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269.最先端技術

「……あいつら、俺たちの味方になるんですかね?」

『いや、それはないだろう。だがだからと言って、私たちに協力するという風でもない。もしかしたらニルスたちとは別の第三勢力になるかもしれないな』

「あーもーめんどくせーな!! また厄介な問題が増えそうだぜ……」


 それよりもあの連中がここにいるということと、話の内容からしてルディアとレイグラードに万が一のことがあるかもしれない。

 レイグラードは奪われても奪われても自分の元に戻ってくるからまだいいとして、問題はルディアの方である。


「ルディアがまたさらわれたなんてことになったら、それこそあいつらの思惑通りに事が進む可能性だってありますよねえ?」

『考えられない話ではないが、ルディアもルディアで最強の魔術師だといわれているのだろう?』

「まーそりゃそうなんですどぉ、あいつは魔術を封じられたら全然戦力外になっちまうんですよ。かといって俺だけじゃあね……」


 そこまでルギーレがぼやいた時、またカツコツと牢屋の外から複数の足音が聞こえてきたので、二人はガラス越しに誰が来たのかを見てみる。

 するとそこには、あの宿屋で自分たちを捕まえた茶髪の男でもなく、かといって黒髪の隻眼の騎士団員でもない、また別の人物が立っていたのだ。

 それはというと……。


「……女?」

『そのようだな。それにこの武装からするとそれなりに位の高い人間だろうが……あ!』

「知ってるんですか?」


 当然ルギーレは面識がない相手なのだが、何度かこの王国騎士団に武術指導に来ているグラルバルトはその女の騎士団員にも見覚えがあるのを思い出した。


『そうだ、思い出した! この眼鏡をかけた緑髪の女は、第三騎士団のメリラ・サーリュヴェル団長だ』

「第三騎士団っていうと確か、イディリークのローレンさんが率いている近衛騎士団のような、国王の身辺警護を主に担当している騎士団でしたっけ?」

「昔はその通りだったけど、今は王都全般の警備担当よ」


 グラルバルトが答える前にガラスの向こう側から聞こえてきた女の声こそ、そのルギーレの言っている第三騎士団団長のものであった。


「あなたたちを迎えに来たわ。そしてレフナス陛下がお待ちだから一緒についてきて」

「陛下が?」

「そうよ。今回の件でいろいろと話し合いをした結果、あなたたちよりも先にここにきている二人と一緒に協力してもらうことになったの。それがこの国から無事に出る条件よ」

「条件だって? そんな一方的に……」


 言われても困るぜと言いたかったルギーレだが、その途中でメリラが話を遮った。


「言う権利がこっちにはあるの。あなたたちとあのレイグラードという剣はこの国でもすでに小さな騒ぎを起こしているの。だから私たちに協力してもらうわよ。それに今回協力してもらいたいその話は、今までのあなたたちの話とまるで関係がないわけじゃないかもしれないし」

『……それはまさか、他国が襲撃されている話か?』

「ええ。その件に関してはこっちにも少なからず情報が入ってきているけど、今回あなたたちが来ているからってことで本格的に調べることになったわ。まぁ、それとは別の話を今回はあなたたちに協力してもらうことにしたから、詳しくは陛下から直接話を聞いて」


 冷たい感じのするメリラは、ルギーレにとってはどちらかといえば苦手なタイプである。

 グイグイ来る馴れ馴れしいタイプも余り好きではないが、愛想がなくつんけんしているタイプはもっと嫌いなのである。


(仮にこの女と付き合えとか言われたら、俺は全力でお断りしたいね)


 心の中でそう思われているとは思ってもいないメリラの後に続いて、牢獄を抜けてこの国の国王が待っている場所へと向かうルギーレとグラルバルト。

 その途中で改めていろいろと見渡してみれば、この魔術王国の異名を持つシュアがどれだけ他の国と違うのかを嫌でも思い知らされてしまう。


(見慣れない物体がところどころ天井についているし、その天井から地下を照らす照明だって他の国で見てきたのとは全然違う、しっかりとした細長いものだし……床にもところどころに照明がついているし、ドアだって自動で開くし……)


 そういえばここに連れてこられる時には確か自動で動く階段もあったし、普通のカギではなくてカードをかざして「ピッ」と音がしてロックが外れる仕組みのドアもあった。

 しばらくこの国に来ていなかったし追放されてから来るのは初めてだし、そもそもその初めて来た時だって陛下に顔合わせをしただけだったし設備のことまで余り気が回らなかった。

 それがこうしてよく見てみれば、かなり高度な文明を築いているのだと感心するルギーレは、グラルバルトとともに久々にその国王と謁見をするのであった。

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