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闇色の翅  作者: 李音
妖精章Ⅹ 地獄の季節
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地獄の季節-6

終盤のシャイアの台詞を少し増やしました。

 シルフィア・シューレ院長室、マリアーナはそこでテストの採点をしていた。セリアリスは目が見えないので、こういった細かな仕事はマリアーナに一任されている。生徒の人数は随分減ったが、それでも教員はセリアリスとマリアーナの二人しかいないので、仕事は楽ではない。

 マリアーナが答案用紙に丸を付けている側で、ティアリーは宙を浮きながら窓辺で外を見ていた。その顔はとても不安そうだった。ここ数日間、ティアリーはこんな状態が続いていた。そんなティアリーに、マリアーナは採点の手を止めて言った。

「まだエクレアの気配が掴めないの?」

「……うん。エクレア姉様、どうしちゃんたんだろう? オルゴールの中で眠ってるのかな……」

「ここ何日か、リーリアの姿も見ていないわね。後で様子を見に行きましょう」

「うん。まったく心配かけさせて、エクレア姉様見つけたら叱ってやるんだから」

そんな事を言うティアリーの表情から不安の色が消える事はなかった。

 同時刻、さる森の上空ではレディメリーがエクレアの気配を探していた。その顔はティアリーよりもずっと深刻そうだった。

 レディメリーは、しばらく森の上を行き来してエクレアの気配を探していたが、見つからないので諦めて森の中に急降下してクラインの前に降り立つ。

「まだエクレアの気配が掴めないのかい?」

「うん、なんか変だわ。姉様に悪い事がおこってなければいいんだけど……」

「そうか、リーリアの事も気になるな。……シルフィア・シューレに行ってみるか」

 クラインは今までずっと学院に行くか迷っていたが、エクレアの消失をきっかけに行くことに決めた。リーリアを心配しての事だが、それ以外にもやらなければならない事があった。

 

 王国議会まで残りは半月となった。そろそろ王国議事堂があるフェアリーラントに赴いて、様々準備をしなければならない時期になっていた。リーリアは、マリアーナとセリアリスの二人と共に明日にフェアリーラントに向かう予定になっていた。

 この日の朝、リーリアは着替えて赤いコートを纏うと、右手にはブラックオパールの指輪を、そして首に大きなブラックオパールの付いたペンダントを掛けた。ペンダントの方はエクレアのコアであった。リーリアはエクレアがどんな姿になっても、最後まで共にあると心に誓っていた。

 リーリアが自室を出たところで、廊下で待っていたメルファスが言った。

「お嬢様、準備は整っております」

「ご苦労、メルファス。すぐにシェルリの所に向かうわ」

「かしこまりました」

 そしてリーリアは、メルファスの用意した馬車でシェルリが眠る場所に向かうのだった。

 シェルリの墓はシルフィアシューレから少し外れた森の中に開けた墓地にあった。そこに行くためには薄暗い森を抜けねばならない。

 リーリアがシェルリを見舞うのは、葬式の日以来であった。シェルリもサーヤやリーリアと同様に妖精を愛し、妖精と人間の調和を望んでいた少女だ。だからリーリアは、王国議会に行く前にシェルリに行ってきますと声を掛けたかった。

 墓地に向かう途中、森の中を走る馬車の中でリーリアは花束を側に置き、ペンダントのブラックオパールを愛おしそうに触っていた。掌にちょうど収まる程の大粒のブラックオパールのドーム状に磨き上げられた表面は、まるで七色の炎を発するかのように幻想的な遊色を浮べている。

 リーリアはペンダントのブラックオパールを見る度にエクレアを思い出して泣きたい気持ちになる。しかし、涙は見せなかった。今はブラックオパールとして輝きを放っているエクレアから泣くなと叱咤されるような気がしたからだ。

「エクレア……」

 リーリアがペンダントのブラックオパールにそう呼びかけた時、御者のメルファスが驚いたような声をあげて馬車が急停止した。

「どうしたの?」

 リーリアが前方の御者台と話をする為に付いている窓を開けて顔を覗かせた。

「すみませんお嬢様、子供が急に飛び出してきまして」

「子供ですって? 大丈夫なの?」

「わかりません。ちょっと様子を見てきます」

 メルファスが御者台を下りると、リーリアも馬車から出て辺りを見た。しかし、子供の姿などどこにも見当たらなかった。

「メルファス、子供はどこなの?」

 リーリアが子供を探していると、背後で何かのスイッチでも入れるような音がした。リーリアが振り向くと、メルファスが拳銃の銃口を向けて立っていた。

「子供などいませんよ、お嬢様」

「メルファス、何を?」

「お嬢様、貴方は美しい。ずっとこの時を待っていたのですよ、美しいあなたをわたしだけの物にするこの瞬間を」

「何を言っているの? 馬鹿な事は止めなさい……」

 メルファスが歩き出して近づこうとすると、リーリアはそれに合わせて後ろに下がる。メルファスの目には恐ろしい愛が、そして顔には喜悦に高ぶる異様な笑みが浮かんでいた。リーリアは今まで誰よりも信じていた従者の憎愛の前に寒くなって体が震えだす。メルファスが今まで自分に対してどんな思いで使えていたのか知った時、リーリアは彼の前から逃げ出した。しかし、走り出したその瞬間に銃声が森の静寂を突き破り、木陰で休んでいた小鳥たちが不吉な音に驚いて飛び立って行く。

