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愛妻白書。(手のひらの孫悟空状態)  作者: カトラス


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健診結果

『結婚15年目・夏』


 気温35℃。

 連日の猛暑日に身体はバテバテの日々。

 とにかく、仕事が終わると家に帰るなり晩酌タイム。缶ビールをグビグビやる。

 正に至福の時なのだが、妻からは缶ビール一本と厳しく制限されていた。

 しかし、暑い、暑い。

 古い家なので熱が室内にこもるし汗が止まらない。

 だから自然と冷蔵庫からもう一本拝借と……。

 キンキンに冷えていて暑さ吹き飛ぶってものだ。

 そんなこれ以上ない幸せに浸っていた刹那。

 顔面の横から指が見えたと思ったら、ほっぺをつねり上げられていた。

「痛っっ」思わず声が出てビールの泡か何か分からないアブクと液体が口から飛び出る。

「ブヒムヒ、あんた何本も冷蔵庫からビール盗んで暑いから調子こいてたらいわし上げるでー」

 ちなみに「ブヒムヒ」と言うのは妻がしているソシャゲで飼っている豚ちゃんの事だ。

 家族の為に一生懸命働いてる旦那に対してこのような仕打ちをする妻は鬼だわ。

「盗むとは人聞きが悪い事言うな! しかも一本多く頂いただけやろ。何本も万引きしたような言い方するな!」

 尋常じゃない暑さ及びこのような仕打ちは真に腹が立つ。

 だから、今日という今日は妻に一泡吹かさないとな。

 と……思ったのだが、妻の顔を見たとたんに戦意喪失となる。

 夕飯の支度でこの暑い中、揚げ物をしていたらしく大粒の汗をかいていてすこぶる機嫌が悪く見える。

 生物の本能といったらそれまでなのだろうが、このまま口ごたえしたら、『ヤラレる』と頭のアラームが鳴っているからだ。

 ここは、一つ状況回避と行くのが得策だろう。

 私はビールを飲みのをひとまず止めると冷蔵庫に向かい、コップに麦茶を注いで妻に渡す。

 これは強い者に対する礼儀みたいなものだ。

「今日は本当に暑いからな。お前も揚げ物作ってくれてお疲れちゃん」


 し、しまった……。

 冷えた麦茶を渡したまでは良かったが、つい妻に向かって御法度の「お前」と言ってしまった。

 結婚当初から「おまえ」と言われるのをすこぶる嫌うのだ。

 言うといつも痛い思いをするので条件反射的に身体が強張ってしまう。

 だが、妻からは「ありがとう! ブヒムヒ優しいやん」との御言葉。

 もしかして、外は雪でも降っているのではないかと思ったが、どうやら妻も暑さで頭の回転が落ちていて助かったみたい。

「あ、そうそう。ブヒムヒに封筒届いてたで」

 封筒って……。

 以前にアダルトサイトをネットサーフィンしていて怪しげなDVDが送られてきた事が今でもトラウマになっている私は自分宛ての郵便物は怖いのだった。

 あの時は妻にスコーピオンデスロックをかけられてしまい、あまりの激痛でヨダレを垂れてしまったからな。

 

 妻から渡された封筒は厚みが無いことからエッチなDVDで無いのは明白だ。

 というか、最近はその手のアダルト系は暑さで弱っているのか興味がわかない。

 男たるもの性欲が無くなるといよいよだな。

 なんて誰かが言っていたようないないような。

 封筒に書かれている送り主は会社の健康保険組合からのもので郵便番号の横に「親展」と書かれている。

 今まで健康保険組合から封筒など来たことがないから何事かと思ってしまう。

 早速、封を乱雑に開け中身を確認した。

 妻が、後ろで興味深げにしているのがややプレッシャーだ。

 中には先月会社で行われていた健康診断の結果が通知される内容。

 そこには血液検査と尿検査の判定が示されていて、私はどうやら「糖」で引っかかってしまっていた。つまり、血液検査時の血糖値が高く尿糖も+3とNG判定となっている。

「直ちに最寄りの病院に行き再検査してください。検査結果次第により保健師と産業医の面談あります」となっている。

 健康診断判定も「F」となっているので、普段はA判定の健康な私からしたら寝耳に水の再検査通知となってしまったのだ。

 後ろで見ていた妻は「糖尿病かもな。近所の内科行って見てもらい」とアドバイス。

 病と言われて、早速スマホで糖尿病を検索してしまっていた。

 何やらゾッとする事が沢山書いてあるが、主な症状としては血糖値が高いと喉が渇いてトイレが近く倦怠感が常にある。みたいな事が書かれている。

 って……正に症状は今の自分ではないか!!

 暑さのせいにして喉が渇くからビールを飲みそして尿意を催す。そしてダルい。ダルい=倦怠感ではないのか。


 兎にも角にも、健康保険組合からの親展通知だから放っておくわけにもいかない。

 近所の内科医院を調べて電話で問い合わせてみることに。

 病院の話では、「今からでも診ますよ」と言ってくださったが、時計を見ると閉院が近い時間なので次の日に行くことにした。

 ちょうど家から近い町医者なので、明日はビールを抜いて仕事帰りによることにしたのだが……。まさかこの再検査の結果が人生初の入院に繋がるとはこの時には思ってもいなかった。


 

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