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256.伝説のドラゴン?

「え? 城にいる?」

『そうなんです……ちょっと今ルギーレが一人なんですよ。お願いできますか?』

「おい待て、どうしてそんなことになったんだ?」


 ニルスたちの手がかりを求めて、コーニエルの城下町をいろいろと聞いて回っている最中だったティレフのもとに突然飛び込んできた魔術通信。

 それはなんと、セフリスとともにルギーレの看病をしていたはずのルディアからの連絡だったのだ。

 彼女は今、セフリスとともにブラハード城へと行ってしまったらしく、せっかく運び込むのを許可してもらった町の宿屋にルギーレが一人ぼっちで放置されているのだと連絡を受けた。

 すぐにその宿屋へと戻ったティレフは、ひとまずルギーレが無事だったことに安心したのだが、あるものがなくなっていることに気がついた。


(あれっ、ルギーレの使っているレイグラードがない!?)


 そう、ルディアとともにレイグラードも忽然と姿を消してしまっていたのだ。

 ルディア曰く、今までの旅路の中で、レイグラードは持ち主の手を離れても勝手に戻ってくるとのことだったのだが、それでもなくなっているとわかれば焦るのが当然だった。

 大急ぎでルディアに魔術通信で連絡を入れてみるのだが、今度はそれもつながらずにさらに変な汗が噴き出るティレフ。


(というか、どうしてこの男をここに放っておいて城に行ったんだ!? さっきは何やら急いでいたみたいですぐに通信が切れてしまったが、少なくともどうして城に行くことになったのかをきちんと説明してくれないと俺も納得できないぞ!!)


 セフリスまでいなくなってしまっているということは、きっと魔術師部隊が絡んでいるのだろうと察しはつく。

 だが、それもこれもすべて想像に過ぎない。

 だったらすぐにでもブラハード城に向かうべきなのだろうが、ルギーレを放置して行くわけにはいかなかった。

 じゃあいったいどうすればいいんだとあたふたするティレフのもとに、今度は魔術通信が入ってきた。

 もしかして、気がついたルディアからの連絡かと思って通信を受けてみるティレフだったが、聞こえてきたのは聞き慣れない男の声だった。


『バーレン皇国騎士団のティレフ・レルトインとは君のことか?』

「そうだが……誰だ?」

『私はグラルバルトと申す者だが、君は今どこにいるんだ?』


 何だこの相手は。

 いきなり通信を入れてきて、今どこにいるだと? 非常識にも程があるだろう。

 そう思いながらティレフはまず相手に身分を明かすように求めるが、その相手はとんでもない存在だった。


「その前にそっちは誰なんだ? まずはそれを言ってからこっちの現状を聞くのが筋じゃないのか?」

『それは失礼した。私はそなたのバーレンを見守っているシュヴィリスや、ファルスとイディリークを見守っているセルフォンと同じく、シュアを見守っているドラゴンの一匹だ』

「……は?」


 おいおい、この相手は何を言っているんだ。

 いきなり通信を入れてきた相手が、まさかの伝説のドラゴンの中の一匹だと? ふざけるのも大概にしてもらいたい。

 ティレフは頭に怒りと疑問しか浮かんでこないながらも、とりあえず話だけでも聞くことにする。


「ああ……そう。それでその伝説のドラゴンとやらが俺に何の用だ?」

『それについてなんだが、レイグラードの使い手である若い男が倒れたとセルフォンから連絡を受けてな。それであの医者の代わりに私がそちらに向かうことになったんだが、場所を教えてくれないか?』

「……コーニエルの宿屋だ。中央通りにあるソールデッジって所だよ」

『わかった。だったらちょうど近くにいるからすぐに行く』


 すぐに来る?

 そんなに早くドラゴンが来られるというのか?


(そもそも俺はこのルギーレやルディアたちから話として聞いているだけで、実際に人の言葉を理解するようなドラゴンに出会ったことはないんだよな……)


 それに他の話によると、普段は人間の姿に化けてその人間社会の中の生活に溶け込んでいて、世界を見守る存在となっているらしいが、実際にこの目で見たわけではないので信憑性がどうしても薄いと感じてしまうティレフ。

 そんな彼と、未だにうなされながら寝ているルギーレのいる宿屋の部屋がノックされたのはその時だった。

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