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どん! と背中を強く押されたまりもは、なにかに突き飛ばされるようにして、その場を移動した。
そして、まりもがその自分を突き飛ばしたなにかの正体を知るために後ろを振り向くと、そこに大きな川の流れに飲み込まれて、まりものいるところから高速で、どこか遠いところに移動しようとしている、小道さんの姿が見えた。
まりもはその姿を見て、驚愕した。
小道さんはにっこりと笑っていた。そして、まりもに向かって「よかった」と言ったような気がした。
小道さん!! とまりもは叫ぼうとした。
でも、なぜか声がでなかった。
まりもは小道さんを追いかけて、もう一度川の中に飛び込もうとした。近くにいた警察のかたはまりもを止めようとしたのだけど、まりもはその警察のかたの腕を振り切った。でも、事故で、怪我をした足が急に傷んで、まりもはその場から動けなくなってしまった。
そしてまりもは警察のかたに今度こそしっかりと捕まってしまって、小道さんのあとを追いかけることができなかった。
「小道さん!!」
今度はちゃんと声が出た。
でも、もうそのときには、小道さんは真っ暗な川のどこにも、その姿が見えなくなっていた。
近くで救急車の走る音が聞こえた。
それは朝顔と紫陽花を乗せた救急車が、街にある大きな緊急病院に向けて、出発をした音だった。




