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293.目的は?

 そして、シュア王国方面の登山道を再度調べ直すことになったルギーレ、グラカス、エリフィルの三人の剣士たち。

 他のグループからの連絡はいつか来るのだろうかと考えながら、自分たちは登山道の隅から隅までを探索することを心掛ける。


「二人はこの山のことは知り尽くしているんですか?」

「私よりもグラカスの方が詳しいですよ。グラカスが率いている第一騎士団は大陸の北側で警備を主に担っている騎士団ですからね」

「そりゃそうだ。エリフィルたち第二騎士団は南側だからよ。でもそんなことより、俺たちが気をつけなきゃならねえのは魔術師が大量に消えちまったってことだよなぁ」


 グラカスいわく、魔術師はシュアにとって貴重な財産であるからこそ失踪してしまったことは重大な損失になると考える。

 やはり国の機密事項が他国に流出してしまうことが懸念されるし、もしニルスというルギーレたちの宿敵の仲間になることがあれば、シュアに対して他国同様に襲撃を加えられる可能性だってあるわけで。


「今の段階では何とも言えませんが、最低でも私たちの仲間である魔術師たちの何かの手がかりは欲しいところですね」

「まったくだぜ。お前らからの話を聞く限りでは、その勇者様たちが使ってたっていう黒いオーラを撒き散らす武器の話もあるんだし、俺はどうにも無関係には思えねえんだよな」


 そう、確かにそうなのだ。

 ニルス、マリユスたち、そしてバーサークグラップルの残りのメンバーたち。

 その連中がこの国にも乗り込んで来ていないとも限らないし、自分たちの動きを把握されていないとも断定できない。

 ルギーレだってそれはわかっている。


「とにかく何かないか探すしかないですね。俺は地元の人間じゃないから道は全然わからないですけど、何か嫌な予感はしますね……」


 その嫌な予感が当たらなければいいけど……と考えるルギーレだったが、このシュア側の登山道には嫌な予感の原因が確かにあることを思い知らされた。

 それが、四方向に分かれているこの頂上の登山道の合流地点に来る途中にある脇道に入り、先に進んだ所にある洞窟だった。


「何かすごくキラキラしてますね。何ですか、ここって……?」

「ここは鉱物が採掘できる洞窟なんだ。中はかなり広くて、地下三階まで続いているんだけどよぉ、今は採掘シーズンじゃねえから出入り口は開いてねえはずなんだがなあ?」


 出入り口からもれ出てくるその光が幻想的な洞窟だが、グラカスいわく今の時期ここは封鎖されて、人の出入りが出来なくなっているらしい。

 なのにそこが開いている。しかもグラカスが見つけた、多数の人間の新しい足跡が侵入者があることを告げていた。


「もしかしたら、お前の嫌な予感は当たってしまったかもしれねえな」

「おいおい、不吉なことを言うなグラカス」

「当たっていなければいいだろーが。じゃあ行くぜ」


 ズンズンと自信満々に足を進めるグラカスに続き、エリフィルとルギーレも洞窟の中へと進んでいく。

 このニウニー山脈では所々で鉱物がいろいろと採れるらしいのだが、それを狙った悪質な盗掘者たちがたまに現れるとエリフィルが説明する。


「いたちごっこというか、捕まえても捕まえてもこの山の鉱物を狙ってくる連中というのは後を絶ちません。各国がそれぞれ盗掘を阻止すべく監視所を設けていたりしますが、旅人に変装されたり獣道を通って侵入されたりしますから、全て防ぐのは無理なんです」

「そりゃまあ確かにそうですね。でも、このニウニー山にそんなに価値のある鉱物って多いんですか?」

「ええ。多く流通している物は価値が低いですが、中にはルギーレさんの言う通り希少価値の高い鉱物も存在しています」


 その中でも特に多くの盗掘者を魅了してやまないのが、この山のどこかにあるという「赤水晶」の存在だとか。


「赤水晶はこの山の中では希少価値がナンバーワンですが、その理由は多くの魔力を蓄えている魔晶石としての価値です」

「それってどれぐらい何なんですか?」

「そうですね……あなたが他の国に連絡用として使っている、魔術通信用の魔晶石がありますよね。赤水晶は同じ大きさでそれの千個分と言われています」

「ええっ、それはすげえや!! 勇者パーティーにいた頃はこの山を通ったことはあったんですけど、その話は初めて聞きました!」

「そうなのですか?」


 だが、前を歩きながらその二人の話を聞いていたグラカスが急に自分の意見を述べ始めた。


「なぁ、もしかしたらさっきの足跡の連中もその赤水晶を狙ってきてんじゃねえのか?」

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