みえない、きもち。
返事は、何も来ない。いつも落ち着きがないけれど、一分に一回くらいは、スマホほのうを見ては通知が光ってないか見て。相変わらず、来ないまま。
おかしくなってるのは、分かってる。恋してるのも、どうしたってわかっちゃう。マンガの主人公みたいに、何もできなくなっちゃうんだ。宿題をこなすのも精一杯だし、ご飯のときも、お風呂のときも、普段だったら本を読んでる時間も、何となくスマホをいじって、通知が来ないかをずっと気にしてる。……ブルブルと震えたと思ったら、消灯時間につけてるアラーム。電池もいつの間にか切れかけになってるし、こころも、もうすぐ電池切れになっちゃう。
……まだかな、なんて、期待して。着信音が聞こえるようにしてから、ベッドに潜り込む。もう、さすがに起きてるのも辛い時間になってくるのに、まだ、期待して。まだ、眠れそうにないや。……
『わかったわ』
そんな返事が来たのは、次の日の朝のこと。いつの間にか寝ちゃってたし、でも、お返事来るまで起きてたら、全然寝れなかったからそれでいいのかな。
……でも、こころが思ってるのと、気持ちの大きさが違うのかな。反対だったら、返信が来たらすぐ何かするはずなのに。そんなに、好きって思ってくれてないのかな。でも、そうだったら、デートしたいとか、お泊まりしてきてほしいなんて言ってくれないよね。気持ちの大きさなんてわかりっこないのに、悩んで、胸の中、痛くなって。こんなんで悩んでたってしょうがないのに、わかってても頭の中が見ようとしてる。想像の中の、見たくもないほどの痛いこと。
『蘭さんは、他に行きたいところある?』
どこか、繋ぎたくなって。何か、その先を探したくて。これだけじゃ、やだ。でも、ちゃんとした進み方、わかんないよ。
返事は、すぐには来ない。昨日にはもうわかってるのに、それでも、既読すらつかないトーク画面を、ヒマになる度に覗いてる。めんどくさがりな人なのかな、それとも、……こころのことなんて、どうでもいいのかな。そんなわけないって思いたいけど、頭の中のどこかで、ずっと引っかかったまま。こころ、抜けがらになっちゃだたみたい。あの時から、気持ちだけ、あの人のとこに置いて行って。そのまま、戻ってきてくれなくなっちゃったみたい。今、教室だっけ。そんなことも、一瞬分かんなくなるくらい、うわの空。今、何時間目だっけ、朝ご飯、何食べてたっけ。っていうか、ちゃんと制服着てきたよね。
休み時間、音も出るままにしてたスマホがいきなり鳴る。胸の中、いきなりキュンって高鳴る。慌てて音を消すけど、頭の中はその中身のことで頭がいっぱいになっちゃってる。