第七話 更始一新
◇
「これからずっと一緒に、よろしくお願いします~」
大歓声に迎えられた少年のファーストライブは、こうして終わった。
未だ熱気止まぬ観衆の波に紛れて、少女は周囲の彼らと同じく瞳を輝かせていた。
「凄い。凄いよ。龍宮君」
鳴り止まぬもう一度と言うの声の中、観衆と同じ以上の熱を感じる栗毛の少女。
友人に誘われ、先日の一件に気まずさを感じつつもこの場所へと足を運んだ明石優。彼女はその歌声に魅せられていた。
画面越しに見る歌番組とは、伝わる熱が違っている。
ファンが集ったライブ会場にも似た一体感と、次を求める音叉の共振。
其処まで上手い訳ではない。街ののど自慢には勝るだろうが、プロと比べれば粗は幾らでも分かる程度の物。
それでも何故だろうか。強く胸に響いた歌声。忘れていた感情を呼び覚ます様な、そんな感動が其処にはあった。
故に素直にそれを受け取り、明石優は魅せられた。
感受性の高い彼女には、他の者らよりも、その歌が波長が合ったのだ。
恐らくは切っ掛けさえあれば、何時か必ずこうなっていたのだろう。
この様なライブがなかったとしても、響希の本気の歌を耳にすれば、必ずや優はこうなっていた筈だ。
有り体に言えば、たった一度のライブを聞いて、彼女はファンになったのだ。
そんな感動に震える優の隣で、白鳥明日香は臍を噛む。
「……何よ、こんなの」
憧れの少年がばら撒いたチラシを見て、友を誘って此の場に来た明日香。
彼女は最初、己が恋い焦がれる相手である結城恭介しか見ていなかった。怯える虐められっ子など、端から眼中になかったのだ。
なのに気付けば、魅せられていた。大した歌でもなかったのに、何時の間にか目が離せなくなっていた。それがどうしようもなく気に喰わない。
「大した事をしてた訳じゃない。歌も、音も、それなりでしかなかったのに」
熱狂を以って、迎えられる程に優れた歌ではなかった。
練習不足で設備も不十分。緊張故に出だしで詰まって、そんな悪い所が目立った稚拙なライブ。
龍宮響希は、歌い手としては二流だろう。音楽家としては三流以下だ。
高名な演奏家を父に持ち、幼い頃から英才教育を受けて来た明日香だからこそ断言出来る。
これは所詮、子供のお遊戯だ。精々が趣味の延長でしかなく、鼻で嗤える程度の学芸会。
手放しの喝采など、相応しくはないだろう。万雷の喝采と共に幕を下ろす様な、そんな高尚な物ではなかった。
だがそれでも――
「それなのに何で――あんなに楽しそうに歌えるのよ」
とても楽しそうだった。一人で歌っているのに一人ではないと、そんな風に感じる歌だったのだ。
其処に感じてしまうのは、きっと何時もあの少年に抱いていた感情と似ている。
どうしてお前は、と。音楽なんて、楽しい物じゃないだろうに、と。そう感じて羨んでしまうのを自覚するから、明日香は苦虫を噛み潰した様に顔を顰めるのだ。
素直な感情を表に出す優とは異なって、明日香が見せる表情は酷く入り組み煮詰まった物。
それでも眼中になかった相手に対して素の表情を見せる程に、彼の歌はその胸に響いていた。
「……行くわよ。優」
「え、あ、ちょっと待ってよ。明日香」
嫌な物を見せられたと、苛立ちを隠そうともせずに去って行く白鳥明日香。
再びのアンコールに包まれる会場に後ろ髪を引かれながらに、明石優は足早に去って行く彼女の背を追った。
龍宮響希と白鳥明日香。
その道が交じり合い、同じ場所を目指す時はまだ遠い。
◇
ライブが終わった楽屋裏。三々五々に散らばって、観客たちが立ち去った後の事。
仮設されたステージの裏に作った簡素な休憩所にて、龍宮響希は疲れ切っていた。
