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453.二つ目の遺跡は?

 貯水施設(?)のバルトクス遺跡から出た五人は、次の遺跡に向かうために再び馬車に乗り込んだ。


「場所はもうわかっているのか?」

「ああ。今度も西なんだが、どっちかっていうとここからは北西だな。ほら……あんたが大きく迂回してきた山脈があっただろう。あんたがあのカインに絡まれたっていう」

「ああ、あの鉱山の町が麓にある……ええと……」


 山脈をぐるりと迂回してきたのは記憶に新しいが、肝心の名前がさっぱり思い出せない。

 ヴァラスとの会話に詰まってしまうルギーレを見かねて、横からレディクが口を出してきた。


「ねえ、それってユサテス山脈のことだよね?」

「そうそうそれだ。何か覚えづらい名前なんだよ。まぁそれはそうとして、今度の遺跡はまたそのユサテスって所に向かうのか?」


 ヴァラスは真顔で頷く。


「そうだ。そっちの方向に二つ目の遺跡の情報があるからな。名前はタイトフォン遺跡。ここもさっきの貯水施設と思われる場所だったバルトクス遺跡と同じく、封印がかかっているから入っていけないっていわれている場所だ」

「またかよ……」


 事前に情報として「中に入っていけない」というのはルギーレも聞いていたものの、こう改めて聞かされるとまた面倒臭い事態になりそうなのは目に見えて溜め息が漏れてしまう。


「仕方がないだろう。で……私はあんたがバルトクス遺跡の地下二階のあの魔物を倒したことで、封印が解けたんじゃないかって考えているんだ」

「ん?」


 そういえば封印がどうのこうのって話もあったっけ、と回想するルギーレだが正直自分はよくわかっていない。

 それでも、自分が考えたことを精一杯の言葉で口に出す。


「え……じゃあもしかしてそこにも魔物がいて、それを倒さないと中の捜索はできないってことなのか?」

「そうかもしれないな。バルトクス遺跡だと最奥に辿り着く前に私たちはあの水に邪魔されていたわけだけど、次のタイトフォン遺跡について聞いた話だと奥に進もうとしても何か見えない壁があってそれで進めなかった……という証言もあった」


 結局、実際にそのタイトフォン遺跡に行ってみなければわからないらしい。

そんな彼の話を黙って聞いていた、今はレディクに馬車の御者を任せているエリアスが口を挟んできた。


「でも結局、次のその遺跡でも封印を何とかしないと調査が進まないってことだろう?」

「そうだな。それは仕方ないと思う」

「そこに魔物とかがいるって情報はないのか?」

「さぁ……さっきも言ったがそこまではわからない。そもそも封印がどこまでかかっているのかってのも不明確だし、今のところそれ以上の情報はないんだよ」

「そうか……」


 その二つ目のタイトフォン遺跡に関しての情報を聞けるだけ聞いておこうと思ってルギーレは質問したのだが、やはり現実はそんなに甘くはないようだ。

 それでも、遺跡の位置が把握出来ているのであればそれは大きな情報なので何も情報がないよりマシである。


「それで、そのタイトフォン遺跡だったか。その遺跡についての場所とかの情報も教えてくれ」

「ええとね……そこはユサテス山脈の西側に位置している登山道を上っていくんだ。その山の中に大きな洞窟があるんだけど、そこが遺跡として発見されたって話だ」


しかし、先ほどヴァラスが話していた通りそこにも封印がかかっていて、まだ途中までしか調査が進んでいない。しかもそこの遺跡は聞いた情報ではかなり広いらしく、調べるのに時間がかかりそうって学者が話しているらしいという話もある。


「うーん、そりゃまあ……封印がかかっているんだったら、その通りまだまだ時間はかかりそうだけどな」


 そう言いながら、ルギーレは自分の手元にある自分専用の武器を見つめる。

そしてあの一つ目の遺跡の最深部にあった木箱から回収した謎のロングソードはガルクレスが持っているのだが、そのガルクレスからはこれから先の話が出てきた。


「とにかくこれも手に入れたんだし、ここからその遺跡までは大体三日も馬車で進めば着くんだ。それまでゆっくり身体を休めて、途中でどこかの町にも寄って食料を調達したり、遺跡やギルドの連中に関しての新たな情報を手に入れたりしようぜ」

「そうだな……」


 途中に町がある、と他人から言われるだけでも安心感を覚えるルギーレ。

 結局魔晶石はまだ買えていないものの、町があるならそこで絶対に魔晶石を買おう!! とルギーレは固く決意した。

そんな彼の姿を、エリアスは目を細めて横目で見つめている。


(なるほどねえ……()の情報によれば、剣術に関しては未熟なところがあるけどそれをレイグラードの能力が補ってくれているってことみたいだ)


やはりレイグラードの力は本物らしい、とエリアスが心の中でそう思っていることなど、他のメンバーたちは知る由もなかった。

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