表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

真相究明

すみません。

また間違いを発見してしまいましたので、後で修正します。

サブタイトルが『思いが通じ合えるとき』です。

大町さん家族がお花見をしていたのは、幼稚園のママ友家族ではなく、保育園のママ友家族です。

二歳じゃ幼稚園には入れないよ〜(涙)

これもまた、物語には影響ないんですけどね。

「律さん、お聞きしたい事があります。」


余程強張った顔をしていたのだろう。律さんは訝しげに私を見つめた。

「あまりいい話じゃなさそうだな。長くなりそうか?」

コクンと頷くと、ため息をつき、ベッドに私を誘導した。

私はギョッとして律さんを睨んだが、彼は平気な顔で

「座って。」

と言った。

なんだ。座ってゆっくり話そうとしてたのか。


ホッとして、私がベッドに座ると、律さんはその隣に腰を下ろした。

「さて。聞こうか。」





「この前、律さんは、亜美のことは女として見てないって言ってましたけど、ホントは違うんじゃないですか?」

「どういう意味だ?」

「亜美と、不倫してたんですよね。」

「は?」

余程度肝を抜かれたらしい。すっとんきょうな声を上げて、視線で私の瞳を射ぬいた。


「亜美と誰が?」

あ。亜美って言った。心の中で、こっそりチェック。

この前は『亜美ちゃん』って言ってたのに。

「律さんですよ。」

「今朝は何も言ってなかったよな。たった一日でなにがあった。誰に何を言われたんだ?」

うっ。そこが強気に出られないところ。

何せ覗き見メールの話はできない。


「えっと。誠二くんから電話があって〜、亜美と律さんは付き合っているって。えっと。誠二くんが亜美に『好きじゃなくなった』って言ったのも〜、それを知ったからだって〜。」

しどろもどろになるのは、仕方ないよね!?

髪を触って、律さんの視界から、泳ぎまくってる私の目を隠す。


「何だってそんな。お前は、そんな話信じたのか?」

怒りのオーラを感じて縮こまる。

「信じたくないから、直接聞いたんじゃないですか。」

「誠二はどうしてそんな誤解をしたんだ。何を言われたのか、詳しく言ってみろよ。」


「去年の誠二くんの誕生日に、律さんを家の傍で見かけたそうです。誠二くんが留守なのに、遅い時間に。」

律さんは、少し考えて頷いた。

「ああ。確かに仕事が終わってから、誠二の誕生日プレゼントを届けに行った。飲みに誘われたりして、よく遊びに行ってたからな。お礼のつもりで届けた。届けただけだぞ。別に誠二が居ないのを狙って行った訳じゃない。そんな事で疑ってんのか?」

ソレだけで疑うほど、嫉妬深くありませんよ!

鼻を膨らませ、勢い込んで続きをまくしたてる。


「まだありますよ。『誠二は気付いてないか』って電話で話してるのを聞いたそうです。」

ホントはメールですけど。


律さんは、また少し考えると眉間に皺を寄せた。

「おかしいな。それ、俺が話してるのを聞いたんだろ?」

しつこいようですが、メールです。でも、とぼけとこう。

コクンと頷く。

「そうみたいですよ。」

「会社から亜美に電話したのは昨日だけだ。昨日はそんな話してないぞ。どこでそんな電話聞いたんだ?」


ふーん。

「他の時に他の場所では言ったんだ〜。」

「変に勘繰るな。亜美とは何でもない。ただ、相談を受けていた事があって、心当たりはある。」

「何の相談ですか?」

「それは言えない。あいつの許可ナシに言える事じゃない。」

そういう事言ってるから疑われるんじゃない。

唇を尖らせていると、律さんがいきなり核心を突いてきた。


「誠二のやつ、メールを見たな。」

「えっ!」

もうバレちゃった!

律さんの勘の良さに舌を巻く。


「なんでそんな事わかるんですか。律さんが忘れてるだけかもしれないじゃないですか。」

「俺の記憶力をなめんなよ。それを言ったのはメールでだ。」

「仮にメールだったとしても、私にはどっちでもいい事ですよ。言ったことには変わりないんですよね。」

「さっきも言ったが、亜美とは何でもない。不倫を気付かれてないかと聞いたわけじゃなくて、亜美の悩みを気付かれてないか聞いただけだ。で、他にどのメールを見たって言ってた?」


「ちょっと待ってくださいよ。夫が知らないことを、他の男性が知ってるなんておかしいですよ。悩み事だって、誠二くんに相談するのが筋ってモンですよね。」

「ま、そうかもな。だが、夫だから相談できない事もあるんじゃないか?」

「それ、怪しいです。凄く不審です。」

「その事については話せない。疑われても、だ。」

キッパリと言い切られ、私もそれ以上は追及できない。

「で? 他に何て?」

仕方がない。ここは腹をくくって、全て話してしまおう。誠二くんも腹をくくってくれ。


「律さんが亜美に『どんな理由をつけてでも会いたい』って。」

「!」

律さんの目が大きく見開かれて、たちまち顔を真っ赤にした。

「…それは忘れろ。」

それはホントなんだ。やっぱり亜美を好きだったんだ。そんな情熱的な言葉を言うくらい。

しかも、こんなに動揺するなんて。不倫が事実としか思えないよ。

多分私、今までの人生で一番情けない顔をしてる…


「違う。」

「え?」

「亜美に会いたかったわけじゃない。」

じゃあ誰に?

亜美へのメールになんで他の人へのメッセージを入れるの?

