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復讐の灯火
2話も読んでくれてありがとう。
ユウ・クリスは悪魔の蔓延る獣の体を持つと言われていた。
国民全員がそう信じていた。
赤い月の夜、処刑台の上で男の声が響き渡る。
「只今より、リージュ・スクレの公開処刑を始める」
真夜中なのに関わらず、ものすごい数の民衆が集まっていた。
観客からはリージュに非難の言葉や、ゴミ、石などが投げつけられていた。
『悪魔!』『魔女!』『化け物!』
民衆からの言葉に、少し涙を見せながら俯くリージュ。
突然、何者かが処刑台に上がってきた。
「誰だ貴様」
執行人の男が槍を構える。
「リージュを返せ!」
暗闇から響く大きな声を聞いた民衆。
「悪魔の子だ! そいつも殺せ!」
ユウは執行人を睨みつけた。
焦らず焦らずゆっくりと。