ほしがる、からだ。
「……おいで?」
「うん、……でも」
いっぱい、触ってくれるのも、『すき』って言ってくれるのも、ちゅーしてくれるのもうれしいし、好きだけど、でも、もっと。満ち足りてるはずなのに、もっと欲しくなっちゃう。……つながってる証みたいなのが。
「まだ、恥ずかしい?」
「そうじゃなくて、……あのね、ただのわがままなんだけど」
「……どうかした?」
「こころのこと、もっと呼んでほしいな、……なんて」
もっといっぱい、こころのこと呼んでほしい。今は二人きりだから、言わなくなってわかるけど。欲しがりだな、こころも。人のこと言えないくらい。
「……言い慣れないのよ、誰でもいいじゃなくて、あなたがいいなんて思ったこともないもの、……今までは」
「だからだよ、……蘭ちゃんの『とくべつ』って感じするもん」
もっと近づきたいから、呼び方も変えてみたけど、あんまり効いてるって感じもしなくて。向き合ったまま、まだ照れちゃうけど、でも、きれいで、ずっと見てたくなっちゃう。
「あなたらしいわね、純粋で。……こころさん」
「……蘭ちゃん」
出会ってからずっと、ドキドキさせられてばっかりだ。『すき』でつながれる関係になっても、止まんないや。近づいちゃう体、……蘭ちゃんも、応えてくれる。
「……んっ」
「ぁ……」
初めてのときみたいな、触れ合うだけのちゅーだけなのに、胸の中がしびれちゃってる。背中のあたり、またなでなでされる。……言葉とかはたどたどしいっていうか、慣れてない感じなのに。ふれあいになると、すっごく慣れてるっていうか、上手すぎっていうか。……さっき言ってたの、本当なんだなって。体のつながりは知ってても、恋は知らないっていうの。
「……えへへ」
「もう、……」
もっと、つながりたくなる。……さっきの、頭の中までかき回されるみたいなの、思い出すだけでゾクゾクしちゃって、何も考えらんなくなるけど。……たぶん、あれが『きもちいい』っていうのかな。
「あのね、さっきみたいなのって、どうやってするのかな」
「私も初めてなのよ?ああいうことしたの」
「そうなの?……そういうのも知ってるのかなって」
「そんなことしたら、後戻りできる関係じゃなくなるじゃない?」
そんなものなのかな、えっちするのだって、忘れなれなくなっちゃいそうだけど。……でも、蘭さんにとっても、ちゅーするのって特別なんだ。
「そうなんだ……」
「もっと先のことしてるくせに、今更かしら」
「うん……。ごめん、ちょっと、座り直すね」
「……ねえ」
ちょっと、膝立ちするの、疲れちゃったかも。その前までの、隣に座るようにして。ただ、今度は私の体を推すように、今度は蘭さんが倒れてくる。漫画とかじゃないと見ないようなこと、今、こころがされちゃってる。
「ひゃぁ、……らん、さん……?」
「あなたから欲しがっちゃって、……いけない子ね、こころさんも」
「ダメかな、こんなの……」
「いいえ?むしろ、たまらないわ……っ」
それだけでキュンってしちゃいそうで、ずるいよ。逆光でよく見えなくても、顔、きれいなのがわかる。声だって、吐息混ざりで、オトナっぽい声が、もっと艶っぽいっていうか、色っぽくなってて。
「ねぇ……っ」
「いいわよね?」
「ダメなわけないのに、ずるい……っ」
恥ずかしいのに、目が離せなくなる。ダメだってわかってるのに、体の奥底が、欲しいって言っちゃってる。
「時間ならたっぷりあるもの、いっぱい溶け合いましょ?」
こくんって、うなずくことしかできない。だって、好きだもん、欲しいって思っちゃってるもん。蘭さんから顔を近づけて、思わず目を閉じる。……優しすぎなくらいに優しく触れるくちびる、ぷるんってしてあったかくて、それだけで離れたのに、さっきよりもずっと、ドキドキしちゃってる。




