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431.思わぬ事故

「……こいつらは番人で、目当ての薬草はどうやらあの奥らしいな」


 そういってガルクレスが一歩踏み出したのだが、その瞬間ミシ……と嫌な音とともに天井が崩れ始める。


「げっ!?」

「うお、やべえ!!」


 そのまま崩落し始める天井を見て、とっさに身体を反応させたその場のメンバーは別々の方向に飛んで崩落から逃れる。

 その飛んだ方向がルギーレにとっては悪く、なんと崩落した壁を挟んで自分一人だけがスケルトンたちのいる側に取り残されてしまった。


「おおい、無事か!?」


 崩落した天井が岩の壁となってしまい、その壁の向こうからガルクレスの声が聞こえてくるがルギーレはそれどころではなかった。なぜなら、その天井が崩れた轟音を聞いたスケルトンたちがジリジリとルギーレの方に近寄ってきていたからだ……。

 こうなったらもう腹をくくるしかない、と開き直ったルギーレはスケルトン軍団に向き直ってレイグラードを構える。

 どうやら奥に見える親玉らしいスケルトンが一回り大きく、その周りのスケルトンは大きなスケルトンから生み出されているのだろうと分析しながらルギーレは戦い始めた。


(このスケルトン軍団……頭を潰せばもう動かなくなるんだな)


 その途中で「頭を破壊すれば倒すことができる」と分かってもルギーレは苦戦。 事実、振り下ろし一発や斬撃一撃で倒すことはできるものの、後から後から湧き出てくるスケルトン軍団にキリが無いのだ。


(骨のある奴らだな!! いや、骨しかないけど……)


 ジョークでも何でもなく、本音からそう思ったのだがいかんせんこの数の差はどうもしがたい。

 だったらどうするか?


(よーし、逃げるのも立派な戦略の一つ!!)


 ルギーレはいったん戦線離脱し、薬草があると言われた奥の方へと進んでいく。

 その途中で崩落した天井の欠片を投げつけ、自分の攻撃で破壊されてバラバラになったスケルトンの骨を別のスケルトンにぶつける。

 それと併用でレイグラードを振るって戦い、お前たちとは力の差が全然違うんだということをスケルトンたちに証明しながら、ルギーレはこの修羅場を切り抜けるべく奮戦する。

 そんな戦い方を繰り返しながら、ルギーレはスケルトンの攻撃を潜り抜けて最深部の広場で何とか目当ての薬草をゲットすることに成功した。


(大丈夫……スケルトンの数は確実に減ってきているし、それに俺はこんな所で死ねない!)


 位置に注意しながら広場のスペースを活かしてスケルトンを潰して行くルギーレ。その甲斐もあって、五分もすれば何とか残るはボスのスケルトンだけになった。

 ルギーレは倒した小型スケルトンの残骸を拾い上げてボススケルトンに投げつけるが、ボススケルトンは右手に持っている錆びたロングソードで振り払う。

 しかもロングソードを振り回して、レイグラードと同じく衝撃波を出すような攻撃をしてくるので厄介である。接近戦に持ち込むのは少し危険だと思うが、それでも今までの戦いの中でルギーレは気がついたことがある。


(小型のスケルトンたちは頭を潰せば動かなくなった。だったらこのボススケルトンも同じはずだ!!)


 対処法をそう読んで頭を狙いたいルギーレ……だが、正直このスケルトンを近くで見てみると自分と頭三つ分ぐらいの身長差があるので狙いづらい。

 遠くから見ても気づかなかった部分が、自分にとって不利な点になってしまった。


(く……っ!! くそ、どうすれば良い……)


 いったんバックステップで距離をとってから、地面に散らばっている他のスケルトンの骨とボススケルトンの方を交互に見やるルギーレだが、その瞬間あることに気がついた。


(あっ、そうか)


 何かを思いついたルギーレはまず散らばっている骨を数本拾い、それを次々にボススケルトンに向かって投げつける。

 当然ボススケルトンはそれを全てロングソードで弾くが、ルギーレはそれを見越して走り出していた。


「ぬおおおおおっ!!」


 全力疾走からの飛び膝蹴りを、その骨の投擲によるフェイントでロングソードを振ることが出来ない状態を作り出されたボススケルトンの頭にヒットさせる。

 ルギーレはその後ろの岩壁に、ボススケルトンを頭から叩きつけて絶命させたのだった。

 そしてそれを見計らったかのように、崩落して塞がれていた岩の壁がギルドのメンバーたちによってぶち抜かれた。


「せいっ!!」


 威勢のいいかけ声とともにガルクレスが広場に飛び込んで来たが、次の瞬間そんな彼の顔に驚きの表情が浮かぶ。


「な、何だよこれぇ!?」


 飛び込んで来た勢いも思わず止まってしまい、驚きの声を上げるガルクレス。それに対して、ルギーレは自分が倒したスケルトンたちの姿を見て呟く。


「どうやらこいつが、ここの魔物達を陰から操っていたみたいだな」

「そうか……しかし、これをお前が全部自分で倒したのかよ?」

「ああ、逃げ場なかったし……でもやってみれば何とかなったぜ」


 こうして依頼達成の条件を満たした一行は、洞窟から出て依頼達成を記載した内容の報告書と薬草をギルドに届けるべく進みだした。

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