慣れない事をしたのだ。疲労するのも当然。緊張から解放された今に、泥の様に眠りたい程に疲れている。
それでも疲れているだけではない。気怠さの中にも一つ、別の感情が見え隠れしている。それは達成感。満足感を含んだ倦怠だった。
「終わった」
「終わりましたね~」
疲れたと零した声に、すぐさま返るは亡霊少女の月の笑顔。
唯疲れた訳ではないのはきっと彼女が傍に居たから、龍宮響希はそう自覚する。
不思議な気持ちだ。熱くなる様な、暖かな様な、不思議な熱が胸にある。
初めて感じるその想いに、僅か響希は戸惑っている。親友への友情とは違う、家族への親愛とも違う。この気持ちは何なのだろうか。
「どうしたんですか? 響希さん」
「あ、ううん。何でもないよ」
じっと見ていたのを不審に思ったのか、西行寺玲菜は小首を傾げる。
そんな彼女を慌てて誤魔化しながらに、響希は初めて感じる情と取り敢えずの折り合いを付ける。
この感情が何なのかは分からない。それでも長く付き合えば、きっと分かって来るだろう。
不快ではない。この感情は嫌ではない。今はそれだけ分かっていれば良いのだと、儚く温かな月へ笑顔を返した。
そうして、数分。のんびりとした時間を過ごしていた響希の下に、来客者が現れる。
楽屋裏のカーテンを捲って声を掛けてくるその人物を見て、響希は驚いた様に声を漏らした。
「龍宮」
「……佐山くん」
佐山卓也。さして関わりのない少年が、其処に居た。
気まずそうに頬を掻いて、どう言った物かと悩んでいる姿を見せる卓也。そんな彼の姿を見上げながら、何か用があるのかと響希は僅か身構える。
正直言って相手に対する印象は悪い。分かり易い態度で恭介嫌いを示していて、それ故に響希の事も嫌っていた少年だ。先の一件も其処に加われば、歓迎出来る相手ではないと言えるだろう。
そんな卓也がどうしてと、声には出せず無言の内に視線で問い掛ける。
懐疑の視線に晒されて、一層居心地の悪さを感じている。そうでありながらも一念発起すると、佐山卓也はその場で頭を下げた。
「……悪かった」
「えっと、その、何が?」
「この前の事だよ。お前を置いて、俺ら逃げたろ。だからよ、謝りたいって思って」
抱えていたのはその感情。気にしていたのはその後悔。
それを晴らす為に、此処に来たのだ。だからこそ卓也は素直に、響希に向かって謝罪した。
「……ううん。別に良いよ」
その謝罪に他意はない。素直に悪いと思ったから、心から謝罪を示している。
そうと分かる程に真剣な言葉であったから、響希も素直に受け取り彼を許した。
元より被害は被っていない。置いて行かれて、悪い事はなかったのだ。
だから頭を下げて許しを乞われたならば、許さない理由が彼にはない。
あの日置き去りにされたからこそ、出会えた人も居たのだから。
「お陰で、大切な出会いもあったから」
「……そうか、なら、良かった」
笑って許す響希の言葉に、安堵した様に卓也は息を吐く。悪い事をしたのだと、少年はずっと気にしていたのだ。
それでもこの日まで伸ばしてしまったのは、少年らしい葛藤の表れ。気に入らない奴の友人に対して、頭を下げるのかと言う反骨の意志。
「それとだ。歌、聞かせてもらったぜ」
そんな彼が今、謝罪を口に出来たのは先の歌がその理由であった。
煮え切らない感情故に迷っていた少年が、その歌に心を震わせられたから、此処で一歩を踏み出そうと思えたのだ。
「なんつーか、俺には上手く言えないんだけどよ」
言葉を伝える。心を伝える。その想いは伝わった。多分その時に初めて、佐山卓也は龍宮響希をその目に見た。
気に入らない結城恭介の付属品としてではなく、龍宮響希と言う個人を初めてその目に映した。そしてその時に感じたのだ。圧倒されたと言っても良い。
