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356.弱点

 機動力が高く、その上弾丸も飛ばしてきて、おまけに触手でこちらを捕まえようと伸ばしてくる。

 前にも同じような相手と戦った気がするが、その時は屋外だったはず。

 しかし、今は室内。

 天井が高く設計されているとはいえ、逃げられるスペースには限りがある。


(離れようとすれば触手や弾丸が飛んでくるし、近づいたら絶対にあの大きな身体で吹っ飛ばされるか踏みつぶされて終わり!)


 というわけでなるべく詠唱を必要としない魔術か、簡単に出せるエネルギーボールで対抗しようとするルディアだが、何をどれだけ当てても効果が薄い。


(くっ、なんて耐久力なの!?)


 どうやら最新の兵器らしく、魔術に対しての耐性は抜群に優れているようである。

 かといってここで諦めたら自分が死んでしまう。

 どうにかして反撃して、ここから逃げ出せるチャンスを作るしかなさそうだ。


(最初は私でも反撃すれば何とかなるって思ったけど、こんなのが相手じゃあ絶対に勝てないわ!)


 だったらやっぱり逃げるしかない。

 でも窓から飛び降りるのは抵抗があるし、ドアには近づけそうにない。

 ならば何とかこの機械兵器の弱点を探すべきだと考えるルディアだが、すぐに見つかったら苦労しないのだ。


(身体が大きいから肉弾戦では絶対に勝てない。でも金属の身体になかなか魔術は効かない……)


 ならどうすればいいのか?

 自分はやはりこんな相手には勝てないのか?

 こんな戦いを挑むこと自体無謀だったのだろうか?

 そんないろいろな考えがグルグルと頭の中を駆け巡る中で、反応が遅れてしまったルディアは触手に足をすくわれてしまう。


「きゃっ!?」


 ルディアが転倒したのを察知した機械兵器は、すぐさまもう一方の触手で彼女の右足を掴んでぶら下げる。

 もちろんパワーでは絶対にかなわない以上、彼女はあっけなく宙づりにされてしまった。


「きゃあああああっ!?」


 視界が上下逆さまになる。

 それでもここであきらめるわけにいかないルディアは、必死にエネルギーボールを両手に生み出して、機械兵器の顔の部分めがけてそれを飛ばした。


「ふざけるんじゃ……ないわよ!!」


 バシュッと音がして飛んで行ったエネルギーボールだが、やはり視界が上下に反転しているのがあだとなってコントロールも何もなかった。

 狙いを大きく外れたエネルギーボールはそのまま天井へと飛んでいき、そこについている出っ張った部分にぶち当たる。

 しかし、それがルディアにとって反撃のチャンスを与えることになった。


「え……きゃっ!?」


 ブシャーッと天井から降り注ぐ、細かい大量の水の針。

 そう、彼女がエネルギーボールを当てたのは天井についているスプリンクラーだったのだ。

 それをまともに浴びてしまった機械兵器が、ギギギ……と重苦しい音を立てながら動きをスローモーションにさせる。

 そしてルディアの足を掴んでいた触手の先の指からも力が抜け、彼女を床に落っことした。


「あべっ!」


 ゴン、と間抜けな音を立てて床に落ちたルディアだったが、頭と床の間の高さが人間の成人男性の拳で七つ分ぐらいしかなかったので、そこまでのダメージはない。

 だが、水をかぶった機械兵器は明らかにダメージを負っているようだった。


(も、もしかして水に弱いの……?)


 内部機構にトラブルが出ているようである。

 先ほどは自分の放った魔術をいくら食らっても効果がなかったのをこの目で確認しているし、火を使うのは危険だと判断して水系統の魔術を中心に戦っていたのだが、いったいどうして?

 それは、天井から噴き出している水そのものに特徴があるからだった。


(もしかして機械兵器が水系統の魔術を防げていたのは、魔力を含んだ水だったから……?)


 普通の水には魔力は含まれていない。

 しかし、魔力を含んだ水属性の魔術であればその魔力をブロックしてしまう。

 今回はそのただの水、しかも際限なく降り注ぐ天井からの雨によって内部機構にトラブルが出てしまっているようだ。


(とんだ欠陥兵器じゃないのよ!)


 こうなったら自分にも勝機がある。

 機械兵器がバチバチと音を立てている今がチャンスだとばかりに弱点を探せば、その腹の部分に赤い点が光っているのを発見した。

 もう怪しい所はあそこしかない。


「くらえええええええええええ!!」


 ルディアが絶叫しながらエネルギーボールをその赤い点にぶつけてみれば、そのまま吸い込まれていったボールが内部から弾けたらしく、機械兵器が爆発したのである……。

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