たかなる、こどう。
いじわる。ガマンしなきゃって思わせといて、自分はいっぱい触ってきて。ドキドキしすぎて、おかしくなっちゃいそうだよ。あんなことしといて、もっと先の、……えっちなこと、されちゃうんじゃないかって意識しちゃうよ。まだ、『すき』も言われたことないのに。そういうことって、もっと順番とかあるものなはずなのに。
「じゃあ、行こっか」
「うん、……そう、だね」
シアターも明るくなって、さっきまでのことが夢みたい。でも、そんなことないって、胸のドキドキが言ってる。……全部、本当のことなんだよね、……ちゅーしちゃったのも、いっぱい、いちゃいちゃされたのも。
また、自然に手が繋がってる。手から、ドキドキしてるの伝わってないよね。どこに行くのかもわからないまま、繋がった手に引っ張られるままに足が動く。
「ねぇ、どこ行くの?」
二人きりになれるとこ、なんて、言葉だけでもドキドキしちゃうけど、どこに行くんだか分かんない。二人きりになれるっていっても、どこならそうなれるかなんて、考える余裕もなかった。どこかの物陰とかでも、どうしても想像しちゃう「もっと先」を好きなだけにってわけにはいかないし。トイレとかだって、さすがに二人で入ったら気づかれちゃうし。
スタパレから出ちゃって、本当に行き先のあてがつかなくなる。考えちゃってるこころに合わせて、歩くの、ゆっくりにしてくれてる。
「ふふ、……カラオケ、こういう風に使うのっていけない事よね」
「ぅ……、そうだけど、でも……」
確かに、二人きりにはなれるし、ある程度は声だって周りには聞こえないし、……こっそりそういうことするんだったらちょうどいいけど。……いけないことだってわかってても、やっぱり、したいって思っちゃう。まだ、そういうのって、段階とか踏まなきゃなのに。
「欲しいの、わかっちゃうわよ?……かわいいわね」
「ぅ……ずるいよ」
頭、ふわふわしちゃう。ただ、耳元でささやかれてるだけで。『すき』なのもわかってて、その形もなんとなくわかってきちゃって。蘭さんは、こころのことどう思ってるのかな。知りたくてしょうがなくなっちゃってる。
何か話してた気もするけど、……カラオケボックス、気が付いたら着いちゃってる。……何か書いてるのか、手、離れちゃう。
「二時間くらいでいいかしら?」
「……う、うん」
店員さんといろいろ話してるけど、なんか、慣れてそうな感じ、でも、デートとかってあんまりしてないって聞いてたんだけどな。……どういうことなんだろ。わかんないまま、……全然、追いつかないや。




