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作戦開始

昨日は本当に色々あったな〜・・

ディベルが目を覚ましてくれたのはホントに嬉しかった!

そのあと聞かされたことには驚かされたけど・・

何よりやっと、私がエルフだってことを伝えられた!

でも、気づいてはもらえなかったなぁ・・

あの時はフードをかぶっていたし、幼かったから仕方ないのかも知れないけど・・

うーん・・


私とディベル達と出会ったのは四年前。

その時、私はアールヴの森に住んでいた。

そこは、自然に溢れ穏やかで平和な場所だった。

過去にあった人間とのいざこざから森には強い結界が貼られており、人間はもちろん魔物も入ってくることはない。

そして16歳まで外に出るのを禁じられていた。

だからこそ、私は外の世界に興味を持ってしまった。


少しくらいなら大丈夫だよね?


私はお母さんに遊びにいってくると伝え家を飛び出すと大人に見つからないよう塀に向かう。


精霊さんっ!私を塀の向こう側までお願いっ!


そういうと周りに風が発生し、体がゆっくりと上昇し始める。


魔力を調整しないと吹っ飛んじゃう・・ゆっくりゆっくり


塀を越え、着地する。

結界の外へ向かって走り出した。


何かを通り抜けるような感覚を感じる。


森の雰囲気が少し違う!

それにアールヴの森にはない植物がたくさんだ〜!


私は初めての景色、植物に興奮し我を忘れて楽しんだ。

ついつい周りの警戒を怠ってしまった。

危険だと言われていたのに・・・


スタスタ・・・


視界が急に暗くなった。

顔を上げるとそこにいたのは醜悪な顔をした私と同じくらいの生物だった。


「グギャャャギャ!!」


「ひいっっ!」


この生物はゴブリン。

本に載ってた。

男は殺して食糧にし、女は犯して子供を産ませられる・・

逃げないと!!


私は一目散に逃げ出した。

魔法を使えば倒せたというのに・・


「助けてぇぇっ!」


そう叫びながら逃げるも、ここは人の寄りつかない場所。

誰もくるわけがない。

走りながら後ろを振り返る。

最初は一匹だったはずのゴブリンが三匹に増えていた。


怖いよぉ〜


半べそになりながらも足を止めるわけにはいかない。

捕まることは死と同義だ。

私は必死に走り続けた。


ふとした時に躓いてしまい、私は地面に転がる。


痛っ


膝から出血していた。

ゴブリンが近づいてくる。


「誰かたすけてぇっっ!!」


ゴブリンに触れられそうになった私は後退りしてゴブリンと距離を取ろうとする。

ふと背中に何か当たる。後ろにあったのは大きな石だった。


言いつけを守ればよかったと深く後悔し、近づいてくるゴブリンが怖くて私は目を閉じた。


「「「グギャッ!」」」


ゴブリンの悲鳴の後に何かがドサっと倒れる音がした。


「大丈夫?」


「いつぞやのお前を見てるみたいだな!」


「うるさい!」


目の前にいたのは人間の男の子、そして空中に浮かんでる犬?人?がいた。


「えっと・・あっ、ありがとう!」


「僕もまだ子供だけどここら辺は危険だから気をつけた方がいいよ!」


そこで私の腹の虫が鳴る。

私の顔に熱が集中していくのがわかる。

きっとフード付きのローブがなければ真っ赤になっているのを見られるところだった。


「もしよければ一緒に昼食どう?

さっきいい場所を見つけたんだ!」


男の子が笑顔でそう誘ってくれる。

空腹に抗えず、私はついていくことにした。


男の子が案内してくれたのは川辺の見晴らしのいい場所。

そこにはちょうど腰掛けに良さそうな木が倒れており、そこに座って食べるらしい。

私は初めて携帯食糧と呼ばれるものを食べた。

パサパサしていたけど食べたことのない味・・


携帯食糧を食べながらいろいろなことを話してくれた。

男の子の方はディベル、もう1人の方はアルマっていうみたい。

ディベルはグロリエ皇国の騎士団に入るための試験が2年後にあってその特訓にいろいろな場所を巡っているらしい。

見渡す限り砂漠。昼はとても暑く夜はすごい冷える場所。

お宝が眠っている古代遺跡。

たくさんの塩水広がっている海という場所。


聞いているだけで心が躍った!

いつか私もいってみたいと心から思った!


「じゃあ、俺たちはもういくよ!」


楽しかった時間はもう終わり、残念だなぁ・・

でもいつか会えるよねっ!


「助けてくれてありがとうっ!

またねっ!」


2人が見えなくなるまで手を振って見送る。


そのあとアールヴの森に帰ったらこっぴどく叱られた。

外出一ヶ月禁止になった・・

その間、ディベルの話してくれたことを何度も思い出す。

そこでふと思いついた。


「そうだっ!私も騎士団に入れば一緒にいられるかも!

そうとなったら特訓だ。」


それからの日々は忙しくも充実していた。

弓の訓練や魔法の訓練にあけくれた。

そして16歳になる頃にはエルフの兵士を悠に凌ぐ強さとなっていた。

グロリエ皇国の騎士団に入りたいと言った時は猛反対。

三日三晩の説得の末、人化の首飾りをつけることで説得できた。


それから騎士団に合格して、部隊分けの時同じ隊になったのは運命だと思った!

修行を頑張ってよかった、勢いであの時助けてくれたよね?て言いそうになった。

でも私が勇気を出せずなかなか言い出せなかった。

それにディベル、アルマの他に魔法使いが1人いたせいで人化の首飾りもはずせなかったし・・


でもやっと昨日で一歩を踏み出せた。

今は大変な時だけどきっと言える時が来るよね!

だからこそ、今日は絶対に成功させないと。


人一倍強い思いを秘めてヘルミナは集合場所へ向かった。

場所にはついたけどまだ来ていないみたい。


少しするとディベルがアルマを引っ張ってきた。


「よし、作戦は昨日の通りだ!

 30分後に落ち合おう!」


私は任務を遂行するために隠密術の「広域探知」、音魔法の「消音領域」を発動させ、速やかに行動を開始した。














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