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109.続く捜査と遺跡の調査

 続いて喋り出したのは、もうそろそろ引き継ぎが待っているシャラードだった。


「魔術兵器を買ったのはつい先月のことらしい。麻薬を売ってほしいと取引の連絡があって、その取引で金と一緒に小型爆弾を紹介されたみたいだぜ」


 マスターの話によれば、小型爆弾はいろいろと便利なことに使えるとも話してくれたらしい。

 例えば騎士団に恨みを持っており、騎士団の本部を爆破して木っ端みじんにさせることも可能だと。

 なぜそれを知っているのか? とマスターが黒ずくめの男に聞いてみれば、取引相手のことはすべて調べ上げているとだけ話していたので何だか気味が悪くなったそうだ。


「そいつはバーレン皇国騎士団に恨みがあったのはどうやら本当だったらしい。待遇の悪さもそうだったんだが、ケガをして除隊処分になった自分へのアフターケアも満足にしないで、少しの退職金だけで済ませようとした魂胆が気に食わなかったんだってよ」


 結局、麻薬を売って金を手に入れたのはよかったのだが小型爆弾を使って騎士団への復讐をしたいと考えるようにもなったマスターは、その後も麻薬と引き換えに大量の小型爆弾を仕入れていた。

 しかし麻薬の顧客は黒ずくめの男だけではないので、麻薬の代わりに金での支払いをすることになった。

 絵画は単純にマスターの趣味で集めていただけだったのだが、小型爆弾の多額の支払いが重なったことでその絵画の支払いを後回しにしていたことが原因となり、こうして計画がすべて明るみに出てしまったらしい。


「彼を慕っていた騎士団員とか傭兵とかも、それぞれ何かしらの騎士団への恨みがあったそうです。例えば彼と同じく待遇が悪かったのを気にしていたとか、騎士団の中で嫌がらせを受けていたとか、単純に騎士団そのものが嫌いだったとかで」

「ロオン隊長のおっしゃる通りですね。私たちは引き続き彼に対する取り調べを続けなければならないのですが、魔術兵器の出どころもヴィルトディンの青龍湖を中心に探らなければなりません」


 ロオンに続いてロナがそう言い、更にパーティーをまたもや二つに分ける必要が出てきたらしい。

 ルギーレが画家の男から聞いた、レイグラードに関する話も進めなければならないからだ。


「それでさ……その画家からの話が本当だとしたら黒ずくめの連中が狙ってくるかもしれないんだろ? じゃあそっちにも行かなきゃならねえよなぁ?」


 このグラルダーの一言で話が進んでしまい、またもやルギーレとルディアがそれぞれ別のパーティーでそれぞれ行動しなければならなくなったのだ。

 ただし、今回はグラルダーはロナとともにあのマスターの取り調べを続けなければならないのと、ルディアによって治療され何とか一命を取り留めた釣り人を世話しなければならないのもあり、一緒に行けないと言われてしまった。

 シャラードは約束通りにファルスに戻らなければならないので、引継ぎでやって来たリアンとラシェンに後を任せることとなった。


「……で、カリフォン隊長とリアン隊長が俺についてくることになったと」

「ああそうだぜ。よろしく頼む」

「シャラード隊長からいろいろと話は聞きました。これからどうぞよろしく」


 ルギーレはカリフォンとリアンとともに、シュヴィリスから情報を得たその遺跡へと列車に乗って向かう。

 一方でルディアはファルスのラシェン、それから今回酒場で一緒に大立ち回りを繰り広げたロオンとともにヴィルトディン王国へと向かう。

 出発準備をする際にまたもやこっそりとルギーレがエスヴェテレスに連絡を入れるのも忘れずに、新たな旅立ちをすることになったのだが、ルディアたちがヴィルトディン方面の北西へと向かう列車に乗り込んだことから新たなる事件が幕を開けた。


「ふう、ルギーレだけで大丈夫かしら……」

「彼を信じましょう、ルディアさん。バーレン皇国騎士団への反逆を未然に防いでくれた方ですよ?」

「それにファルスでも俺とカノレルと一緒に戦って町を助けてくれたんだし、お前が信用しないでどうすんだよ?」

「そうですね……」


 そう、自分がルギーレを……あのレイグラードの使い手の男を信用しなければならないのに、何を弱気になっているのか。

 シャラードからの特訓も受けたんだし、私と手合わせもして魔術師への対処方法も少しは理解したはず。

 だから今は彼を信じて、こうしてパーティーを分けて行動しているんだと自分に言い聞かせていたルディアの乗っている列車の車両に、バタバタと騒がしい複数の足音が響いてきたのはその時だった。


「……ん?」

「何かしら?」


 誰か子供でも騒いでいるのか? いや、この足音の重さからすると大人だろう。

 ルディアたちが何事かとざわついていると、列車の乗務員たちが驚きの情報を説明しに駆け回っていることが判明した。


「皆さん、座席から動かないで身をかがめてジッとしていてください!!」

「何かあったんですか?」

「ワイバーンが……大きなワイバーンが空からこの列車を襲撃してきています!!」

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