発展場
「ゆう君ってさ、いつも自信満々だよね。ちょっとは湯川君にもその自信分けてあげなよ。」
「僕ってそんなに自信家に見えますか?」
「えー。いつも自信満々って感じじゃない?今だってそうでしょ?」
「そんなことないですよ。先輩みたいな人と二人きりなんてドキドキしっぱなしですよ。」
「ほーら。余裕じゃん。湯川君にも自信つけさせてあげてよ。」
「そういうのは女の人の役目ですよ。松尾先輩が湯川先輩にキスしてあげたら、きっと自信つくと思いますよ。」
「私なんかじゃ無理だよ〜。」
「先輩みたいな綺麗な人にキスされたら誰だって自信つきますよ。」
「ほんと?そうだったら別に私、踏み台にされてもいいかな。」
お世辞にも湯川先輩はかっこいいとは言えない。留年はするし、後輩から見てもいけてない。そんな湯川先輩とキスをしてもいいかのような松尾先輩の発言は、目の前の僕に向けてなのだと思った。
「じゃあ、僕にも自信つけさせてくださいよ。」
冗談っぽくそう言い放つと、先輩はすぐさま僕に覆いかぶさってきた。これが、生まれて初めての浮気だった。