「ああぁっ!!?」

 リーリアは衝撃を受けて前のめりに倒れていた。最初は何が起きたが分からなかったが、右足の大腿部に猛烈な痛みと熱が襲ってきて足を撃たれたのだと理解させられた。リーリアの赤いドレスのスカートに穴が開いていて、その付近がさらに赤く濃く染まっていく。リーリアは銃創を手で押さえ、ると掌はたちまち血に染まった。

「どうして、メルファス……どうしてこんな事をするの……」

 リーリアは目に涙を溜めながら訴える。メルファスの笑みを浮べる表情の中には、最高の快楽に溺れる彷彿とした色がある。メルファスは銃を構えながらまたリーリアに近づいた。リーリアは左足で土を蹴ってずり下がり、少しでもメルファスから離れようとするが、背中が森の樹木に触れてそれ以上はどこへ逃げる事も出来なくなった。

「二年前に会ったその瞬間から、わたしは貴方の虜となりました。お嬢様には、わたしの愛の為に死んで頂きますよ」

 再び銃口が火を噴き、リーリアは悲痛な悲鳴をあげるが、それは銃声にかき消された。

「うっ……くぅっ……」

 リーリアは新たに生まれた激しい痛みで呻いた。今度は右腕から血が広がっていく。信じていた者に裏切られ、傷つけられることに耐えられなくなったリーリアは、悲しみの余り涙を流した。

「どうして、貴方の忠誠は本物だったわ。貴方は、わたしを守る為に命を賭けると言ってくれた、その気持ちに嘘はなかった。それなのに、どうして……」

「その通りですよ。わたしはお嬢様の為ならいつでも死ぬ覚悟はできていました。それは、貴方を愛しているからです。いつか貴方の全てを手に入れる、ずっとそう思っていた」

 そしてメルファスは、殺意と愛情の中で混沌とする気味の悪い笑みを浮べる。

「美しい。傷ついた姿も、悲しみに涙する姿も、何もかもが美しい。わたしはお嬢様のそういう姿が見たかったのです。気高く誇り高い姿も良いですが、今の貴方はこの身に耐えがたい程に愛おしい!!」

「愛しているなら何故こんな事を……」

 リーリアが涙を零しながら言うと、メルファスは目を見開き、愛と殺意の狭間から生まれる狂気に支配されて叫んだ。

「愛しているからですよ!!」

 それからメルファスは暗い愛に溺れる微笑を浮べたまま言った。

「お嬢様、貴方は美しい、至高の少女だ。しかし、人間というものは年老いて枯れていくものです。わたしには貴方が枯れて行く姿を見る事はとても耐えられない。だから至高の少女のまま貴方を殺し、その美しさを永遠にわたしの胸に刻むのです。それがわたしの愛だ」

 リーリアは自分の最後を悟ってペンダントのブラックオパールを両手で握って胸に当てた。

「芸術の中にはあえて傷つけて美しさを表現するものがある。今のお嬢様はまさにそれです。これ以上傷つけては美しさは台無しになる。しかし、もう少し(いろどり)が欲しい所です」

 メルファスの憎愛に歪んだ笑みが別の物に変わった。弱者を痛めつける人間はこんな笑みを浮べるに違いない。彼は手を伸ばし、リーリアのブラックオパールに手を伸ばした。

「何をするの!!? 止めて!!!」

 リーリアは激しく抵抗するが、少女の非力さに加えて重傷を負っていてはどうにもならなかった。メルファスは血まみれのブラックオパールをリーリアの手から奪い取り、ペンダントを引きちぎった。

「返して!!!」

 リーリアが手を伸ばして言うと、メルファスの顔から笑みが消えて不快の色が浮かんだ。

「エクレアはいつもお嬢様の側にいて邪魔な存在でした。死んでくれて本当にせいせいしましたよ」

 リーリアはエクレアの事を思い、さらに多くの涙を流した。最後まで一緒にいようと決めていたのに、愛に狂った男に盗られてしまった。

「返して……エクレアを…返して……」

 足と腕の出血によってリーリアの意識が朦朧としてくる。メルファスはそんな少女を見つめながら、再び喜悦に耐えないという笑みを浮べた。

「ああ、お嬢様! わたしは貴方のこういう姿を見たかったのです。何と美しく、儚く、清純なのでしょうか! もう思い残すことはありません、後は貴方を殺して愛を永遠のものにするだけです」

