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246.王都の異変(ラスト)

 揺れる、揺れる、揺れる。

 突然王都ベルトニアを襲った強い地震。その揺れは収まる気配がないどころか、悪化する一方だ。

 しかもそれに加えて、地下からいきなり多数の火柱が上がり始めたのだ。


「いったい何が起こっている!? 状況はどうなっているのだ!?」

「現在騎士団が魔物討伐と並行して事態の把握と収拾に努めておりますが、手が回っていません!」

「くそったれ! こうなったら俺も一緒に行く! とにかくいろいろ急げよ!」


 騎士団長のローエンの報告に、国王となったカルヴァルはこの気持ち悪い揺れに耐えながら、自分もどうにかして出撃をしようと試みる。

 しかしローエンも立っているのがやっとらしく、何がどうなっているのかを把握することすらままならない。

 そう思いながらも耐え続けること、およそ五分。

 ようやく揺れが収まったらしく、満足に動けるようになった二人は改めて城下町の様子を見に行こうと窓の外を見たのだが……。


「げ!?」

「こ、これは……!!」


 城下町の至るところで火の手が上がっており、そこかしこで住民たちの悲鳴や怒号が聞こえてくる。

 前代未聞のパニック状態にカルヴァルもどうしていいかわからないのだが、一つだけ言えることがあった。


「まさか……これって前にラーフィティアが滅んだってシチュエーションと同じじゃねえのか……?」


 窓の外を見て呆然としながらカルヴァルが呟いたちょうどそのころ、パニックになっている城下町でも同じことを呟いている男がいた。


「くそ、これってラーフィティアが天変地異で滅んだ時と同じじゃないのか?」


 パルスは苦々しくそう言いながら、魔術を使って向かって車物を無力化させる。

 いきなり地震が起きた。地下から火柱が何本も吹き上がった。

 そして魔物たちの襲撃はいまだに続いている上に、まだ何か起きる気がして不安しかないこの現状。

 それでも戦い続けるしかないのである。


『おいパルス、そっちはどうだ?』

「こっちは少し落ち着いてきている感じだけど、ラルソンは?」

『俺の方もまあまあ何とかなっている。ロクエル団長も一息つけるようになってきているからな』


 こうしてお互いに連絡を取り合いながら、イディリークからやってきた三人はラーフィティア騎士団と協力してベルトニアの騒動を鎮めにかかっていた。

 しかし、どうしてこのようなことが突然起こったのだろうか?

 原因がさっぱりつかめないまま、とにかく目の前の問題を処理することにすべてのエネルギーを注ぎ込むしかない三人が奮闘する一方で、魔術師であるジェバーが最初に異変に気が付いた。


(地下から感じられる魔力がどんどん濃くなっているし、量も多くなっている。これは何かまずい予感しかしない!!)


 別の意味でテンションが高くなっている彼は、住人たちを少しずつ町の外へと逃がし続けていた。

 魔力が地下から感じられる。それにさっきは大きな魔物も現れて、何とかそれを撃退することに成功したのだが、ならどうして魔力の量が増え続けているのだ?

 ひとまずこれ以上城下町の住民たちに被害が出るのを防ごうと、騎士団と魔術師たちで協力し合って町の外へと住民たちを移動させているのだ。


(これは私のカンでしかないが、このまま町の中に居続けると危険な気がして仕方がない)


 住民たちの避難がすべて終わったら騎士団も撤退すると決めているのだが、次から次へと地下から現れる魔物たちがその行動の邪魔をしてくるのだ。

 どうにかしてその原因を突き止めて元を絶たなければならないのはわかっている。

 しかしそれをしようにもなかなか話が進まないので、現在は騎士団副長のルイスが主導して魔物を食い止めているままの状態だった。

 そのルイスはといえば、あらかた魔物を倒してやっと一息付けていた。


「はぁ、はぁ……さすがにきついな……しかし何が起こっているのだ?」


 本来であれば隠密行動を得意とする自分が、こうして前線に出て戦うこと自体がなかなか珍しい。

 それでもわざわざこちらまで戻ってきてくれたジレフィン、ヘーザ、シャブティたちの頑張りを無駄にしないためにもここで自分が音を上げるわけにはいかなかった。


(それにやぐらを破壊するためにわざわざ現地まで飛んでくれたバーレンのレルトイン騎士団長や、現地に向かっているはずのケイナーク連隊長、そしてあのレイグラード使いの男や魔術師の女も頑張ってくれているんだし……ん?)


 そこでふと気が付いた。

 今まで何かしらの異変がここベルトニアで起こったのは、各地のやぐらを壊してからである。

 もしかして今回の異変は、報告にあった最後のやぐらを破壊したから……?

 ルイスがそう思った矢先、ベルトニアの地下から気分が悪くなるほど濃い魔力を感じ取ることができた。

 そしてそれが予想外の形となって、このベルトニアを襲い始めたのだ!

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