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７

「あの、秋葉さん」とまりもは言った。

「なんですか？」

「そのすごく聞きづらいことなんですけど、……聞いてもいいですか？」

「いいですよ」と小道さんは言った。

「秋葉さんの奥さんは、どうして亡くなってしまったんですか？」

　まりもは言う。

　自分でも不謹慎な質問だと思った。

　でも、どうしても聞きたくて仕方がなかった。

　小道さんは少しだけ、なにかを考えるような顔をして、下を向いた。

　それからまりもの怪我をしている右足を見て、「交通事故です」とまりもに言った。

「そうですか」

　まりもは言った。

　それから二人は無言になった。

「ただいまー」玄関からそんなまりもの両親の声が聞こえてきた。

「あ、すみません。お邪魔してます」小道さんがすぐに玄関まで言って、まりもの両親にそう挨拶をした。

「あ、先生。きてたんですか？　ああ、鍋を返しにわざわざ。どうもすみません。言ってくれれば、まりもに取りに行かせたのに」

　そんなまりものお母さんの声が縁側に聞こえてくる。

「朝顔くん。紫陽花くん。お菓子あるよ」

　まりものお父さんの声。

「はーい」

　朝顔と紫陽花は縁側から、みんなのいる台所のところに駆け足で移動する。

　まりもも縁側から立って、みんなのところに行こうとした。

　でも、どうしても立つことができなかった。

　……私、どうしちゃったんだろう？

　自分でも、その理由がわからなかったけど、まりもはなぜか泣いていた。泣きながら、庭に降る六月の雨を見ていた。