「スゲェよ。お前。なんつーか、兎に角スゲェわ」
語彙に乏しい少年は、それを何と語った物かと言葉に詰まらせる。
上手く言えないその感想を、兎に角凄いと端的に示して、だがその言葉には万感の想いが籠っていた。
「それだけだ。じゃあな!」
歌に魅せられた観客の一人は、それだけを伝えたかったと言って去る。
晴れ晴れとした表情で去って行く佐山卓也の背を見詰めながら、西行寺玲菜は終始首を傾げていた。
「はぇ~、行ってしまいました~、何だったんでしょうか~」
「……凄い、か」
何が何だか分からずに、ふわふわと首を捻り続けている玲菜。
そんな彼女の傍らに居る響希は、言われた言葉を反芻する様に舌で転がせる。
「初めて言われた。そんな事」
こんな風に尊敬する様な瞳を向けられたのは、初めての経験だった。
上から褒められる事はあっても、誰かに憧れの様な視線を向けられたのは初めてだった。
だから、そんな万感の想いが籠った言葉を、響希は不慣れに受け止めている。
「……何か嫌だったか?」
「ううん。嫌じゃない。性に合わないって言うか、くすぐったいとは思うけど」
彼の少年に嫌われていると自覚するが故に、トラブルを起こさない様席を外していた結城恭介。
カーテンの向こうから合流するなりそう問い掛けて来た彼の言葉に、龍宮響希は素直な感想を此処に返す。
やはり慣れていないから、くすぐったいと思ってしまう。
それでも負の感情を向けられた訳ではないから、嫌だなどとは思わない。
だから、口にするのは想った事。素直な感想を此処に、龍宮響希は口にした。
「だけど、うん。……またしたいな」
「OK。なら、またしようぜ」
またしたいな、と。今回の様なライブをもう一度、やってみたいと響希は語る。
そんな前を向いた響希の瞳を見詰めて、微笑みながらに恭介は言葉を返した。
「それに言われなくても、未だ続ける心算だったぜ。俺らの目標、まだ達成できてないだろ?」
「それって、前に言ってた? あれ、キョウちゃんだけの目標だと思うんだけど」
「ならこの場で、俺達三人の目標にすれば良い!」
目標達成するまでは、どの道続ける心算だったと語る恭介。
響希に白い視線を向けられ溜息を漏らされながらも、ニヤリと笑う彼は動じない。
そんな二人の様子に、事情を知らない玲菜は首を傾げて疑問を零した。
「目標? 何なんですか、それ?」
問い掛ける幽霊の言葉に、響希と恭介は視線を交わして小さく微笑む。
未だ手を引かれる形なのは変わっていないが、ああ、それでも目指してみるのは良いだろう。
「決まってる」
「うん。決まってるよ」
そう思ったのだ。そう為そうと思えたのだ。だから、それを目指してみよう。
『日本武道館で満員御礼ラァァァイブッ!!』
声を揃えて、遠くその目標を宣言した。
「何だ、響希もやる気じゃないか!」
「本気で目指すって言うより、そう出来たら良いよね、ってレベルだけどね」
「それで良いさ。今は、遠い前を見ようとする事に意味がある」
心の底から誓う程ではなく、それでも目指してみようと思えた物。
絶対に為そうと言う意志ではなくて、取り敢えずの目標地点と定めた場所。
やるからには遠くを見よう。ゆっくりとでも良いから一歩を踏み出そう。
そんな小さな変化に過ぎないこれは、それでも確かな更始一新。変わる為に踏み出すのは、此処から先への第一歩。
「??? 良く分からないですけど~、楽しそうで良かったです~」
響希の事情も、恭介の理由も知らない玲菜は現状を上手く理解は出来ない。
それでも楽しそうで良かったと、素直に微笑む幽霊少女。彼女は知っているのだ。知らないなら、これから知って行けば良いのだと。
