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11.ダンジョン攻略!

 勇者パーティーとひと悶着あった二人は、事前にすべての準備を終えていたこともあり、勇者たちが遂行できなかったらしい依頼を自分たちでやり遂げるべくロックスパイダーたちの巣へとやってきていた。


「ここがその巣ってやつだな。もうこの洞窟の入り口にクモの巣がわんさか張ってやがるぜ」

「気を付けて進まないとクモの巣で身動きが制限されてしまうわね。でも……ロックスパイダーって言ったらどんなに強くてもCランクのレベルまでしかいなかったはずよ? 確かあなたが所属していたパーティーのギルドランクは、あなた以外では最低でもBランク以上だったわよね?」

「ああ、そうなんだが……俺もそこが不思議なんだよ。こんなレベルのダンジョンって、俺がいたときだったら全然楽勝で攻略できたと思うんだがなあ?」


 首をかしげながら、ルギーレは町民から受け取った地図に目を通す。

 ここはもともと炭鉱として使われていたらしいのだが、資源の枯渇や魔物が周辺で繁殖してきたことによってその役目を終えたのだという。

 だから今は魔物の巣窟になってしまっているので、こうして駆除の依頼を定期的に出しているらしい。

 だったら油断は禁物だと思いつつ、ルギーレはロングソードを腰から引き抜いた。


「あ、そうだ。あとはこれを持っておいたほうがいいぜ」

「これは……護符?」

「そうそう。魔物との戦いじゃあ必要不可欠だから、人数分をいつも買ってメンバーに配ってたんだよ」


 護符は薄い紙状のアイテムであり、魔力を入れることで持っている者の防御力を一時的に高めてくれたり、傷から自動で回復したりしてくれるアイテムだ。

 それから時間制限付きではあるものの、これもまた一時的に室内を明るくしてくれる魔晶石や、薬草に魔力のポーションなどの回復アイテムも欠かさない。


(言動は大雑把だけど、意外とマメな部分もあるのねー)


 心の中でルギーレにそんな評価を下したルディアは、彼とともにロックスパイダーの巣へと足を踏み入れた。

 すると早速、ルギーレの目の前に小さめのロックスパイダーがカサカサと音を立てて襲い掛かってきた。


「腕試しにはちょうどいいぜ!」


 自分だって一応剣技を習ってきているので、あの金属の狼を倒したときの感触を思い出しながら横なぎにレイグラードを振る。

 だがその瞬間、横に振り抜かれたレイグラードの刃の軌跡がそのまま衝撃波となって敵に飛んで行った。

 いや、それだけならまだ被害は軽くて済んだ。

 ルギーレの一振りから放たれた衝撃波は、あの金属の狼の足を切断した一撃よりもさらに大きなものだったらしく、まずは目の前に寄ってきたロックスパイダーを一撃で切断。

 さらにそのロックスパイダーの身体の素材と同じ、岩の壁をガリガリと削り取ってそこにへばりついているほかのロックスパイダーたちをも、一撃で倒してしまった。


「……え?」

「す、すごい威力……やっぱりこれがレイグラードの力なのね!?」

「あ、いや、俺も確かに全力で振ったんだが……まさかここまでなるとは思わなかった……」


 ルギーレもルディアも呆然とするしかない。

 カサカサと聞こえてきていた足音はすべて消え去り、代わりに妙な色と臭いのする体液をまき散らしたロックスパイダーたちの死骸が、洞窟内のいたるところに転がっている。

 何かの大技や必殺技とかならまだしも、ただの一振りでここまでの威力を発揮する剣なんて今まで見たことも聞いたこともなかった。


「す、すげえ……すげえぞおおおおおっ!!」


 これだったらこの先も楽勝だぜ。

 そう確信したルギーレはルディアとともにさらに奥へと進み、立ちはだかるロックスパイダーたちを縦横無尽に暴れまわって斬り刻んでいく。

 縦に振れば、攻撃範囲は狭いが横なぎよりもさらに強い衝撃波が風を切って飛んでいく。

 斜めに振れば横薙ぎと縦斬りの中間といった攻撃力と範囲を誇る。

 そしてなぜ、この洞窟をマリユスたちのパーティーが攻略できなかったのかもわかった。


「うひゃあ、繁殖期で数が多いって話は聞いていたけど予想以上だな。確かにこりゃあ倒しても倒してもキリがねえぞ!」

「本当ね。いくら勇者たちといっても数の暴力で来られたら限度があるわね」


 そう、どこから湧いてくるのかはわからないがロックスパイダーたちの増援が止まらないのだ。

 おそらく、

 この狭い洞窟内で大きな威力の攻撃魔術を使えば、パーティーメンバーを巻き込むだけではなく洞窟そのものが崩落してしまう可能性がある。

 ルギーレの攻撃による岩壁を削る動きも、あまり多くの場所でやるとまずいかもしれない。

 そう考えて、なるべくロックスパイダーたちを引き付けてから一撃で倒せるように工夫している。


「マリユスたちはたぶん、人数がいるから大丈夫だと思っていたらしいけど……こんなに数の多いダンジョンは初めてだったんだな」

「え、そうなの?」

「ああ。あいつらとはずっと一緒にいたから俺が一番よく知ってる。魔物だって繁殖するのに限度があるもんだが、このロックスパイダーの数は普通じゃねえぞ」


 絶対にこの増殖の原因があるはずだ。

 そう思いつつ二人はダンジョン内部を進んでいき、その答えを見つけることに成功した。

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