第三話 その配信、世界同接三千万
スマホの通知が止まらない。
フォロー。
メッセージ。
ギルド勧誘。
画面上部に新しい数字。
視聴者数:3,218,442
「……は?」
ライブ配信アプリが勝手に起動している。
画面には――
さっきの戦闘。
俺がスーツ男を倒す映像。
コメントが流れる。
《時間停止持ち!?》
《課金額いくらだ》
《新人でこれはヤバい》
《ギルド入れ》
震える。
現実が、配信されている。
「気分はどう?」
背後から声。
振り向く。
いつの間にか部屋に立っていた。
パーカー姿の女。
年齢は俺と同じくらい。
手には自撮り棒。
スマホが俺に向いている。
ステータス表示。
HP:187
STR:12
DEX:21
INT:34
LUK:88
称号:
《トップ配信者:LIV》
「不法侵入だぞ」
「配信的には神展開」
笑う。
軽い。
だがLUK88。
バケモノだ。
「今、君は世界で一番バズってる新人」
「……最悪だ」
「最高でしょ」
コメントが加速する。
《LIVきたw》
《コラボ!?》
《新人守れ》
《狩り来るぞ》
「狩り?」
LIVが頷く。
「ランキング十万位以内に入るとね」
指で上を指す。
「上位プレイヤーの狩場になる」
心臓が跳ねる。
「さっきの戦闘、三千万が見てた」
「だから?」
「強い奴に位置バレした」
スマホが震える。
警告表示。
高レベルプレイヤー接近中
「ほら来た」
LIVが窓の外を見る。
遠くのビル。
何かが跳んだ。
着地。
道路が陥没する。
ステータス表示。
HP:640
STR:55
DEX:48
INT:22
LUK:9
称号:
《ソロ狩人》
「……勝てるわけない」
「単体じゃね」
LIVが言う。
「だからギルド組も」
画面にポップアップ。
ギルド招待:〈LIVESTREAM〉
「配信者ギルド?」
「情報が武器の時代だよ」
コメント欄が荒れる。
《入れ》
《入らないと死ぬ》
《ソロ狩人来るぞ》
外から轟音。
壁が震える。
時間がない。
「入れば守ってくれるのか」
「代わりに配信に出てもらう」
「……」
つまり。
俺の戦闘はコンテンツになる。
だが断れば――
死ぬ。
ソロ狩人が跳び上がる。
三階の高さ。
俺の部屋の窓に向かってくる。
「決めて」
LIVが言う。
俺はスマホを見る。
残高:18,420円
単体では勝てない。
だが。
時間停止。
衝撃波。
上がったSTRとDEX。
そして。
ギルド。
俺はタップした。
ギルド加入:〈LIVESTREAM〉
その瞬間。
スマホに新機能。
ギルドバフ:DEX+5(配信中)
体が軽くなる。
ソロ狩人が窓を突き破る。
ガラスが飛び散る。
「新人か」
低い声。
「ステータス、もらうぞ」
俺は構える。
LIVがカメラを向ける。
「同接四千万いった」
笑う。
「盛り上げて」
時間停止。
0.5秒。
位置取り。
衝撃波。
時間が動く。
だが。
ソロ狩人は耐える。
HPが多すぎる。
「火力足りないね」
LIVが言う。
スマホが光る。
ギルドスキル発動:視聴者支援
コメント欄が流れる。
《課金投げ銭》
《バフ送った》
《新人強化》
表示。
一時バフ:STR+20(30秒)
「は?」
「配信はね」
LIVが笑う。
「視聴者がスポンサー」
体が熱くなる。
STRが跳ね上がる。
拳を振る。
衝撃波。
ソロ狩人が吹き飛ぶ。
ダメージ 182
「なに……!?」
時間停止。
接近。
連撃。
時間が動く。
爆発。
ソロ狩人が膝をつく。
スマホ表示。
撃破可能ライン到達
「終わりだ」
最後の衝撃波を叩き込む。
ソロ狩人が倒れる。
通知。
ステータス奪取:+173
ランキング更新。
98,221位 → 12,004位
コメント欄が爆発する。
《バケモン》
《新人じゃない》
《時間停止最強》
《覇権》
LIVがカメラを俺に向ける。
「はい、新エース誕生」
画面にテロップ。
ギルド加入記念:特別ガチャ解放
内容。
《職業解放》
俺は息を呑んだ。
つまり。
ステータスの次は。
職業。
LIVが囁く。
「課金の沼へようこそ」




