別れ
おまたせ。
ユウ・クリスはひたすらに走った。
リージュ・スクレの本性を知り、絶望を隠せなかった。
「お前などただの道具にすぎない。もう用済みだ。去れ」
彼女の言葉かユウの脳内を走り回った。
森を抜ける頃にな既に日が沈んでいた。
時は遡り数分前。
「まって! ユウに罪はないわ! あなた達が必要なのは私の命だけのはずよ!」
暗い部屋で全身鎖に繋がれたリージュが白衣を着た研究員らしき男に向かって叫んでいた。
男は
「滑稽だな。まぁ、最期の願いくらい聞いてやってもいいがな」
と言って近くにあった予備の白衣をリージュに渡した。
「これで……?」
困惑するリージュに男は
「お前が自分で絶縁を告ろ。もう二度と戻ってこないようにな。戻ってきたら、ここがあいつの墓場となるだろうな」
と、冷たく笑いかけた。
リージュは覚悟を決めざるを得なかった。
ユウは小さな小屋のようなところに閉じ込められていた。
リージュが部屋に入るとユウは
「リージュ……?」
と、不思議そうに彼女を眺めた。
リージュは重い口を開いた。
「お前はただの道具にすぎない。もう用済みだ。去れ。二度とその間抜けな面を見せるな」
リージュは思いつく限りの言葉を放った。
ユウは何かに絶望したかのような表情を見せ、涙を流しながら走り去って行った。
リージュは下唇を強く噛みながら静かに涙を流した。