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174.根本的な原因と思わぬ通信

「そういえば、ニルスの奴がこんなことを言っていたな。魔術を封じるいい方法を見つけたんだって」

「それは本当か?」

「ああ。それとなく聞いてみたんだが……「それはまだ開発中だから教えられないよ」って話を終わらせられてしまったんだ」


 だが、その話が本当であればやはりこの魔術を封じる原因がニルスによるものだということで間違いなさそうだ。

 それならば……とルディアは別の角度からその原因を突き止めるべくアプローチの方法を提案する。


「じゃ、じゃあまず聞き込みをしましょう!」

「聞き込み?」

「ええ。魔術を封じる原因について、ヴィルトディンにいる時からそうやってあの男が言っていたんだったら、きっと周到にこの国のどこかにその原因を用意していたと思うんです。だからこの国でその連中の目撃情報を集めれば、きっと原因究明ができるんじゃないでしょうか?」

「うーん、言うのは簡単だけどやるのは今の状況じゃ難しそうだぜ」


 ルディアの言い分はもっともなのだが、この状況でなかなか聞き込みができるかといえば答えはノーである。

 それでも何も動かないよりはマシじゃないですか、と二人に言うルディアだったが、その時ポケットに入れていた魔晶石が光りだした。


「……あら? 通信?」


 もしかしたらルギーレたちが何か新しい情報を手に入れたのかしら?

 そう思いつつ通信に出てみるルディアだが、その相手は彼女の全く予想していなかった存在からであった。


「はい、ルディアですけど」

『……やあ、元気にしているかな? 某だ』

「あれっ!? え……セルフォンさん!?」


 なんと、通信してきた相手は灰色のドラゴンであるセルフォンだった。

 どうして彼がこの通信を?

 もしかして彼のもとにも、今回のイディリーク襲撃の連絡が行っていたのか? とルディアは考えるが、それは当たりだったらしい。


『今、イディリークにいるのか?』

「え、ええ……元気にやってはいますけど……もしかして襲撃の話をご存じなのですか?」

『ああ。大体の話はすでにシュヴィリスから聞いている。一応ファルスの方はだいぶ片付いてきているし、皇帝たちもこっちに戻ってきたから某もそちらに向かうつもりだ』

「えっ、来ていただけるんですか!?」


 まさかのセルフォンが救援に駆けつけてくれるということで、一気にテンションが上がるルディア。

 だが、セルフォンはシュヴィリスからの話がなかったとしてももともと行くつもりだったらしい。


『当然だ。そのイディリークにある別荘は某の持ち物だし、そこまでの道のりも案内しただろう』

「あ、そうでしたね」

『それにイディリークは某の管轄でもあるのだから、どの道行く予定だった。某としても、すでにそっちの帝都がめちゃくちゃになっているのであれば現状を確認しなければならないからな』


 だが、そこでふとロサヴェンが気づいたことがあった。


「あの、ちょっといいかな?」

『ん? そなたは誰だ?』

「俺はこの世界で傭兵として活動しているロサヴェンという者だが、どうして魔術通信をかけてこられているんだ?」


 このアクティルの中で魔術の類は一切使えないので、考えてみればルギーレとティラストからの連絡を期待しても無駄だったのだが、もしかして町の外からであれば連絡は可能なのだろうか?

 そこが引っ掛かっていたロサヴェンだが、通信相手からはその予想の斜め上を行く答えが返ってきた。


『ああ、それか? 強引に突破させてもらった』

「え?」

『強力な妨害魔力が感知できるんだ。そっちの方からな』

「妨害魔力?」

「ああ、それってかなり高度な魔術ですね。相手の魔術を無効化するっていう……」


 三人のうちで一番魔術に詳しいルディアが横から説明を入れると、石の向こうのセルフォンから補足説明が入る。


『ああそうだ、それだよ。それを使いこなせる魔術師はそう多くはない。だからそのニルスという男がすべての主導権を握っているのであれば、奴は魔術の腕は最強クラスだといえるだろう』

「その妨害魔力の出どころはわかりますか?」

『すまないが、こっちからはかすかに感じられるだけだ。そっちに向かってみないとわからないから、とりあえず今は魔術なしで頑張ってくれ』

「わかりました。あの……最後に一つ聞いてもいいですか?」

『何だ?』

「妨害魔力と妨害魔術の違いって何なんですか?」


 ルディアがそう聞けば、人間が発している魔術ではないのでセルフォンは妨害「魔力」と表現したらしい。


『人間が発しているものではない。おそらく、その魔力を発している何かがそっち方面にありそうだ。原因を突き止めるのであれば、町の中と外をくまなく探してみるといいかもしれないな』

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