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出会い
こんにちは
業火の中に響く赤子の泣き声。
リージュ・スクレの目に映ったのは焦げ、煤の付いた白い衣に巻かれた子。
それを手に乗せうつ伏せになって潰れた女。
建物が倒壊した際、子供を守る為に死んだのだろう。
リージュは赤子を抱え、大きな杖をつきながら歩いていった。
彼女の脳裏には十三年前の悲劇が映っていた。
「安心しろ」
リージュの言葉に赤子は笑った。
無垢な赤子と前後に感情の揺れる女は朱を背後に紫へと消えていった。
「ムグル国を襲った魔女に関して、何かありますか?」
「あ、あいつは魔女なんかじゃない!ひ、人に化けた悪魔だ! 化物だ!」
次もお楽しみに