 メルファスは銃口をリーリアの胸に向けて撃鉄を上げた。

「心臓を撃ち抜き、その胸に真紅の薔薇を咲かせてあげましょう。貴方にふさわしい死だ」

 リーリアの閉じた瞳から止めどなく涙が流れ落ちる。少女は自分の死よりも愛する人の事を思った。

「ごめんなさい、貴方の夢を叶える事が出来ませんでした……でも、褒めて下さいますわね……わたしは精一杯頑張りましたもの……」

 メルファスは愛の成就の瞬間に胸を高鳴らせ、銃の引き金を引こうとした。その時、奇妙で美しい輝きをもった鋭いものを彼は見た。

「え?」

 いきなり迫ってきたそれはメルファスの眼鏡を突き破り、ガラス片を巻き込んで左目に突き刺さった。銃声よりも遥かに大きい、恐ろしく悲痛な叫び声が森を震わせ、メルファスの手から投げ出されたブラックオパールが地面に転がった。リーリアが体を震わせて目を開けると、メルファスが右目から血を吹きだしながら恐ろしい叫び声を上げ続けていた。彼は右目に突き刺さっているものを両手で掴んで引き抜こうと足掻いていたが、それはびくともしなかった。刃物にも見えるそれは恐ろしく長く、リーリアの背後から伸びてきている。それが薄闇色の中に抱く常に動くオーロラのような光によって、リーリアはメルファスを襲った者がフェアリーである事を知った。その翅は忘れもしない、エクレアを倒した黒妖精コッペリアの持つ翅そのものであった。

 メルファスの目に突き刺さった翅の先は鉤状に変形していた。翅が引き抜かれるのと一緒に眼球が無理やり引き出されていく。リーリアはその一部始終を目撃した。耳を塞がずにいられないような衝撃的な悲鳴の中でメルファスの眼窩から引き出された血濡れの眼球には神経の筋が付いていた。翅がさっと引くと一気に眼球が飛び出し、神経の筋が気味の悪い音をたてて切れた。その瞬間にメルファスは目の無くなった空洞から血を吹きだした。それから彼は左目を押さえて声の限り叫びながらその場で転げ回った。リーリアは余りの凄惨さに、自分が殺されそうになっていた事も忘れて慄然としていた。

 翅が引いていった方向からリーリアと同等の美しさを持った令嬢が歩いてきていた。彼女はリーリアの横に立つと、深い憎しみを込めた目で見下げて言った。

「冗談じゃないわ、あなただけ先にお父様の所に行かせるものですか!」

「シャイア……」

 その時、シャイアのすぐ横を飛んでいたメイルリンクが、翅の先に刺さった眼球を主に見せつけた。

「ねぇねぇ、見て見て、真ん丸だよ、おもしろ~い」

 シャイアはそれから顔を背けて言った。

「そんな汚いもの捨ててしまいなさい」

「は~い」

 メイルリンクが翅を振って投げ捨てた眼球は、地面に這いつくばっていたメルファスの目の前に転がった。彼は余りの痛みと常軌を逸した恐ろしさの為に震えて動かなかった。

「何なのそのフェアリーは……?」

 リーリアは朦朧としてきた意識の中で言った。シャイアはその質問には答えずに、メルファスに近づいた。

「ひいいぃっ!!?」

 メルファスが悲鳴を上げて逃げ出すと、メイルリンクの翅が伸びた。

「逃げちゃだめ~っ」

 翅がメルファスの右足に巻き付いて引き倒す。愛に狂った哀れな執事は、まるで針にかかった魚のように暴れるが、メイルリンクの力の前にいとも簡単にシャイアの足元まで引きずり込まれた。

「た、助けて、殺さないでくれ……」

 無様な姿を晒す執事に、シャイアは微笑を投げて言った。

「わたしはフェアリープラント社の全ての機密資料に目を通しているの。貴方がリーリアを殺す為にプラントが雇った殺し屋だという事もずっと前から知っていたわ。でも何故かリーリアは生かされていた。貴方が何のためにリーリアを殺さずにいるのか興味があったの。まさかこんな下らない理由だったとはねぇ」

 シャイアは笑みを消すと、塵でも見るような目になった。

「リーリアが枯れていくのが嫌だから殺すだなんて、つまらないロマンチズムね。そんなに愛しているのなら、力ずくで物にしてしまえばいいのに、貴方の言う愛はまったく理解できないわ」

 シャイアは再び微笑に戻り、彼女の中でこれ以上ない名案を閃き、恐ろしい事を言い出した。

「そうだ、そんなにリーリアが枯れて行くのを見るのが嫌なら、貴方がここで死んじゃえばいいのよ。そうすれば枯れていくリーリアに絶望する事はないでしょう。こういうのを発想の転換て言うの、わかるぅ?」

