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44.レイグラードにまつわる噂

「これ、は……」

「あくまでまだ噂にしかすぎませんが、あのレイグラードという剣は人ではない者の手によって創り出されたものらしいと」

「そ、そうなんですか?」

「恐らくはそうでしょう。そしてあなたはその使い手として認められた方だと思われます」


 現在の研究結果からすると、大昔に何者かの手によって生み出されたとされているのがあのレイグラードなのだが、創られた詳しい年代や作成者が何者なのかはわかっていない。

 一つだけ言えるのは、人間の技術では到底不可能な量の魔力を内部に溜めていられること。

 この研究結果の報告書類と歴史書の記述からして、ヴァンイストは自分なりの見解を述べる。


「ルギーレさんは、この世界で伝説になっているドラゴンを知っていますか?」

「ああ、おとぎ話で有名なドラゴンでしょ? 人間の言葉を操ることができるって」


 まさかそのドラゴンがレイグラードを創ったのか?

 冗談半分でそう聞いてみたルギーレに対し、ヴァンイストは今までの中で最高の真顔を作りながら首を縦に振った。


「えっ、本当にそう思ってるんですか?」

「そうでなければ、私はあなたにこんな話をしたりはしません。人ならざる者が生み出した聖剣……それはやはり、伝説のドラゴンが創り出したとしか考えられないんです」

「そう言ってもなあ……」

「そしてあなたがレイグラードを握っているときに、紫色のモヤみたいなものが身体の周りを漂っているのを見た、とウォルトーク副騎士団長からの報告もありました。となれば、あの剣はやはり伝説の聖剣レイグラードに間違いありません」


 事実、歴史書にあるルヴィバーの活躍記録にも「彼の身体の周りに紫色のオーラが漂っていた」と記載がされている。

 そんなオーラみたいなものは、普通に魔力を込められて生産されている市販の武器では絶対に出ることはない。

 しかし、仮にそのドラゴンがレイグラードを創り出したとして、どうやってルヴィバーがそれを手に入れたのか? そしてなぜ、自分がそのレイグラードを使えるのか?

 ルギーレの疑問は尽きないのだが、それに対して答えたのはヴァンイストではなくドアの外から聞こえてきた声だった。


「ルヴィバーは、そのレイグラードを創ったとされるドラゴンに出会ったことがあるらしいんだ」

「っ!?」

「へ……陛下?」


 突然聞こえてきたこの部屋の主の声に、同時に驚くルギーレとヴァンイスト。

 そんな二人の目の前で出入り口のドアが開かれディレーディが入って来たのだが、それ以外にもまだ二人の入室者があった。


「全然戻って来ないからどうしたのかと思ったら、こんな所でそんな話をしていたのね」

「ヴァンイスト様……余り陛下をお待たせするのは感心しませんよ」

「ああ、すみませんサイヴェル団長」


 ディレーディとともにルギーレとヴァンイストの元に現れたルディアとザドールにも、これまでの話を聞かれていたらしい。

 どちらにしてもいずれ話さなければならないと考えていたルギーレは、いいタイミングだと割り切って自分の考えていることとヴァンイストとの会話をすべて話した。


「……というわけで、俺がレイグラードを持ち歩いていないと皆さんに迷惑がかかると思うんですよ」

「私は反対だ。ヴァンイスト様の意見と同じく、それはもう我が国のものだから持ち出させるわけにはいかない」


 即座に反対の意を示したのはザドールだった。

 強くなりたいのであれば騎士団の人間に鍛錬や手合わせの相手をしてもらえばよいし、レイグラードの研究だってまだ途中だ。

 しかもそれを持ち歩いてほかの国のものになってしまったらどうするのか? その場合に君は責任をとれるのか? と一気に畳みかけるザドール。

 しかし、それを手で制して止めたのはなんとディレーディだった。


「もうよせ、ザドール」

「陛下?」

「確かに我もお前たちの立場だったらそう言っていただろう。その剣はまだまだ謎が多いからな」


 だが、とディレーディはこう言いだした。


「今現在の我らには、見ての通り復旧作業やあの黒ずくめの連中の調査をするので手いっぱいで、お前たちの相手をしている余裕がない。それに、また狙われるかもしれないというお前の言い分も一理あるから、セキュリティをかなり強力なものにしなければならないだろう」

「え、ということは……」

「ああ、持って行ってもいい。だが、一つだけ条件がある」

「条件?」


 その条件とはいったい何なのか?

 ルギーレを含むディレーディ以外の全員が同じ疑問を抱く目の前で、皇帝はその条件を言うべく口を開いた。

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