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304.解決していない問題

 だがその前に、このシュアの中でまだ解決していない問題もあるのだ。

 失踪した魔術師たちはいったいどこに行ってしまったのだろうか?

 その答えが未だにつかめないままヴィーンラディへと行くことになるのかと思いきや、思わぬところからその情報が出てきた。

 それは今、この場にいないルギーレたちのチームからの魔術通信が入ったことから全てが始まった。


「え? 気になるものを見つけた?」

『そうなんだよ。そっちは今、海の所にいるのか? だったらこっちに戻ってきて俺たち拾ってくれよ。これはレフナス陛下にも報告しなきゃならないだろうしよお』


 お互いに簡単に状況を説明した後、そのルディアとルギーレの会話をきっかけにいったんニウニー山脈まで戻って合流し、二匹のドラゴンの脊中に乗せてもらって王都コーニエルまでひとっ飛びである。

 馬はドラゴンたちが回収してきてくれるとの話だったので、一行はレフナスの元へ報告に向かう。



 ◇



「……ふむ、そうなると赤水晶を使って新たな兵器を開発しようとしているらしいですね」

「はい。その資料に書いてあることによると、その赤いドラゴンから報告があった飛行物体もその一例かと」


 レフナスにそう報告するルギーレのチームが見つけたものは、あの採掘場の中にある様々な紙の資料だった。

 それをかき集められるだけ集めて、城に来る前に全員で内容を確認したところ、あのニルスはとんでもないものを次々と開発しようとしているらしい。


「こんなものが世の中に出回るようなことがあれば、国の一つや二つは滅びてもおかしくはないでしょう」

「でしたら、俺たちはその逃げ去っていった飛行物体を追いかけてヴィーンラディに向かおうと思っています」


 そう宣言するルギーレだが、彼の意思に反してレフナスは難色を示す。

 なぜなら、レフナスの考えている問題はルディアに関することだったからだ。


「ううーん、それは私も許可したいのですが……今はまだ危険かもしれませんね」

「危険?」

「ええ。私たちとヴィーンラディは隣国だからというのもあるのですが、それ以上に魔術に強いという点で様々な繋がりがあります。あなたと一緒に行動しているルディアさんは、元々ヴィーンラディからやってきた方なのですよね?」

「そうです。確か、ルディアの予知夢を疑問視している反予言者派の一派がいるって話で……」

「それなんです、私が危険だという意味は」


 過激派と言ってもいいぐらいに、その反予言者の一派はルディアを狙っているらしい。

 ルディアはその時のことを多くは語ろうとしないものの、レフナスを始めとするシュアの人間たちにとっては彼女を探している反予言者派の人間たちが、この国でもいろいろと活動をしているのを知っているらしい。


「この城までやって来て、予知夢を見るあの女を出せ! と大騒ぎしていたのも記憶に新しいです。さすがに陛下に危害を加えさせるようなことはしませんでしたが、こちらとしてはそんな過激派をこのまま放っておくわけにはいかないんです」


 レフナスから説明を引き継いだアルバスが、城での騒ぎにまで話が広がっていることを伝える。

 そして肝心のルディアはといえば、かなり何かを思い詰めているような表情になっていた。


「私たちとしても、その飛行物体に関しては非常に興味がありますし追いかけなければなりません。ですが、ルギーレさんは許可できてもルディアさんはこの国を離れてヴィーンラディ以外のどこか別の場所に向かうか、この城の中で待機しているかのどちらかを選ぶべきだと思います」


 アルバスの言うことはもっともだが、かと言ってこのままルディアが動かなければ話も進まないだろう。

 ヴィーンラディにはヴィーンラディの事情があるのだ。

 その場はひとまずお開きとなり、レフナスの執務室から与えられた部屋へと向かったシュア以外の人間たちとドラゴン二名は、これからどうするかについて考える。


『一番いいのは、あの戦闘機とやらが戻ってきてくれることだ。あれを撃墜さえしてしまえばヴィーンラディに向かう用事もなくなるからな』

『そーだよな。あいつがヴィーンラディに向かったからこそ、俺様たちもヴィーンラディに向かうかどうかってことになってんだしさ』


 今までと違って、この王都コーニエルもブラハード城も襲撃されていない。

 しかし、その戦闘機と激しいドッグファイトを繰り広げたエルヴェダーによれば、当初その戦闘機はコーニエルの方角に向かっていたとのことだ。

 それを考えると、エルヴェダーとの戦いで色々と修復しなければならなくなってしまった部分を直して、再びここに向けて飛んできて、あの弾丸の雨や筒状の太い弾丸でこのコーニエルを破壊しようと考えているのはすぐに察することができた。

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