小さな楽屋の裏にて、最初のライブの後に宣言しよう。
結城恭介はその場に居る二人を見詰めて、確かな言葉を此処に口にする。
「メンバーは三人。俺と玲菜と響希の三人。そしてこっから増やしていく」
この三人は最初の三人。名前すらまだないこのバンド、足りない物は多くある。
その内一つがメンバーならば、残る面子はこれから共に集めて行けばそれで良い。
「目標はでっかく武道館。日本全国震わせるくれぇの学生バンド、皆で目指してみようじゃないか!」
目標は遠く、市内県内トップでなく、日本全土を震わせる程に。
ないない尽くしのこのメンバーで、それでも遠くを見ながら進んで行くのだ。
(やってみる)
この今に感じた充足感。あの時に感じた歌う楽しさ。
それを知ってしまったから、もう一度と望んだから、だから一歩を此処に踏み出す。
(出来ないかもしれないけど、やらないと始まらないとも知ったから――)
目標は遠い。遠すぎる程に遠いから、達成出来ずに終わる可能性の方が高い。
だけどやらないでいるよりも、やってみたいと思えたのだ。きっと進めると思えたのだ。
(大丈夫、一人じゃないから)
何でも出来る友達が、道を示してくれたのだ。
温かいお月様が傍らで笑って、共に歩いてくれるのだ。
ならばきっと、弱虫な響希にも何かが出来る。
一人ではないと知っているから、何処までだって歩いて行ける。
(今はゆっくりとでも、遠い前を見詰めて歩き出そう)
龍宮響希は決意する。この日に決めたのは、たった一歩分の小さな決意。
道は万里の果てまでも、遠く遠く先にある。たった一歩では届かないだろうが、それでも踏み出さなければ近付く事さえ出来はしない。
それでも歩き出せば、辿り着ける場所もあるかも知れない。
今日のこの日にそうと知れたから、響希は彼らと共に歩き出そうと決めたのだ。
◇
「と言ったって、生活が一変する訳でもないんだよね」
翌日の学校。昼休みの休憩時間。人気の薄れたクラスの席に、腰掛ける響希は一人呟く。
覚悟を胸に決意を示して、一歩を歩き出した所ですぐさまに訪れる変化などはそうはなかった。
視線を感じる。だが声を掛けてくるのは極一部。
元よりクラスメートの全員が、あのライブを見に来た訳ではなかったのだ。
日常の遣り取りなど、一日二日で変わる筈もない。
響希の名前が時折話題に上がる程度で、他に目立った変化と言えば唯一つ。
「幽霊屋敷の噂はもう聞かなくなったけど、目に見える変化なんて、それだけか」
話題性は学生バンドに傾いて、彼の幽霊屋敷は学生バンドの拠点であると認知された。
今後も持続させなければ一過性に終わるだろうが、それでも当初の目標、噂の上塗りは如何にか成功したと言えるだろう。
存外あっさりと達成できた目標。起きた変化はその位で、些か以上に拍子抜けしたきらいがあった。
「でも~毎日放課後、お屋敷でお歌の練習をする事になりましたよ~」
「……一応名目上は部活動扱いになってるみたいだね。あの屋敷の権利書と言い、顧問の居ない部活と言い、キョウちゃんホント何やったんだろう」
場所に選んだ屋敷の権利書や、顧問の先生も居ないのに下りた部活動としての申請許可など、一体彼は何をしたのか。
何時も通りの事とは言え、相変わらずの行動力に息を吐く。如何にも敵いそうにはないそれに、響希は感心を通り越して呆れてしまうのだった。
「あらあら~。キョウちゃんさんにも困った物ですね~」
「そうだよね。何時も何時も、やる事為す事トンデモなくて――って、玲菜ちゃんがなんで居るの!?」
「あらら?」
其処まで口にして、相槌を打っていた人の姿に驚愕する。
周囲には見えない半透明のその人物は、此処には居られない筈の彼女であった。
