルクレスがマルニスの副官で副騎士団長だったとはな」


 次々に明らかになる事実に、お互いに頭の中を整理しながらの会話となるルギーレとアーエリヴァ騎士団の三人。

 そしてなんと、あの二つ目の遺跡の地下で倒したドラソンとノレバー、そして図書館で倒したカインとティレジュの四人も騎士団員だというのだ。


「どうやら冒険者だと身分を偽って、各地の遺跡を旅することにしていたみたいだね。僕たちは前々から怪しい行動をしている騎士団員たちがいるって話を受けていて、目をつけていたんだよ」

「しかしまさか、魔物集団の討伐の試験まで受けるなんてよほど手が込んだことをするものだ。それで完全に君はあの男のことを冒険者だと信じてしまったわけだな?」

「そうだよ」


 どうやら、あのカインが魔物討伐の試験うんぬんといっていたのもそのカインを騎士団が徹底的に調べていたことによって、全てはルギーレを最初から目をつけるために仕組んだ三段だったらしい。

 とんでもなく回りくどいことをするものだと考えていたルギーレだが、マルニスと一緒にセルフォンの背中に乗ってこの国に入ってきた時から、帝都メルディアスにいるのであろうニルスに目をつけられていたらしい。

 そしてそのルギーレを捕まえる役目は、ちょうどその落下地点から近くにいたカインに回ってきたのだというのだ。


「そこでどうにかして君を追うために理由づけを考えた結果が、仲間の騎士団員と一緒に芝居をしたらしい」

「それこそがあの、俺が先に魔物討伐をしてうんぬんってことで追いかけ回されることになったあれだな」


 試験官役の騎士団員たちもニルスやカインの息がかかっていたらしく、結局は騎士団の中の不穏分子の策略に惑わされながら、ルギーレはこうして旅をするハメになっていたのだという。


「……でも、結果的にはこれでよかったのかもしれないな」

「何で?」


 せっかく集めて回った物を全てエリアスに取られてしまった結果が、良かったかも知れない?

 ガルクレスの言い分に若干ムッとするも、その続きが気になるのでルギーレは黙って聞くことに。


「だってほら、これから俺たちは三つ目の遺跡に向かうわけだろ? そこにもしまた封印や宝物があるとしたら、それをあんたが回収した所であのエリアスに後ろから殴り倒されて……ってこともあったかもしれねえだろ。だけど、その前にあの男が裏切り者だと判明したから、少なくともその心配はもうねえはずだぜ」

「そうそう。それに遺跡から出た所で襲われても私たちがいるから心配するな」

「……そうか」


 本当にそうなのか? とラーナの町でギルドの連中に待ち伏せされていた時、それからその前にあの修練場で待ち伏せをされていた時のことを思い出して、思わず口から出かかった声を止めるルギーレ。

 どうやら受け答えの違和感に気がつかれはしなかったルギーレの目の前で、良かったと思うのにはもう一つ理由があるとのことで、ガルクレスとヴァラスに続いてレディクが口を開いた。


「それからさっき言ったように、向こうが何をしようとしているのかということは僕たちもまだ調べている途中さ。だけどある程度は今までの騒ぎでわかったからね。君が回収したあの剣と盾、そして図書館の破片らしき物を持ち去ったってことは、それが向こうのやろうとしていることに必要なものだからとは考えられないか?」

「……確かに」


 何かに使う予定もないのに、わざわざあんな複数のかさばるものを持ち去ることはしないだろう。

 もしかしたら換金目的かもしれないが、詳細不明の傭兵である彼はかなりの実力を持っているだろうし、ギルドに所属していないのにここまで一緒に旅をしてきたのなら金に困ることもないだろう、とルギーレは考えた。


「だからあの剣と盾とそれから破片以外に、もしこれから僕たちが向かっている遺跡にも同じようなものがあるとしたら、あいつはまた僕たちの前に現れるだろう。そしてそれを奪い取りに来ると思う」

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