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402.まさかの敵(その1)

 その潜伏部隊を倒しながら進み続け、ようやくひと段落したかと思い一息ついていたルディアたちの元に、新たな敵たちが武装して現れた。

 しかし今までの盗賊風情の連中とは違い、着込んでいる服も年齢も何もかもがバラバラな風貌や格好の人間たちが進んできている。

 もうすぐで地下水脈の反対側の出入り口に辿り着くというところなので、ここは一気に倒して進んでしまいたいというルディアたちだったが、先陣を切って突っ込んでいったカリスドに対して何かに気がついたマルニスが大声で静止する。


「よ……よせカリスドっ!!」

「あん……?」


 しかし勢いのついた力一杯の動きは止まるはずもなく、先頭を歩いてきていた何人かの敵たちがそのままロングバトルアックスによって薙ぎ倒される。

 だが、今しがたカリスドが倒したその人間たちは……。


「……あれ?」

「その人たちは行方不明になっている民間人だっ!!」

「そ、そーいやどっかで見たことある顔ばっかだと思ってたぜ!!」


 捕まっている時から違和感を覚えていたカリスドだが、こうしてマルニスに指摘されてようやくわかった。

 そう……この襲いかかってきている人間たちはそのほとんどが民間人……それも失踪してしまった民間人たちである。

 地下通路の中で見られた何人かもそうだったが、脅されてこうして戦っているのか、それとも自分の意思でこちらに武器を向けてきているのか定かではないが、こうなってしまった以上戦うべきなのだろうか。

 一旦民間人たちから距離をとって心を揺れ動かしているマルニスやカリスドだが、その迷いを悪い方向に吹っ切るセリフがエルヴェダーから出てきたのはその時だった。


『こりゃあ……ダメだぜこいつら』

「どうしてですか!?」

『目の中にもう光がねえ。きっと敵に何かされて、自我を失なった状態で襲いかかってきてんだ!!』


 つまり正常に戻す方法もわからなければ、戻る保証もない上に他にも敵がいるので、ここはこの民間人たちを殲滅させるしかなくなってしまったらしい。


「……すまない!!」


 一言詫びを入れてから、マルニスは敵となった民間人たちに向かっていく。

 すでにこの襲いかかってきている民間人たちは、自我のない化け物として魔物と同等に扱わなければならない。

 それを確信してしまった以上、いっそのこと一思いにやってしまうのが心残りもなくなるかもしれない。

 それが民間人たちにとっても、そして自分にとってもである。

 その考えで次々に民間人たちを倒しつつ、一緒に襲いかかってきている盗賊連中たちも倒していくマルニスたち。

 正直にいえば、こんな戦術も何もない民間人たちへの攻撃は控えたいと思っているマルニスではあるものの、だからといって攻撃をやめてしまえば自分たちが袋叩きにされて終わってしまうだけである。

 だからこそ、武器を持って襲いかかってきている時点で倒すしか選択肢がないのだ。

 例えそれが、失踪した民間人たちであるとわかっているとしてもである。


「くっそぉ、何がどーなってんだよぉ!?」

『知るか!! とにかく全員ぶっ潰せ!! じゃなきゃ俺様たちがやられるだけだぜ!!』


 マルニス以外のメンバーたちも、向かってくる敵たちを倒しながら先へと進んでいくのだが、果たしてこの先に何が待ち受けているのだろうか?

 現時点で思いつくのはそれこそカリスドが言っていた、赤くて大きな金属製の人型兵器の存在。

 それをマリユスやベティーナたちが使ってくるとしたら予想通りの戦いになるのだろうが、マルニスにはもう一つ思い当たるフシがあった。


「もしかして……この先にあのピンク色の髪の毛を持っている若い男がいるとか!?」

『そういえばそんな存在もいたな。結局その男とやらの正体は不明のままだが、もし敵だとしたらここで立ち塞がっても不思議ではないかもしれんな……』


 グラルバルトの言うとおり、あの謎の傭兵らしき男が立ち塞がったとしたらまた話は変わってくる。

 もし彼がいるのだとすれば、何としてでも生かして捕まえて彼が何者なのか、そして何を企んでいるのかなどをもろもろ全てしゃべってもらわなければならない。

 ヘルツの居場所も結局わからないままだ。

 いずれにせよこの先に進めば全てがわかるはずだと考える一行だったが、終点に待ち受けていたのは残酷な現実だった。

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