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198.行き先とメンバー交代

「某はファルス帝国からやってきた医者だ。それ以上でもそれ以下でもない、ただの医者だよ」

「そうか? 私にはどうもそうとは思えないんだがな」

「……そう思うなら思っていればいい。私が言えるのはそれだけだ」


 私のことはいいから、まだ病み上がりなので今はまだゆっくりと寝ていろ。

 セルフォンにそう言われてジアルが再びベッドで目を閉じたころ、ルギーレたちはリュシュターからメンバー交代の話を受けていた。


「えっ、同行者の変更ですか?」

「はい。ベリウン騎士団長もセルフォンさんの尽力によって、無事復帰されることが決定いたしました。それから現在のイディリークの状況を見まして、復興までやはり人手が足りませんので、今までこちらから同行していましたティクザード兵士部隊総隊長と、ラスバート近衛副団長には我が国の任務に復帰していただきます」


 やはり今回の被害は大きいらしく、元通りになるにはまだまだ時間も人出も足りないので、その二人にはパーティーから脱退してもらうとのお達しが出た。

 これから先はイディリークに来る前からのジェディス、ロサヴェン、ティラストの三人だけが同行者になるらしい。

 元通りになろうがなるまいが、ルディアが戻って来たこともあってよっぽど変なのが同行者にならない限り、ルギーレにとっては関係がなかったのだが。


「それじゃあ俺たちでまた行動だな」

「そうなりますね。ええと、それでこれから先はどこに向かうんでしたっけ?」

「ちょっとお、しっかりしてよ。これからイディリークの北にあるラーフィティアに向かうんでしょ?」

「ああ、そうだったな……」


 色々とショックが大きくて、まだ頭の中がパニック状態のルギーレにルディアを始めとする全員が呆れる。

 とりあえずいろいろと話し合った結果、ベティーナのワイバーンが北に向かって飛んで行ったというのを聞いて、ここから一番近い北の王国ラーフィティアに向かうことになった一行。

 ルディアが発言していた霧に囲まれた島については謎が多すぎるので、今はまだ慌てて向かわず、じっくりと調べて戦力を整えてからにしたほうがいいだろうとの結論に達した。

 それにまだあのニルスを始めとする一行が何をどこでしでかすかもわからないので、一番近いラーフィティアで何があってもおかしくない。

 ただでさえ、そのラーフィティアから騎士団の人間たちが復興の応援として駆けつけているので、その話をニルスたちがキャッチしていないとも限らないからだ。

 だが、その一方でリュシュターと宰相のモールティはやはり同行者をつけた方がいいのではと話し合っていた。


「陛下、ではそれで……?」

「ええ。人出がまた少なくなりますが、ラーフィティアのことを考えたらやむを得ませんね」

「何の話ですか?」


 二人の様子を訝しんだルディアが声をかけてみると、その二人から新たな同行者についての発表がされることとなった。


「ラーフィティアに向かわれるということで考えていたのですが、やはりこちらからも同行者を何名かつけさせていただきます」

「えっ、それじゃあ俺たちは引き続き同行ですか?」

「いえ、今まで同行していたラスバート副団長と、ティクザード総隊長はこちらに復帰してください。その代わり、セレラーク副総隊長とロクエル騎士団長、そしてフィターティル副騎士団長に同行していただきます」

「私たちがですか?」


 宰相のモールティからの人選発表に戸惑いを隠せないローレンたちだが、そこにはきちんとした理由があってのこの人選である。


「まず、ベリウン王宮騎士団長とティクザード兵士部隊長がそれぞれの立場に復帰していただければこちらの統率はより良いものとなるでしょう。ですが、ラーフィティアに向かうのであればロクエル近衛団長の協力が必要です」


 モールティいわく、ローレンはそのラーフィティアの国王であるカルヴァルとコンタクトを取る機会が多かったので、顔見知りである彼が一緒に行くことで警戒心を解く意味があるのだという。

 ただし、向こうは元々このイディリークに対してクーデターを起こした人間たちが集まって復興させた国あるがゆえに、ローレンがいても何かややこしい事態にならないとも限らない。

 そこでこの三人を同行させるという話になったのであるが、ルギーレはルギーレで他にも同行させて欲しい人物がいるので、その人物の元に向かった。

 しかし……。


「いや、某は一緒には行けない」

「えっ、どうしてですか?」

「前にも話したと思うが、某はこの世界の人間の歴史には深く関わらないようにしている。余り某たちが介入すると歴史に変化が起きてしまう可能性だってある」


 引き続き負傷者の治療に当たっていたセルフォンに同行を頼んだものの、そう言って断られてしまったルギーレは、まだある他の理由もその後に聞いて諦めるしかなかった。


「それに某の正体をイディリークの連中は知らないままだ。イディリークの連中が多くなって、某の正体がバレてもまずいしな。それからこちらの治療活動がひと段落したら、本来のファルスでの医者としての活動に戻らねばならん。そちらも長く空けておけないんだ」

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