表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

剣舞祭編3

そして、ついに決勝戦となった。対戦はセリオン対アリオンである。

「セリオン、ようやく会えたな」

「ああ。おまえとの約束だったからな」

アリオンは初出場とは思えないほどの活躍を見せた。アリオンは十五歳で決勝まで勝ち残った。

「セリオン、これは決闘だぞ? 俺はまじで行くぜ?」

「来い。おまえの本気をこの目で見てやる!」

そう言い終えると二人は武器を取って構えた。セリオンは大剣を、アリオンは刀を。

満月の光が夜の二人を照らした。青き狼セリオンと赤髪あかがみのアリオン――

アリオンの瞳に鋭さが宿った。

アリオンは三回連ねてセリオンに斬りつけた。セリオンは大剣ですべてガードした。

アリオンの剣速が上がっていく。セリオンも剣速を上げる。

二人の剣が熾烈さを増していく。アリオンの刀がセリオンに打ち付けた。

「はあああああ! 紅蓮剣ぐれんけん!」

「!?」

アリオンの刀を、炎が包み込んだ。アリオンの猛攻が始まる。揺らぎる炎の刀が振るわれる。

セリオンは守勢に立たされた。アリオンは刀で攻めた。アリオンの紅蓮剣がセリオンを押していく。

「くうっ!?」

セリオンは後ろに跳びのいてアリオンと距離を取った。そして再び大剣を構えると全身から蒼気を発した。

アリオンは炎の剣を鞭状に伸ばし、セリオンの大剣にからませた。

「ぐっ!?」

セリオンはもがいた。セリオンは手から大剣が離れないように気を付けた。試合中に剣が手から離れたら、即敗北である。

「今だ! はっ! 紅蓮煉獄斬ぐれんれんごくざん!!」

アリオンは前に踏み込むと、セリオンめがけて炎の斬撃を放った。セリオンは紅蓮の炎に包まれた。

炎が燃え盛り炎上した。その後、炎が引いていく。

紅蓮煉獄斬はアリオンの必殺剣である。まともにくらったら、セリオンでもただでは済まない。

爆炎の中から蒼い輝きが姿を現した。セリオンは蒼気を全開にしてアリオンの必殺剣をしのいだ。

「アリオン、今度はこっちの番だ」

「俺の炎に耐えるなんて……」

セリオンの大剣が蒼白く輝いた。

「行くぞ!」

「負けるかあああ!」

セリオンとアリオンは猛烈な斬撃の応酬を互いに繰り出した。鋭く激しく剣が振るわれる。

互いにゆずらない、否、ゆずれないものがある。白熱した斬撃を制したのはセリオンだった。

セリオンはアリオンの刀をはじき飛ばした。

「うわっ!?」

セリオンはアリオンの前に大剣を突き出した。

「勝負あったな」

歓声と拍手が巻き起こった。観客はセリオンとアリオンの戦いをたたえた。

セリオンは左手でアリオンの右手を取ると上にかかげた。

「アリオン、おまえもだ」

「え?」

「おまえもたたえられているんだ」

「ちぇっ……ありがとう、セリオン」



戦いが終わった後、式典があった。

優勝者セリオンと準優勝者アリオンにメダルが与えられた。

「セリオン、素晴らしかったぞ。実にみごとだった。さすがは若き狼か」

「ありがとう、スルト」

「アリオンもセリオンにはおよばなかったがみごとだったぞ」

「まだまだ、力及ばずです」

スルトは二人にメダルをかけた。

「これにて剣舞祭を閉幕する! 今年も白熱したいい戦いだった!」

かくして剣舞祭は閉幕した。




「試合の後には宴を用意してある。これも毎年のことであるが、心行くまで楽しんでもらいたい」

スルトが言った。

食卓にパンとシチューが配られた。

セリオンとエスカローネは席についた。

「激しい戦いだったから、心配したわ……」

「ごめんな。心配をかけさせて」

「ううん、いいの。私は最後までセリオンのことを信じていたから」

「ありがとう、エスカローネ」

セリオンとエスカローネは食事に手を付けた。

「ふむ……これは母さんの味だな」

「よく分かるわね、ディオドラさんの味だって」

「小さいころから食べてきたからね」

「あのね、セリオン」

「? どうしたんだ?」

「私ね、妊娠したの」

「本当に!? すばらしいよ! 最高だ!」

「ありがとう、セリオン。そう言ってくれるとうれしいわ」

セリオンとエスカローネは互いに見つめ合った。

「エスカローネ、俺は愛してる」

「私もセリオンを愛してる」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 戦闘描写の迫力が相変わらず素晴らしいですね! 映像が脳裏に浮かぶようでした。 それと、おめでたですか! 幸せな気持ちになりますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