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心に白き胡蝶蘭を。  作者: しっちぃ


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情交、恋慕。

 深い口付けって、こんなに気持ちいいのね。ともすると、絶頂の次くらいに。荒い吐息を漏らしなが、蕩けた顔をしちゃって。欲望と背徳感が混ざり合って、頭を痺れさせる。相手に合わせるのも慣れているはずなのに、今日は我慢できなくなりそう。……それだけ欲しいって思わされるの、もしかしたら初めてかも。


「気持ちいいの、分かったのね、あなたも」

「……うん、蘭ちゃんって、こんなとこは優しいんだね」

「ふふっ……、でも、今日は優しいままでいられないかもしれないわ」

「ね、それって……」


 無垢でピュアなくせに、こういう煽りを理解できるくらいには、この子にも知識があるのね。それでただでさえ赤い顔がもっと赤くなるの、たまらなくかわいい。


「分かってるでしょ?」

「……えっち」

「ふふっ、そんなの今更じゃない。……それとも、欲しがりな私は嫌い?」

「ううん、……好きだもん、しょうがないじゃん……っ」


 こんなにあどけないのに、これ以上なんていけないことよね。理性と欲望の天秤、理性に傾きかけそうで、そのたびに欲望に傾かせてくる。寝返りでも打つように目をそらしてくるから、私に向けてくる頬に口づけを落としてみる。


「こっち、見て頂戴。あなたがしたいこと、してあげるから」

「むぅ……蘭ちゃんのいじわる」


 頬を軽く膨らませて、そのくせ、私のほうを向いてくる。まだ、蕩けかけの顔、中一らしいあどけなさと、大人の世界に触れた色気と。……そそられる、とうに擦り切れている理性ではどうしようもないほどに。


「私も好きよ、素直で欲しがりなとこも」

「……えへへ」


 はにかむ顔に、唇を寄せるだけで、ぎゅって目を閉じちゃって。……恋というには爛れたものだけど、そうとしか言えない。


「……ちゅっ、……ぁ、む、……ちゅぅ……、ん」

「ぅ、……んっ、は……、ぁ、……ぁぅ、は……」


 声、もう蕩けてる。さっきみたいに、深いのでもないのに。……そっか、ここも『すきなとこ』なのね。どうせ、この子にしか使えない知識だけれど。すくむ体、また、私のシャツを掴んでる。


「……まだ、怖いかしら?」

「ごめんね、その、まだ……っ」

「いいのよ、……怖さが薄まる方法、教えてあげるわ」


 相手に合わせるのには慣れてるのに、普段は、じれったくもならないのに。……私のほうが、耐えられなくなる。


「なぁに?」

「気持ちいいって感覚に、身を任せてごらん。そしたら、他のことなんて考えられなくなるから」

「ぅ、……わかった、やってみるね」


 また、軽く髪を撫でてあげる。それだけで体をすくめちゃって。……大分、感じてきちゃってるわね、あと、もう一押しってところかしら。触れ合いの先に進ませてくれるまでは。

 

「欲しがってくれちゃって、……もっと頂戴?」

「うん、……蘭ちゃん、好き……っ」

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