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Episode.2 勇者side


 右肩の痛みで目が覚める。どうやらまた討伐に失敗してしまったようだ。柔らかなベッドの上から身を起こすといつもの宿屋だった。

 ガチャガチャとした装備を全て外し、服を脱ぐとやはりこれもいつもと同じように傷が既に塞がっていた。ただ、これで大丈夫だと思って戦いに行くのは馬鹿だ。俺も始めの頃は治ったと思って戦いに行っていたがすぐに傷が開いてしまうのだ。だからしばらくは安静にしていなければならない。


「はぁ…これでもう何度目だろうな…」


 魔王討伐の任を王から依頼されたのがもう3年前。俺は元からそんなに弱い方ではなかったが特別強くもなかった。おそらく王は俺が〈断罪者〉の子孫であるところに目をつけたのだろう。

 〈断罪者〉というのは今から約500年前に実在していた女性ただ一人を指す言葉だ。彼女の名前はニア・リンデル。彼女が畏怖すべき強大な力を持っていたことから大陸史上最恐の人物、と今現在も語り継がれている。

 だが、生憎俺はそんな力は持っていない。だから期待に応えられないかもしれないと言ったのに拒否権はあってないようなもので、こうして何度も魔王に挑んではやられるを繰り返している。


「話し合いで解決できればいいのにな」


 まあこんな狭い宿屋の一室でくよくよ悩んでいても仕方がない。

 俺は軽装に着替えて行きつけの酒屋へ向かった。



「どうしたの?浮かない顔して」


 俺に声をかけてきたのはこの酒屋の看板娘、アイナだった。


「また魔王討伐に失敗したんだ」

「最近見ないと思ったらやっぱり?」

「あぁ。今回は道中の魔物の数が結構多くて時間もかかったし。あーあ、魔王討伐早く終わらせたいなぁ」


 勇者さんって大変ね、と笑いながらアイナは俺の隣に腰かける。


「もう話し合いで解決したい…」

「話したことはあるの?」

「ん?うーん…短い会話とかならしたことあるな。でも和解を提案したことはなかったかも」

「してみたら?毎回毎回生かして返してくれる魔王さんだもん。話すことくらいはできるんじゃない?」


 確かにこちら側が勝手に話し合いは無理だろうと思ってるだけで意外といけるかもしれないな。


「失敗したら今度こそ死ぬかもしれないけどやってみる価値はあるな!ありがとうアイナ。また来るよ」


 そうと決まれば神殿に行って傷を完全に治してもらって、荷物もしっかり揃えてまた出発しよう。


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