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心に白き胡蝶蘭を。  作者: しっちぃ


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33/43

ふれあう、こころ。

「『好き』なんて分からないって言ったでしょ?……今は、少しだけ分かるかもしれないわ」

「そう、なの?」


 ドキドキ、服越しに伝わっちゃいそう。その『すき』、こころの方に向いててほしいな。もし、そうだったら、なんて想像しただけで頭がふわふわする。


「一目惚れ、なんて言ったけど、はじめはいつもと同じだったのよ。かわいいから食べちゃいたいしか思ってなかったもの」

「……そうなんだ」

「でも、あなたにはなんか違ったの。いつもの私ならとっくにもういいやって思ってるはずなのに、あたなのことは欲しくて仕方なかったの」


 たどたどしい言葉、さっきまで、全部知ってるみたいにリードしてたのがウソみたい。でも、言ってること、頭の中で意味が分かったとたんに、気持ちは上にも下にもぐらぐら動く。


「デートするの、はじめてって聞いた気がするけど」

「ええ、そんなに深く誰かと繋がりたいなんて思わなかったの。……一番おいしいとこだけつまみ食いできれば、それだけでいいと思ってたのに」

「ねえ、それって……、こころのこと、……ぁう」


 ちっちゃな背伸び、くずれちゃった。だって、……他の言ってることにはむっとしちゃうけど、……好きな人が、こころのこと、特別だって言いたそうにしてるんだもん。


「もう、……そのほうがかわいいのに」


 知ってる風に頭をぽんぽんとされるのは好きじゃないのに、それでもキュンってしちゃって。まっすぐなんて見れなくて、うつむきたくても、蘭さんのほうが今は背が低い。


「むぅ……、わかってよ」

「……もっとかわいいとこが見たいの、……嫌かしら?」

「そうじゃないけど、でも……っ」


 背伸びしたいのも、それに気づかれて恥ずかしいのも、こっちの勝手なのに。こんなとこも、まだオトナになんてなれないって気づかされてイヤになる。嫌いになんてならないでね、こんなので。これも、ただのわがままだけど。


「かわいいとこがいいの、……他の人といても、あなたのことばかり考えてるくらいに」

「……もう、ずるいよ」


 相変わらず、かわいいって言ってばかりで。そんなんだから、オトナっぽさを求めちゃうのに。……そういう言い方するの、ずるい。どうしたって、蘭さん(すきなひと)の『とくべつ』なんだって分かって、嬉しくてしょうがなくなっちゃうから。


「だからね、……こころさん、多分だけど、……」


 まっすぐな視線、……射抜かれちゃいそう。心はとっくにそうなってるけど、もっと、違うとこも。


「私も好きよ、あなたのこと」


 言葉が頭の中で形になって、ほっぺだけじゃなくて、体の中全部、火がついちゃったんじゃないかってくらい暑くなった。だって、こんなまっすぐて、あったかい。

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