「居ては駄目でしたか……」
「いや、居ちゃ駄目だって事はないけど、いやでも君って地縛霊だったよね!? どうして学校に居られるのさ!!」
「……あれ~?」
しょんぼりとした感情を態度で示す玲菜に、慌ててフォローしながら響希は問う。
屋敷に縛られていたが為に、その外には出る事が出来なかった西行寺玲菜がどうして学校に来ているのかと。
見えない彼女と話している。その怪しい行為に奇異の視線を向けられていると、気付けない程に響希は驚いている。
驚きではなく無知故に、同じく現状を理解していない玲菜は首を傾げる。彼女は問われて気付いたのだ、どうして己が此処に居られるのだろうかと。
「う~ん」
首を捻って考え込む。そうして数秒、馴染んだ感覚に理解した。
これまでは姿を現せない程に、未だ馴染んでいなかったその感覚。此処に起こった変化をこの今に、漸く自覚したのである。
だからこそ、答えに辿り着けた玲菜は手を合わせる。
喉の小骨が漸く取れたと言わんばかりに、晴れやかな表情で事実を告げた。
「どうやら私、地縛霊から背後霊に変わったみたいです~」
詰まりはそう言う事。西行寺玲菜と言う建物に憑り付いていた地縛霊は、人に憑り付く背後霊へと変わっていたのであった。
「え? そんなあっさり変わる物なの? って、今君が憑り付いているのってもしかして――」
「はい~。響希さんの背後霊になりました~」
驚愕する響希が示す様に、本来幽霊と言う存在の本質はそう簡単に変わる物ではない。
彼彼女らは既に終わった者だから、己からでは変われない。人が抱いた幻想によって左右される事もあるが、相応の切っ掛けが必要だ。
そう。切っ掛けはあった。本人達が知らぬ所で、その切っ掛けはあったのだ。
それは神に捧げられるべき尊き器。神籬と言う資質を持った龍宮響希が、穢れた霊場であった幽霊屋敷を掃除したと言う事。
幽霊屋敷は最早、一大霊場と並ぶ程に神聖な場所となっている。祓い清められたその土地に穢れは住まえず、当然の如くに彼女は浄化されて昇天するべき定めであった。
だがしかし、響希は求めたのだ。世界でも最高規模の霊媒体質が、無意識に彼女の存在を求めた。
故に本来消え去るべきだった魂は、彼の器に縛られた。互いが共にある事を望んだ為に、西行寺玲菜の本質が歪められたのだ。
とは言え、そんな理屈など知る由もない。最初から予想していて掃除をやらせた彼の人物を除いて、この世界線の彼らが裏の事情に深く関わる事など有りはしないのだから。
「何でか響希さんから一メートル以上離れられないみたいなので~、トイレもお風呂も寝る時も一緒ですね~」
「ちょっ!?」
彼らにとっては理屈も分からず、故にあるのは確かな現実。
ちょっと気になっている女の子が四六時中一緒に居る事になった、プライベートを失った少年の叫びだけが其処にある現実だった。
あり得ない。そう頬を引き攣らせる響希を前に、誰にも見えない少女は微笑む。
儚い月の如き笑みは何時もの様に、決して冷たくはなくその真逆。人を安心させる微笑みで、西行寺玲菜は告げるのだ。
「これからずっと一緒に、よろしくお願いします~」
これが始まり。もしもあり得たかも知れない世界で、始まる少年達の青春劇。
救われない悲劇などはなく、為さねばならぬ宿命もなく、当たり前の様に過ごす日常の物語。
弱虫な少年は、憑り付いた幽霊と共に小さな歩幅で歩いていく。
もしもドラゴンじゃなかったら、龍宮響希の道行に悲劇はなく、穏やかだが破天荒な日々が続いていくのだ。
取り敢えずこれにて、『もしもドラゴンじゃなかったら』第一章は終了。
次は四人目のメンバーである不良少年との第二章ですが、その前にDTS本編を少し進めようと思います。