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神に願いを  作者: 北西みなみ
リベンジ 次の世界へ
7/15

「奏」の噂

「え、奏ちゃん?」


「そう。どんな子だったかしらって」


慌てて物陰に隠れる。お行儀が悪いとは分かっていたが、自分がどう噂されているのか知りたかった。


「何言ってるの、こんだけ長い付き合いしときながら。あの子はねぇ、……あれ?」


「ね? なんでか思い出せないのよ。それだけでなく、響介くんも、奏弥さんや奥さんですら、思い出そうとすると曖昧で……」


「やだ、何これ。海野さんとはもう数十年来の付き合いなのに……」


「それでね」


「やだ、まだ何かあるの?」


「行ったの、海野さんちに。奥さんなら昼間、いるじゃない?」


「えぇそうね。そういえば最近見てないけど……」


「出なかったのよ、誰も。毎日行っているのに、いつも」


「え?」


「なんでも、海野さんち、奏ちゃん以外帰ってないみたいなの」


「え? 一人だけ?」


「そう。夜分行っても、奏ちゃんだけ。まだ誰も帰ってませんって言うの」


「何それ、夜逃げ? 奏ちゃん置いて?」


「それが……。私、その奏ちゃんに見覚えがないのよね」


「は!? 何言ってるの? やめてよそういうの」


「だから聞いたのよ。奏ちゃんがどんな子だったかって。奏ちゃんがどんな子だったのか、はっきりとは言えないんだけど、何故かあの子が奏ちゃんだとは思えないのよ」


「それって……」


もう、それ以上は聞いていられなかった。私は走って家に帰った。


確かに私は中学まで過ごしていた「奏」とは違う。けれど、海野奏のはずなのだ。それなのに、どうして皆違うと言うの。何故、私の家族はいないの。


何も考えたくなくて、布団を被って寝た。

あ、どうでもいいですが、奏と響介の母親の名前は響希です。奏の名前は父親、響介の名前は母親からとったんですねー。本当にどうでもいいですが。

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