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313.見つけたー!

 同時刻、ようやく全ての魔物を討伐してひと段落できていたルギーレたちだったが、そこでルギーレの耳が妙な音をキャッチした。


「……ん?」


 カチャカチャ、キイキイと変な音が聞こえてくる。

 魔物たちがいなくなって静かになったこの平原で、明らかに自分たちではない何者かが発しているその音に、ルギーレは下ろしていた腰を上げて歩き出した。

 その彼の行動に最初に気がついたアサドールが声をかける。


『……おい、どこに行くんだ?』

「さっきから変な音が聞こえるんですよ」

『音?』

「そうなんですよ。何か妙な音なんですけど、それが気になって仕方ないんです」


 どうやらそれは、平原の近くにある森の中から聞こえてくるらしい。

 その報告を受けた、人間よりも聴力に優れるドラゴン二匹もそういえば……とルギーレと同じ金属音をここでやっとキャッチした。


『確かに聞こえるな』

『そうだなあ。変な音だぜ。調べるだけ調べてみっか』


 ただしそのままではドラゴンのズシンズシンという重苦しい足音が響いてしまうので、事前に薬を使って人間の姿になってもらい、ルギーレと一緒に森へと向かう二人。

 すると、そこでお目当てのものを見つけたのだ!


『……あっ、あれだ!!』

「あれって?」

『俺様が戦った奴だよ。金属製の鳥だ!!』

「……そうか、あれがそうなんですね」


 三人の視線の先には、ワイバーンぐらいの横幅と高さに加えてドラゴンと同じぐらいの縦の長さがある胴体を持ち、非常に硬そうな翼を備えているダークグレー色の金属製の鳥の姿があった。

 そしてその金属製の鳥……戦闘機を操っている二人の人間たちの姿もある。

 その二人の姿は、ルギーレにとってはどうしても忘れられないものでもあった。


「マリユスにベティーナ!」

『緑の鎧の女の方は、お主が地下で戦ったって言っていた方か?』

「そうです! 今度こそ逃がさないですよ……」

『俺様だって同じだ。よし、ここはアサドールがまずあいつらを木の枝を操って縛ると同時に、俺様とお前で後ろから奇襲をかけて……』


 パンッ!!


『……え?』

「ん?」

『ぐっ、おお!?』


 パンッパンッパンッ!!


『ぐぅ、あっ、げはっ!?』

「え、ちょ……!?」

『やばい!!』


 奇襲をかけて一気に仕留めるつもりが、三人の方が逆に奇襲をかけられてしまった。

 いくらルギーレの聴力がレイグラードの加護でアップしていても、伝説のドラゴンが人間になった姿だったとしても、意識が戦闘機とそれに乗っていた人間たちにばかり向いていた。

 その結果、後ろから近づいてきたもう一人の仲間に気付かずに、まずはアサドールがその餌食になった。

 連続して森の中に響き渡るその乾いた音に、戦闘機をいじっていた二人も異変が起きていることに気がついた。


「何だ?」

「あっ……あの役立たずじゃない!」


 まさか自分たちが自衛のために配置していた多数の魔物たちを突破されたのか? と一瞬不安になるマリユスとベティーナだったが、そんな二人が襲われる前に襲ったのが仲間の彼女である。


「ふう、間に合ったわ」

『てんめぇ……ぐおっ!?』

「伝説も形なしね」


 飛びかかろうとしたエルヴェダーに向かって、リュドが引き金を連続して引けばまたもや乾いた音が連続で響き渡った。

 そして、その弾丸を受けたエルヴェダーはまさかの事態に腹を血で染めながら血を吐き出す。


『げはっ、がは……!?』

「時代は変わるものなのよ。これであなたたちの時代は終わり……ぐはっ!?」


 セリフを言い終わらないうちにリュドの身体が吹っ飛ぶ。

 それは三人がなかなか戻ってこないことを心配した残りの三人のうちの一人、バリスディの飛び蹴りが彼女の背中に炸裂したからであった。


「らああっ!」

「させるか!」

「くっ!?」


 地面に倒れたリュドにロングバトルアックスを振り下ろそうとしたバリスディだったが、そこに駆けつけてきたベティーナの弓による狙撃が邪魔をする。

 間一髪で危機を逃れたリュドだったが、弓使いならルギーレたちの方にもいるので、そのヒーヴォリーが立ち上がったリュドを狙おうとする。

 だが、それを止めたのが勇者マリユスの魔斧ドライデンだった。


「この国の騎士団に気付かれないようにやってきたのに、ここで他国の騎士団に邪魔はさせない」

「ふざけるな。私たちは貴様らに被害を受けている立場なのだからな。ここで大人しく捕まって、何を企んでいるのか洗いざらい話してもらうぞ」

「嫌だね」


 遠距離戦ならヒーヴォリーが断然有利だが、この森の中では接近戦が得意なマリユスに分がある。

 だったら戦う相手を変えればいいと判断したヒーヴォリーは、逃げて行くリュドを追いかけ始めた。

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