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神の紙  作者: 白色箪笥
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転生

大体3~4部のちょっと練習用です

「あーだりぃ学校遅刻だしパチスロいくかぁ」


郷田譲二は飽いていた。

代り映えのしない日常に、ただただ暇を持て余していた。

他者から見れば彼は単にやらなくてはならないことすら何もやっていないだけなのだが。

それでも彼は屑ということを除けばどこにでもいるごく普通の高校生だった。


(おっ!街中で財布開いてる馬鹿がいる!やったろ!)


彼はちょうど目の前から歩いてくる草臥れたサラリーマンに目を留める。

財布を開きお札の枚数でも数えているのだろう、歩きながらも手元すら見ずにふらふら歩く絶好の鴨だ。

ならばやることはただ一つ、彼は今まで何度も繰り返したようにさり気なくサラリーマンに近づいていく。


「あぁああっと危ないぶつかるぅ!」

「ひっ!」


突然腕にぶつかってきた学生にサラリーマンが驚き思わず財布を落とした急いで拾おうとする。


「あっ何やって・・・」


しかし落とした財布はサラリーマンの足に当たり車道へ、思わず舌打ちをしそうになるのを堪え財布を目で追う。

その時彼に衝撃が走った!財布の隙間から!万札が!束になっている!


「うおおおおおお!落とし物拾えば一割は貰えるんだよなぁ!」


次の瞬間に余りにもたくさんのことが起きた。

彼は金に目が眩み見逃したのだ。

ブレーキ音を響かせて急制動をかける至近距離の大型トラック。

突然の展開に混乱しているのかただ口を開いて動かないサラリーマン。


(あ、これ死ぬわ)


彼は諦めた、諦めたと思ったのだ。

しかし彼の身体は普段通りに咄嗟に対応してしまった。

財布を拾う為に前かがみになった身体ではもう避けるのは間に合わない。

それでも咄嗟に何か盾に、クッションに、緩衝材に、なんでもいいから何かを引き寄せないと。

そして近くにあった腕、そうサラリーマンの腕だけだった。


「あっ」


間抜けなサラリーマンの声、しかしそんなものは関係ない全力で引き寄せる。

肉壁一つでどうにかなるわけでもないが自分が生き残るためならなんだってやってやる。

破れかぶれになった彼は目前まで迫った大型トラックを前に全身に力を入れ盾を間に挟み目を瞑った。


その直後トラックがぶつかり拉げる音が鳴り響く、あまりの轟音に意識を保つのすらつらかった。


そして目の前が真っ暗になった。


---


「おい!大丈夫か!」


(ちっうっせーな、聞こえてるっつの)


どうやら彼は気絶していたようだ。


「なんだなんだどうなったんだおい!・・・助かったのか?」


周りを見ると足元には財布、少し離れた場所には太い電信柱に正面から突っ込んだトラックの姿があった。

サラリーマンが何やら運転席に向かって必死に声を掛けている。

しかしそんなことはどうでもよかった。

助かった安堵のあまり彼は自分が涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしていることも気づかず、

足元の財布を拾い足早にその場を去っていった。


---


「うわあああああああ!?」


悲鳴と同時に飛び起きる。


「なんだ!?俺今トラックで子供を轢いっ・・・いや避けた!避けたよな!?」


トラックの運転手は真っ白な空間で目を覚ます。

自分の身に何が起きたのかもわからないまま人の命を奪ったのではないかとそれだけを気にしていた。


「あれ・・・?ここ何だ・・・?避け・・・?あれ・・・?」


ようやく一瞬前とは違う場所にいることに気付いた彼に突然後ろから声がかかる。


「やぁ、時間がないから手短にいこうか、君がここにいられるのは後2分といったところだからね。

まず最初にこれだけ理解してくれ、私は神で君は先ほど死んだ。

では君にやってもらうことについて話そうかふゥ!?」


ドヤ顔で登場した神を名乗る男は混乱した男に殴り飛ばされた。


ここにいられるのは後1分50秒・・・。

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