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140.突き進むルギーレ

 ルザロがクラデルの説得を開始しているころ、ルギーレは出てくる敵たちをレイグラードによってなぎ倒しながら進み、あらかた倒してやっとのことで奥まで進んできていた。

 しかし、彼のレイグラードによって吹き飛ばされることを恐れたバーサークグラップルとヴィルトディン王国騎士団員たちは、ここでバーレンの列車を襲撃してきたワイバーンやファルスで襲ってきた海流もどきを出動させる。

 更には同じくファルスの町で弓使いが乗っていたものと同じ、空飛ぶ馬を使って空中から突進攻撃を仕掛けてきたりする者もいる。

 しかし、そのどれもがレイグラードの前では無力なものであった。


「やろーっ、どけ、どきやがれぇ!!」

「うわあっ!!」

「くっ、全部の部隊を集めろっ!! こいつは全員で潰さなきゃ意味が……ぎゃあああああっ!!」


 レイグラードの衝撃波が群がる敵たちを吹っ飛ばす。

 風に舞う落ち葉のごとく、なすすべなく吹っ飛ばされていく仲間たちを見て戦意喪失をして逃げ出してしまう人間たちもいるほどだ。

 そこで大型兵器が出てくるわけであるが、オーラをまといながら突進するルギーレにこれまたやられていく。

 海竜もどきは首の付け根の部分にある魔力で稼働する動力を破壊されて動きを停止し、ワイバーンによる金属の弾の雨はルギーレが素早く走り回ってよける。


「撃て、撃てええええっ!!」

「バカ、やめろ!! こっちまで巻き添えを食らうんだよ!!」


 しかもこの地下施設内部では、屋外で敵もいない列車を狙ったのとはわけが違う。

 相手はルギーレだけ。味方はここに大勢。そんな集団の中に弾丸の雨を降らせてしまえば、その流れ弾によって巻き添えを食らった騎士団員やバーサークグラップルのメンバーたちが倒れていく。

 それによってうかつに手出しができなくなったので、今度は突進攻撃を仕掛けようとするワイバーンだが、それすらも今度はやりにくい。

 地下は地上と違って頭上のスペースが限られるので飛び上がれる高度に制限がかかってしまう。


「へっ、それしか上に上がれねえんだったら今度はこっちの番だぜっ!!」


 一方のルギーレは、今しがた倒した海竜の残骸の身体を足場にして、背中から頭の部分まで一気に駆け上がる。

 それによって上空へと飛び上がることに成功し、空中を旋回してきたワイバーンに向かって最大魔力を注ぎ込んだ重い振り下ろしの一撃を食らわせる。


「うおりゃああああっ!!」

「なっ、翼がやられたっ……コントロールできない!!」


 ワイバーンを魔力で制御するためにコントローラーを渡されたバーサークグラップルのメンバーは、バランスが取れなくなって地上へと落下していくそのワイバーン兵器を呆然とした表情で見つめることしかできなかった。

 人間なんてまるで歯が立たないどころか、大型兵器でさえも次々にやられていく。

 更には空飛ぶ馬の集団も、ルギーレが空に向かって放った薙ぎ払いの衝撃波によってバランスを崩し、乗っている人間ごと壁に叩きつけられてしまった。

 それを見ていたヴィルトディン王国騎士団の団員たちは、口々に「レイグラードがよみがえった」だの「ルヴィバーの生まれ変わりだ……」などといった恐怖と驚き、そして少しの羨望が入り混じった声を上げて戦意を喪失していた。

 しかし、そのレイグラードで無双状態になっているルギーレが驚くことになるのはこの後すぐだった。


「はぁ……はぁ、はぁ……はは、どうだお前ら! お前らはこの黒ずくめの奴らに騙されているんだよ!! こいつらと手を組んだら恐ろしい未来になるんだぜ!!」


 だから俺と組んで、この黒ずくめの奴らを倒しちまおうぜ! と周囲に向かって大声で叫ぶルギーレは、さすがにここまで戦い続けてきたこともあって疲れが見え始めていた。

 そんな彼の耳にふと『ブワンッ』という妙な音が聞こえた。


「ん?」


 その方向に目を向けてみたルギーレが視界に捉えたのは、今の自分と同じようにオーラを立ち昇らせている人間の姿だった。

 だが、それは明らかに異質であるのもすぐにわかった。

 なぜならその人間が黒いオーラに包まれているのだが、よく見てみると人間がオーラを放っているのではなく、その手に握られている黒いロングバトルアックスから黒いオーラが放たれている。

 それまでの疲れや達成感なんて、異質なその存在を捉えたことですべて吹き飛ばされてしまったルギーレは、本能的に後ずさった。


(なんだ、ありゃあ……!?)


 そして、()()を握っている人間は彼も見覚えがあった。

 いや、ありすぎるくらいである。

 あいつがあんなに威圧感のある武器をいつ手に入れたんだ? と思いつつもレイグラードを構えるルギーレに対し、その人間……闇のオーラに包まれた()勇者マリユスが口を開く。


「久しぶりだな……この役立たず。そんなのにここまでやられるなんて……やっぱり俺たちはこんな奴らと組むんじゃなかったな」

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