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391.あいつはどうした?

 しかし、合流しようと地下迷宮をさまよっているうちにとんでもない展開になっているというのを、たどり着いた部屋の外から見てルディアとエルヴェダーの二人は話し合いを始める。


「ちょっと、これって……」

『一難去ってまた一難とはまさにこのことだぜ。とりあえず俺様たち二人だけでは手が回らねえだろうから、マルニスたちを捜しに行こう』

「大賛成です」


 さまよっているうちにたどり着いた、この地下迷宮の中で最も大きな部屋。

 その長方形になっている部屋の中には、なんと勇者のマリユスとその側近のベティーナを始め、多数の武装集団が何かを話し込んでいる姿があったのだ。

 自分たちだけであれば即座に乗り込んで殲滅させることもできるだろうが、そうはいかない事情があったのだ。


『おい、あれって失踪したっていう民間人たちじゃねーの?』

「かも……しれませんけど……ってことは勇者たちが誘拐していたってことですか!?」

『そーなるだろうな』


 縛られて地面に転がされている人間たち、ざっと見ただけでもおよそ百人はいる。

 この人間たちがいるので、エルヴェダーの火炎放射やルディアの広範囲魔術でマリユスたちを一掃できない理由があった。

 そもそもサソリのせいでマルニスたちとははぐれてしまったらしいのだが、あの騎士団員たちはどこで何をやっているのだろうか?

 とにかくマルニスがいなければ自分たちだけでは手に余るので、まずはルディアが地下迷宮全体の魔力を再び探ってどこに彼がいるのかを見つけ出そうとする。


『どうだ? 見つかりそうか?』

「見つかるには見つかったんですが、かなり離れた場所にいるみたいなんです。とりあえず魔術通信で呼んでみましょう」


 直接呼びにいくよりはこの方がマシなので、ルディアが魔晶石を使ってマルニスに連絡を取り始める。

 しかしこんな時に限って、マルニスたちは通信に出てくれないのだ。


「ねえ、ちょっと……繋がらないんですけど!?」

『何だと?』

「ここってそんなに繋がりが悪いのかしら?」

『地下とか建物の中とかは魔術通信だと相手に繋がりにくいのはあるが……わかった。それなら俺様が連絡してみる!』


 事は一刻を争うというのに、何がどうなってしまっているのか。

 エルヴェダーはイライラしながら自分で魔術通信をしてみたのだが、やはり呼び出している時のカンカンカンという規則的な音が虚しく鳴り続けるだけだった。


『くっ、俺様でもダメだ!!』

「そんな! じゃあマルニスさんたちは移動中なのかしら? それとも戦闘中?」

『もう一回探ってみてくれねーか? 頼むぜ』


 先ほど展開した探査魔術を使って、マルニスの位置を再確認するルディア。

 しかし、今回の探査魔術では思いもよらない事態が起こったのだ。


『……どうだ?』

「消えた……」

『はっ?』


 まったくの予想外の言葉に自分の耳を疑うエルヴェダーだが、どうやらマルニスたちの魔力が探査魔術で引っかかっていたのに、その表示が消えてしまったらしいのだ。


『ちょっと待てよ、それって魔力がなくなっちまったってことかよ!?』

「どうやらそうらしいですね。何がどうなっているのかわからないですが、とにかくマルニスさんに連絡を取れないと私たちはまずいですよ!!」


 考えられるのはマルニスたちに何かが起こったということだ。

 それがマルニスたちの意思なのか、それとも何か別の原因があるのかは定かではないが、とにかく何かが起こっているのだけはわかった。


『とにかく、最後に魔力が消えた場所に行ってみようぜ』

「はい。何か手がかりがつかめるかもしれないですね」


 二名の意見が一致して、途中でたまに出てくる人間や魔物を倒しながら到着したその場所だったが、そこには衝撃的な光景があった。


「うわっ、何これ!?」

『くそ……もう息がねえ。それにこれは……血の跡?』


 壁と床にベットリとついている大量の血。そしてすでに絶命している、マルニスとともにいた彼の部下の騎士団員二人。

 その上、点々とその血の跡がどこかに向かってついているのがわかったので、ここで激しい争いがあったのだろうとはわかった。

 それに武器の破片が落ちていることからも、恐らくはマルニスたちが何者かと戦いを繰り広げたらしいのだが、エルヴェダーの分析によると恐ろしいことが判明した。


『これ……マルニスの魔力が感じられる血だぜ。どうやらマルニスは深傷を負ったらしい』

「えっ、だとしたら今はケガを負っているってことですよね?」

『だろうな。ひとまず血の跡を追いかけてみよう』

「そうね」


 とにかく何があったのかは、この血の跡を追いかけていけばわかるはずだと確信したルディアとエルヴェダー。

 そんな彼女たちが血痕を辿って行った先で見つけたのは、地上へと向かって続いているまだ新しい血の跡だった。


『外まで行ったらしいな』

「ええ……追いかけてみましょう」


 地上へと続く坂道を上り、その先にある両開きの扉を開けた先で彼女たちが見たものは……。

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