おかしいじゃない。


「亜美に頼んでたんだ。お前に会わせてくれって。」「へ?」

今度は多分、今世紀最大の間抜け顔。

「なんで律さんが知り合う前の私を知ってるんですか。適当なこと言わないでくださいよ。」

「言いたくないよ。ストーカーみたいで。でも言わないと、お前の妄想が暴走するだろ!」

む。私が悪いのか!?


「亜美からお前の話は聞いていた。写真も高校時代から今までのものを、たくさん見せてもらった。段々と成長して、『女の子』から『女』になっていくお前に興味を抱いたんだ。好きになったのは会ってからだけど、俺はもう何年も前から『立川美穂』という人物を知っている。亜美の目から見た『立川美穂』より、実物の方がよっぽど面白かったけどな。」


『引いたか?』と、私の視線を避ける律さんが、何だか可愛くて、私は首を横に振った。

「でも、律さんに恋していなかったら、気持ち悪く思ったかも。」

時々正直なのが、私の美点。

あれ? ダメージ与えたみたい。ガックリうなだれてる。


「でも、おかしいです。その後に、『お前たちの仲は壊さない』って。私に会いたいって話なら、誠二くんと亜美の仲が壊れる事なんてないですよ。やっぱりウソ…」

「解釈が間違ってる。そうか。俺のメールだけ見たんだな。その時亜美が、『会わせて上手く行かなかったら、私と美穂の友情にヒビが入るから嫌だ』と言ってきたんだ。だから俺が言ったのは、『美穂と亜美の仲は壊さない。万が一そんな事になったら、俺は美穂から手を引く』って事なんだが?」


……せ〜い〜じ〜っ!!

話が全然違うじゃない!

あんぽんたん!

どうせ見るなら両サイドの話を見なさいよっ!

誠二くんの話を鵜呑みにしていた自分を棚に上げて、思いっきり彼を扱き下ろす。

まぁ、それは置いておくとして…


律さんの話は筋が通っているし、話し方に淀みがない。信じられそうだ。

秘密を共有しているのは気になるところだけど、律さんには後ろめたさがみられない。疾しい秘密ではないのかな。

でも、秘密を共有したり、メールをやり取りしたり、親し過ぎるんじゃない?

会社の後輩の奥さんと、それほどまでに親しくするものなの?


「あっ!」

「なんだ?」

そうだよ。メールに意識を向けてて忘れてたけど、亜美、言ってたじゃん。

「亜美が言ってたんですけど…」

「うん?」

「律さんが私を選んだから、もう自分には誠二くんしかいないって。亜美も、律さんと誠二くんのどちらかを選択しなくちゃいけない今、誠二くんを選んで後悔はないって。」

うん。要約すると、こんな感じだよね。


律さんはビックリした顔でこちらを見て、目をパチパチさせた。

「嘘だろ?」

「事実です。」

「それだと、亜美が俺の事を好きだったように聞こえるが?」

「私にも、そう聞こえますね。」

「本当に亜美がそう言ったのか?」

「はい。だから、もうコレは間違いないなって思ったんです。」


どうやら律さんは、亜美の気持ちに気付いてなかったみたいだな。だとしたら複雑な心境だろうな。

私も複雑だけど。

二人が不倫してると思ってたから、亜美に変な態度をとっちゃったし、意地悪も言っちゃった。

最後の最後で、亜美は思い止まったのに。

しかも、片思いの相手を奪っちゃったんだ。

夫がいるのに、片思いの恋をしてるってのも問題だけど。


「美穂が嘘を言ってるとは思わないけど、勘違いって事はないか?」

律さんの問いかけに首を振る。

「信じられないんだよ。あいつ、さっき言った『誠二に言えない事』で悩んでいる時に、『誠二と別れたくないけど、別れてあげた方がいいのかな』って言って泣いていたんだ。」

「相談してるうちに好きになっちゃったんじゃないですか?」

「そんなはずはない! お前に初めて会った日の前日に、メールをもらってるんだ。『誠二と別れるくらいなら、嘘をつく事だって平気だ』って。」

私は誠二くんから聞いた話を思い出していた。

ああ。『好きじゃなくなった』って誠二くんが言い出した原因のメールね。

って。ええっ!

別れたくないのは誠二くんとなんだ!

完全に誠二くんの誤解だったんだ。あのバカ。散々人を振り回しやがって!


「亜美が俺を好きだったとなると、俺は誠二に対して後ろめたいよ。」

心の中で誠二くんに悪態をついていた私は、律さんの言葉にハッとした。

「近くなりすぎたかな。」

律さんはそう言うと、自嘲気味に笑った。


「それでも、俺が選んだのは美穂だ。俺の出会った全ての女の中から、俺はお前を見つけたんだ。何があっても手放す気はないからな。」


そして唇に唇を合わせ、触れ合うだけのキスをした。

離れる瞬間、もう一度軽く触れ合い、律さんは立ち上がった。


「今日は帰るよ。」

「電車、もうないですよ。」

「途中でタクシーを拾うから。」

同じ夜を過ごせない事を残念に思いつつも、亜美の事を考えると私の気持ちも萎んでしまい、律さんの後に続いた。


律さんは、玄関まで来てサンダルをはく私に『外は危ないからここで』と言って、また一つ、キスを落とした。

「じゃあ、またな。鍵、忘れるなよ。」

ドアがバタンと閉まり、カッカッと靴音が遠ざかって行った。


私は、亜美の思いと、彼女が律さんと共有する秘密に微かな不安を感じながら、そっと鍵を締めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