「い、嫌だ!! 助けてぇっ!!」

 メルファスは逃げようとして寝ころんだまま必死に地面を掻くが、足をメイルリンクの翅に捕えられていて少しも前に進む事はできなかった。

「メイル、このお兄さんと遊んでいいわよ」

「わぁい、やったぁ。何してあそぼっかな~」

「や、止めてくれ!!?」

 メルファスが反射的に右手を上げてると、視界を遮られたメイルリンクはたちまち不機嫌になった。

「むぅ、その手邪魔っ」

 翅が空を切り、メルファスの掌が真っ二つになった。親指だけ残し、残り4本の指は半分の掌と一緒に宙に飛ぶ。再び悲痛な悲鳴が森を揺さぶった。

「痛いぃ!!! 痛いよぅ!!! わたしの手があぁっ!!!」

 メルファスは激痛の為にその場で胎児のように丸まってしまった。

「もう止めて! それ以上メルファスに酷い事をしないで!」

 リーリアは心の底からそう訴えた。例え自分を殺そうとした相手だとしても、目の前で繰り広げられる惨状は見ていられなかった。しかし、シャイアはその訴えを鼻で笑った。

「わたしはこの男に恨みなんてないわ。けれど、貴方の事は大嫌い。だから刻ませてあげるわ、わたしへの恐怖をね」

 メルファスは絶望的な恐怖の中で泣いていた。それを見ながらシャイアは言った。

「ねえ貴方、どんなふうに死にたい? 選ばせてあげるわ。両目を潰されて暗闇の恐怖の中で切り刻まれて死ぬのと、残った片方の瞳で自分の体が切り刻まれるのを見ながら死ぬの、どちらがお好みかしら?」

「嫌だ嫌だ嫌だあああぁっ!!?」

 メルファスは発狂した。もはやリーリアに抱いていた歪んだ愛は粉々に砕け散った。

「他人を殺そうとしておいて、貴方自身は何の覚悟もしていなかったの? 逆に殺されるかもしれないと少しも考えなかった? 物事にはそれ相応のリクスが伴うものよ、何の覚悟もなしに人殺しをしようだなんて、虫がよすぎるんじゃなくて?」

 その後、恐怖に塗り固められた沈黙がやってきた。重く沈んだ空気と薄暗い森の中で、シャイアの妖艶で暗く彩られた微笑が闇の中で唯一輝く蝋燭の焔のように際立っていた。もはや精神が歪曲して別人と化しているメルファスは苦しげに喘ぎながら、これから死刑の宣告を受ける囚人さながらに絶望的な姿を晒していた。

「はやくぅ、どちらにするのか選びなさい」

 シャイアが言っても、メルファスは錯乱して訳の分からない叫び声をあげるだけだった。

「そう、選ばないと言うのなら、どっちも味あわせてあげるわ。メイル、まずその男の右手首を切ってしまいなさい」

「は~い」

 メイルリンクはとても楽しそうに笑顔を浮べながら翅しならせた。翅に断たれた空気が鳴き声をあげ、メルファスの右手首が断たれ、親指と掌の半分しか残っていない手が吹き飛んで、手を失った手首から血が噴き出す。その時に上げたメルファスの叫び声は、もはや人なのか獣なのか分からないようなものになっていた。

「次、右足」

「ほ~い」

 メイルリンクの翅がメルファスの右足首を服ごと断ち、さらに叫び声があがる。リーリアは惨劇を見ないように目を閉じていても、心が壊されてしまいそうな恐怖と悲愴に襲われていた。

「次は右目よ」

 メイルリンクの翅の切先が降りてきて、メルファスの残った右目に突き下ろされる。哀れなメルファスは右目の眼球を真っ二つにされ、一際大きな獣的な悲鳴を上げるのとほとんど同時に、悲鳴を上げたままの恐ろしい形相のまま動かなくなった。ショック死していた。

「あれぇ、もう動かなくなっちゃった」

 メイルリンクはつまらなそうに言いながら、死体の右目に刺さった翅を引き抜いた。

 リーリアは大量の出血とシャイアの展開した惨劇による衝撃で、気を失う寸前だった。そんなリーリアに向かってシャイアは言った。

「リーリア、ついでに良い事を教えてあげる。わたしのお父様を殺したのはプラントだけれど、貴方のお母様を殺した奴は違うわ。貴方ならここまで言えばわかるでしょう」

 シャイアの声を聞きながらリーリアの意識は途切れた。

 シャイアは樹木の幹に寄り掛かって気を失ったリーリアのことを見つめた。

「貴方は傷ついた姿までも美しいわ、憎らしいくらいにね」

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