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420.突進攻撃の正体

2000ポイント突破しました。

これからもよろしくお願いします。

 そのジルトバートの操縦席に座っているのは、もちろんヘルツではない。なぜなら彼は今、隣国ヴィーンラディにいるからである。

 それではこのジルトバートを操縦しているのは一体誰なのか?


『くっ、素早い!!』


 魔力がまだ戻ってきていない分、ドラゴンの自分は翼に頼ってジルトバートの攻撃を回避しつつ何とか反撃のチャンスを見出すしかないセルフォン。

 しかし、マルニスやルディアたちから聞いた話によれば、このジルトバートという大型人型兵器はすでに倒されて起動不能状態になっていたはずである。

 その後はマルニスが呼んだ騎士団に回収されていったはずなのだが、だとしたらそもそもこのジルトバートは一体何なのか?

 いや……今はそれよりもこのジルトバートを何とか追い払うか倒すかする方が先である。考えることは勝ってからでもできるからだ。


「右です!」

『ふっ!!』


 だいぶ風切り音を聞き分けられるのにも慣れてきたマルニスが、セルフォンを襲撃するべく暗闇に紛れてくるジルトバートの接近してくる音を聞いて、的確にセルフォンに指示を出して回避と攻撃のチャンスを作り出している。

 それと同時に暗闇に視界が慣れてきたというのもあり、よく見てみれば空中で飛び回っているジルトバートの姿も見えるようになってきたのが大きい。


「セルフォンさん、右斜め前方にジルトバートが飛んでいます!!」

『わかった!』


 この空中戦を制する流れは確実にこちらへと向かってきている。

 しかし、そう考えながら一気に接近しようとするセルフォンに対して、ジルトバートは以前マルニスたちを震撼させた攻撃で対抗しようとしてきたのだ。

 それは月明かりに照らされたジルトバートのその肩の部分が、パカッと音を立てて開いたことでマルニスが察した。


「……危ない、避けてっ!!」

『ううっ!?』


 マルニスの声に反応したセルフォンが、首を振って一気に左へと旋回する。

 ワンテンポ遅れる形で、その肩の部分から発射された円柱状の砲弾が風を切ってセルフォンに向かって飛んできた。


『あれが例の追いかけてくるというものか!?』

「そうです!! 逃げ続けていたらいつかは当たります!!」

『わかった、ならば……』


 以前マルニスから聞いていたあの砲弾の撃退方法は、どこかの壁や地面に当てて爆破するか、もしくはジルトバートを始めとする何かに当たるまで爆発しないということだった。

 風の魔術を使って撃墜することができないこの状況。

 ならば同じ方法で撃墜してやると意気込んだセルフォンは、マルニスたちから聞いていた通りうまくその砲弾を誘導してジルトバートに当ててやると意気込んでいたのだが……。


『……うわっ!?』

「わああああっ!?」


 どうやら敵もその前回の敗北をしっかりと反省して対策を練っていたらしく、背中の噴射装置を使って一気に上空へと飛び上がった。

 これで再び砲弾に追われるだけになってしまったセルフォンとマルニスだが、だからといってあきらめるわけにはいかない。こうなったら自爆覚悟でやることをやってやる、と再びジルトバートに接近するセルフォンだが、頭の中は無策でいるわけでもなかった。

 その証拠に、マルニスを乗せたままではリスクが高いと考えながらもこれしかないと判断したセルフォンが接近してきたのを見たジルトバートが、今度は右手に持っているナタのようなロングソードを思いっ切り振りかぶってから振り下ろす。

 それで空中でセルフォンをたたっ切ってやろうと考えたのだが、セルフォンはここで大きく口を開けてそのロングソードの刃をガキン、と空中で激しい音をさせながら咥えて受け止めたのだ!!


『む……ぐぐぐ……!!』


 牙の二、三本が持っていかれてしまいそうになるほどの衝撃だったが、何とかその刃を牙で受け止めることに成功したので、そのまま顎に力を入れてバギンと音を立ててロングソードの刃をかみ砕いてやる。

 それによって、何とかセルフォンの口からロングソードを引き抜こうとしていたジルトバートが後ろにのけ反って空中でバランスを崩したところで、セルフォンがロングソードの破片を吐き捨てつつジルトバートの上に圧し掛かりつつ下へ通していく。


「くううーっ……!!」

『衝撃に備えろっ!!』


 下に落ちていく力に逆らわず、四つの足の爪でしっかりとジルトバートの身体をホールドしたまま、下に迫ってくる岩肌にズガン!! と思いっ切りその赤い巨体を叩きつけるセルフォン。

 マルニスはセルフォンの背中がクッションとなって助かったものの、だからといってまだ脅威がすべて取り除かれたわけではない。


「セルフォンさん、砲弾が!!」

『飛ぶぞ!!』


 岩肌に叩きつけられたジルトバート、そしてたたきつけた側のセルフォンに接近する数発の追尾機能搭載付きの砲弾。

 それにまだ追いかけられていたセルフォンは、翼を使って一気に上空へと舞い上がる。

 先ほどの自分と同じことをされた側のジルトバートは、叩きつけられたダメージから回復する暇もないままに砲弾を避け切れず、その全ての砲弾の直撃によって大爆発を起こしたのであった……。

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