表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心に白き胡蝶蘭を。  作者: しっちぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/43

おもいを、みせて。

 手続きも済んだのか、また手がつながる。聞いてみようかな、デートってしたことないのに、こんな、……いちゃいちゃするためのこと、知ってるんだろう。


「ドリンクバーもついてるから、誰も邪魔しに来ないはずだわ」

「うん、……ありがと。……そういうの、どこで覚えるの?」

「こういうのって、先輩たちから受け継がれてるらしいわ。お外だと、そういう場所って多くないでしょ?」

「そうなんだね、……オトナだなぁ、なんか」


 学校だと、できることって限りもあるし、……寮に住んでると、お泊まりも届けを出さないといけないし。寮が違うとか、実家暮らしの人とお付き合いってなると、そういうとこ、欲しくなっちゃうよね。


「オトナっていうより、みんな欲しがりなのよ、私たちみたいに」

「そっか、……さみしくなっちゃうもんね、学校じゃ、あんまり甘えられないもん」

「ふふっ、そういうこと考えるなんて、あなたもいけない子ね」


 言葉も、声も、こころのこと、ドキドキさせにきてる。「あなた『も』」ってことは、蘭さんだって、そういうことしたいって言ってるってことだよね。

 連れられた部屋、端っこのほうでよかった。止まんなくなっちゃっても、あんまり、声も届かなくなるはずだし。


「今のうちに、お手洗いとか済ましときましょっか、……我慢、したくないでしょ?」

「そうだね、……先、行ってるね」


 オトナな雰囲気にやられちゃって、何もしてないのに頭がほわほわしちゃってる。……何だろ、本で見るような、えっちなことする時みたい。お部屋に誘われて、交互にシャワーとか寝る支度とか済ますみたいな。そういうの、どこか期待しちゃってる。まだ、そういうことするのには早すぎるのに。

 一人になれてるのに、ドキドキは収まらない。口の中酸っぱくて、甘いものが欲しくなる。その場でアイスココアを作って飲み干して、もう一杯を持っていく。部屋に戻ると、蘭さんはカラオケの機械をずっといじってる。奥のほうから、隣に座ってみてみる。


「……ただいま、……何してるの?」

「何も歌ってないと怪しまれるでしょ?だからいくつか入れておいてるの」

「それも、周りの人が言ってたの?」

「そうね、採点も切っておいたほうがいいんですって。……私も行ってくるから、好きなもの入れてくれるかしら」

「分かった、……ありがと」


 さっきまでいじってたタブレットを渡してきて、外に出てっちゃう。後ろ姿をみて、また、ぼうっとしちゃう。

 蘭さん、もうけっこう入れてるんだ。人気ランキングに入ってるのを片っぱしからって感じだけど。二時間もってことはもうちょっといるかな。好きな曲を何個か入れて、だいたい二十個くらいになった。これくらいあれば、いいかな。

 ……それにしたって。ドキドキ、止まんない。持ってきたほうのココアも飲み干しちゃいそうだけど、また、トイレ行きたくなっちゃいそうだな。


「……ただいま」

「うん、おかえり」

「じゃあ、……ね」


 そういって、映画のときみたいにすぐ隣に座ってくる。袖が触れ合うくらい、……嬉しいけど、これじゃあ、また流されちゃう。向き合わなきゃ、ちゃんと。


「……ねえ」


 お行儀はよくないけど、靴を脱いで、蘭さんの脚をはさむように膝立ちする。普段なら絶対できない、見下ろす角度、ちょっと、困ったような顔をしてるのが見える。

 欲しいってことは言ってくれるのに、かわいいって言ってくれるのに、『すき』は、どうして言ってくれないの。ドキドキはもっとひどくなって、口の中から飛び出しちゃいそうで、……でも、知りたいよ。


「あら、どうかしたの?」

「ねえ、蘭さんは、……わたしのこと、好き?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