表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

208/629

201.位置、心配、人選

 地図で確認したところによると、若干いびつな形ではあるものの国内の六ケ所になるべく等間隔になるようにやぐらが配置されている。

 ラーフィティアの王都であるベルトニアは、国の中央北に位置しており海に面した場所なので、そこから北の方にやぐらは設置されていない。


「設置されているのはヴィルトディン側の東、北北東、それから西と南西、最後に南南東と南東の全部で六つで、私たちは南西の方に向かうんだな」

「そうだよ。そこがさっきの町から一番近いからな」


 その一つ目のやぐらを破壊したら、次は西のやぐらへと向かう。

 次は来た道を戻って南方面へ向かい、東へと回って行き残りのやぐらを破壊する旅路を考えているんだ、とローレンやルギーレたちに言うカティレーバー。

 だが、そこで一つの疑問が浮かんだティラストが質問する。


「あの、それってこのラーフィティアの騎士団や国王様には報告済みなのでしょうか?」

「ああ、それだったらもちろん報告済みだよ。いくらそんな怪しいものを破壊しに向かうのだって、さすがに他国の軍人である僕が独断で勝手に動くわけにはいかないからね」

「そうですか。それなら安心ですね」


 事実、すでに彼の主君であるシェリスとこの国の国王であるカルヴァルとの間で、今回の話についてきっちりと話し合いが行われて行動許可は取ってあるのだという。

 シェリスは奔放な性格であり、よく城を抜け出してはロオンやカティレーバーに迷惑をかけていたらしいのだが、皇帝としての仕事は割と真面目にやっているらしい。


(まあ、さすがに彼もおっしゃっている通り他国の軍人が勝手に動くわけにはいきませんでしょうし、彼一人だけでは六つのやぐら全てを破壊するのはきついでしょうから、協力体制は整えておかなければなりませんね)


 話が通っているのであれば問題はないだろうと考えるティラストだが、一方でイディリークの三人衆の一人であるラルソンは妙な気配を感じていた。


「なあ、俺さ……なんだか嫌な予感がするんだよ」

「なんでだ?」

「そう言われると気のせいかもしれないんだが、なんかこう……もうちょっと調べた方がいいと思うんだけどなあ」


 ラルソンのセリフに、パルスはハハッと乾いた笑いを漏らす。


「そんな心配すんなって。お前は心配しすぎなんだよ、いつもさ」

「逆にお前が心配しなさすぎなんだよ……」


 パルスは余り物事を深く考えず、まずやってみようという前に出ていくスタイル。

 対するラルソンはパルスと対照的であり、いろいろと考えて準備をしてから物事に挑むルギーレのようなスタイルである。

 どちらも騎士団や兵士部隊でそれなりの地位についているだけあり、正解のアプローチは一つではないということを教えてくれるのだが、実は今回ラルソンとパルスのどちらかのスタンスが合っている。

 その前を進んでいたルディアが、カティレーバーを下の名前で表現しつつ二人の会話に入ってきた。


「あら、ラルソンさんはシュソンさんの調べ方がまだ足りないとおっしゃるので?」

「まあ、正直に言えばそうだな。だって、やぐらそのものを調べたわけじゃないんだから今のまま突っ込むのは嫌な予感がするんだよな」

「ほう……それではあなたはなにか良い調べ方があるのかな? フィターティル副騎士団長」


 自分の調べた成果に文句でもあるのかと詰め寄ってくるカティレーバーだが、


「いや、それはないけど……でも、破壊するよりかは調べた方がいいんじゃないかと思っただけだ」

「その調査自体がもうできるところまでやったんだから、後は破壊するしかないだろう」


 事実、すでにこのラーフィティアとは話もついているのだからということで、結局二人の言い分が平行線のまま第一のやぐらへと向かい続ける一行。

 その途中で、イディリークの復興を手伝いに向かった騎士団の部隊とはまた別の騎士団員たちと合流するのである。

 さすがにこれだけの人数では心もとないので、ルギーレたちに協力してくれる騎士団員を要請していたシュソンに応じて派遣してくれたのが彼であった。


「どうも、お待ちしてました」

「へーザ・セクサート連隊長ってのはあなたのことで間違いないのかな?」

「はいそうです。私がヘーザです」


 国王のカルヴァルはかつてイディリークにいたころ、私兵団を組織していたことがある。

 その兵士の一人であったヘーザというこの男は、現在では新生ラーフィティア王国騎士団の連隊長であり、幹部の一人として活動している。

 彼もまたイディリークに謀反を起こして失敗して生き残り、このラーフィティアに追放されてきた経緯を持っているのだ。

 一通りの武器の訓練は受けているが、普段は得意な弓を使いこなす。

 前衛ばかりの今回のパーティーに弓や魔術が得意な者をよこしてくれとシュソンが頼んだ結果、来てくれたのがこの男だった。

 冷静な性格で、もともとはイディリークの王城ソフジスタの兵士だったが、その弓の才能をカルヴァルに見いだされて私兵団の兵士になった。

 その他にも回復等の補助系の魔術が使えるので、まさに今回の人選としてはうってつけだったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お気に召しましたら、ブックマークや評価などをぜひよろしくお願い致します。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