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第二話 0.5秒の支配者

 世界が止まった。


 音が消えた。

 空気が凍った。


 スーツの男は、ドアを蹴破る姿勢のまま静止している。


「……これが、時間停止」


 心臓の音だけが響く。


 0.5秒。


 短い。

 だが――


 近距離なら十分だ。


 俺は机を蹴った。

 椅子を掴み、男の顎に叩き込む体勢を取る。


 そして――


 時間が動いた。


 ゴッ!!


 鈍い音。


 男の体が吹き飛び、壁に叩きつけられる。


「がっ……!?」


 よろめく。


 だが倒れない。


 ステータス差。


 HP:312。

 硬すぎる。


 スマホが震える。


 戦闘ログ:クリティカルなし ダメージ 18


「18……?」


 三百のHPに対して十八。


 絶望的な差。


 男が笑う。


「面白いスキルですね」


 次の瞬間。


 床が割れた。


 男の踏み込み。


 速い。


 DEX31。


 見えない。


 腹に衝撃。


 呼吸が止まる。


 壁に叩きつけられる。


 HP:32 → 11


「クソ……」


 立て。


 スマホを見る。


 ステータス強化:STR+1(120円)


 迷うな。


 課金。


 STR:5 → 6


 体に力が戻る。


「課金中毒者か」


 男が笑う。


「いいですね。狩り甲斐がある」


 スマホに新表示。


 課金者ボーナス:連続課金で強化効率上昇


 なるほど。


 連打すればいい。


 俺は連続でタップした。


 STR:6 → 7 → 8 → 9


 残高が減る。


 だが拳が重くなる。


 男が突っ込んでくる。


 俺は――


「止まれ」


 時間停止。


 今度は殴らない。


 位置をずらす。


 背後へ。


 時間が動く。


 男の拳が空を切る。


 俺の拳が後頭部に入る。


 ダメージ 41


「なっ……!?」


 効いた。


 STRが上がっている。


 だがまだ足りない。


 男の蹴りが来る。


 避けられない。


 HP:11 → 4


 視界が赤い。


 次を食らえば終わる。


 スマホ。


 HP強化:120円


 課金。


 HP:32 → 42


 体力が戻る。


 だが――


 金が減る。


 男が首を鳴らす。


「理解しました」


 笑う。


「あなた、金が尽きたら終わりですね」


 図星。


 残高:32,840円


 強化を続ければ勝てる。


 だが。


 こいつを倒したら?


 奪える。


 ステータスを。


 スマホに表示。


 撃破報酬:対象の総ステータスの30%を獲得


 312HPの30%。


 STR28の30%。


 DEX31の30%。


 ――逆転できる。


 問題は。


 どう倒すか。


 時間停止はクールタイム10秒。


 近接戦は不利。


 なら。


 課金ガチャ。


 画面を開く。


 スキルガチャ:SR以上確定(5,000円)


 残高が痛む。


 だが引く。


 虹は出ない。


 SR。


 表示。


 《衝撃波》:STR依存の遠距離攻撃


 距離を取れる。


 勝ち筋が見えた。


 男が突進してくる。


 俺は叫ぶ。


「衝撃波!!」


 拳を振る。


 空気が爆ぜる。


 透明な波が男を弾き飛ばす。


 ダメージ 67


「遠距離……!?」


 距離が開いた。


 今だ。


 時間停止。


 接近。


 衝撃波を至近距離で叩き込む。


 時間が動く。


 爆音。


 男の体が宙を舞う。


 ダメージ 102


 HPが削れる。


 だがまだ立つ。


「クソガキが……!」


 男のスマホが光る。


 課金だ。


 STRが跳ね上がる。


 床が砕ける踏み込み。


 間に合わない。


 なら。


 賭ける。


 残高、全投入。


 ステータス強化連打。


 STR:9 → 14

 DEX:5 → 9


 体が軽い。


 見える。


 男の動きが。


 拳が来る。


 俺は避ける。


 カウンター。


 衝撃波。


 時間停止。


 連撃。


 時間が動く。


 爆発。


 男が崩れ落ちる。


 沈黙。


 スマホが震える。


 撃破成功

 ステータス奪取:+94


 HPが跳ね上がる。


 STRが増える。


 DEXが上がる。


 俺は、膝をついた。


 呼吸が荒い。


 だが生きている。


 画面に新表示。


 ランキング更新:1,204,881位 → 98,221位


「……上がりすぎだろ」


 そして。


 新たな通知。


 ギルド機能解放


 説明文。


 プレイヤーはチームを組むことができます


 さらに。


 高レベルプレイヤーがあなたの勝利を検知しました


 外で、拍手が聞こえた。


 窓の向こう。


 ビルの屋上。


 誰かが立っている。


 スマホ表示。


 HP:???

 STR:???

 DEX:???

 INT:???

 LUK:???


 称号:


 《配信者》


 メッセージが届く。


 「今の戦闘、世界配信されてたよ」


 血の気が引いた。


 つまり。


 俺はもう、隠れられない。


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