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162.あの薬っていったい何だったの?

 こうして朝食の時間も終了し、三か国のトップたちが来る前に少しでも身支度を済ませておこうと考えたルギーレとルディア。

 ちなみに、ルザロとファルレナとブラヴァールの三人はこれから先の旅路についてこられないというのだ。


「俺は今までのことをセヴィスト陛下だけでなく、将軍として国に報告しなければならないんだ」

「私も同じよ。それにシェリス陛下の帰り道の護衛のこともあるし、いつまでも斧隊を隊長だけに任せておけないから」

「私もサイヴェル団長に報告しなければなりませんし、本来の騎士団の業務に戻らねばなりませんので、ここまでの同行となります。よろしくお願いいたします」


 三人とも、魔術通信での連絡によってそれぞれの主君と相談した上での決定となったらしく、そこはもう仕方がないと諦めるしかなかった。

 その代わりに、今までの話の流れでロサヴェンとティラストの傭兵コンビとこのヴィルトディンのジェディスが同行することになったのだから、誰も一緒に行く人がいないよりはマシである。

 だが、それはいいとして次にどこに向かうかを決めなければならない。闇雲にニルスたちの行き先を予想したって、そこに行っていなかったら無駄足になってしまうだけだ。

 そこはロサヴェン、もしくはティラストが何か知っているかもしれないと期待して、彼らと一緒に相談してみる。


「そうだな……俺がその男の立場だったら少なくともこのヴィルトディンの周辺諸国にはいられないだろう」

「私も同じです。身を隠すのであれば遠くに行きますね」

「遠くか……ん、遠く?」


 二人の予想を聞き、エルガーがあることを思い出した。


「待てよ? 確かあの男がこの城の中で執務をしていて私が奴に書類を届けに行った時、こんなことを口走っていた気がしたな。イディリーク方面の天気は……とか」

「イディリーク?」

「ああ。君の持っているそのレイグラードの使い手だった男、ルヴィバー・クーレイリッヒが建国した国だ」

「そうなると、イディリークに向かってみるのが良さそうですね」


 その国の名前が、なぜニルスの口から?

 少なくとも、このヴィルトディンとエスヴェテレスとの戦争とは何も関係ないはずなので気になる話だ。

 それを聞いたジェリバーが、五人にイディリーク行きを勧めるのは自然な流れだろう。

 だが、イディリークに向かうということは命の危険も常につきまとうことになってしまう。


「イディリーク……俺は今の段階では反対ですかね」

「なぜだ?」


 反対の意を示すルザロは、リルザからその理由を問われる。

 それは前にもどこかでルギーレが聞いたことのある話だった。


「イディリークはルヴィバー・クーレイリッヒを初代の国王としています。彼はレイグラードの使い手としても崇められていますから、ルギーレの持っているレイグラードが本物であるとわかってしまった時にはどんな反応が返ってくるかわかりません」

「……それもそうだな」


 イディリークは、それこそが「本物」だとするレイグラードを国宝として城の宝物庫にしまってあるらしい。

 となると、レイグラードは二本あってはいけないのだ。

 ルギーレの持つレイグラードこそが本物であるとドラゴンにも認められただけあって、話がややこしくなる可能性は非常に高い。

 でも、ヒントになるようなセリフをあのニルスが言っていたのであれば、やはり次の行き先はそこしかなかった。


「確かに一理あるかもしれないが、ならば問おう。ファラウス将軍はあの男の行き先をイディリーク以外に答えられるか?」

「……いえ、それは思いつきません」

「そうか。ではやはりイディリークに行くしかないだろう。何、気にすることはない。別に向こうの人間たちにレイグラードの存在がバレなければいいだけの話だからな」


 結局、ルザロの反対を押し切る形でイディリークに向かうことになった一行だが、その前にそれぞれの国の代表が来るまでまだ少し時間の余裕がある。

 そこで、ルディアは満足に説明を受けていないまま使ったあの薬について、リルザからきちんと説明をしてもらうことにした。


「あの薬?」

「はい。秘薬だって陛下はおっしゃっていましたが……あれはいったい何だったんですか?」

「あれは我が国の技術で開発した薬だ。作り方は秘密にしたいんで明かせないが、体内の魔力を一時的に無効化するものだ」

「ええっ!?」


 そんな薬、見たことも聞いたこともない。

 特に魔術師にとって魔力を無効化されるというのは、存在価値が無くなってしまうのと同じ話である。

 まさかそんな薬をヴィルトディンが開発していたなんて……とルディアのみならず、外国人たちも驚きを隠せなかった。

 ちなみに薬といえば、以前ファルス帝国で工場を摘発した時も薬が絡んでいた。

 それを思い出したルディアは、ルザロにその時の資料について覚えていることはないかを聞いてみる。


「その時……ああ、それだったら確かこんなことが書いてあったな。強化人間がどうのって」

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